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行政書士試験 5万人が挑む。

竹内豊行政書士
次の日曜日11月11日に、約5万人が行政書士試験に挑みます。(ペイレスイメージズ/アフロ)

次の日曜日、11月11日に、行政書士試験が全国の主要都市で行われます。

今年度は、50,926名がエントリーしています。

なお、昨年度は、エントリー数52,214名、受験者数40,449人、合格者数6,360人、合格率15.7%でした(詳細は、行政書士試験 今年は合格者6,360人 最年少18歳・最年長75歳もをご覧ください)。

そこで、今回は行政書士試験の内容と受験生の傾向をご紹介します。そして試験に挑む受験生へのエールを込めてちょっとしたアドバイスをお伝えしたいと思います。

行政書士とは

多くの方は、行政書士が何をしてくれる者かご存知ないと思います。そこでまず、行政書士の業務についてご紹介します。

行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類、その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成することを業としています(行政書士法1条の2・1条の3)。

具体的な業務としては、おもに次の2つがあります

1.官公庁への許認可に関する書類に関する相談・書類作成・官公庁への提出代理

2.権利義務又は事実証明に関する書類(契約書、遺言書・遺産分割協議書等)に関する相談、書類作成業務

なお、詳しくは、「行政書士はどんな業務をする人?」「案外役立つ『行政書士』~全国で無料相談会を開催」をご覧ください。

行政書士試験とは

行政書士試験は、行政書士法に基づき、総務大臣が定めるところにより、行政書士の業務に関し必要な知識及び能力について、毎年1回11月の第2日曜日に全国主要都市で実施されています。

参考までに本年度の試験概要は次の通りです。

受験資格:年齢、学歴、国籍等に関係なくどなたでも受験できます。

試験日時:平成30年11月11日 午後1時~午後4時

試験場所:全国各地の主要都市   

受験手数料:7,000円    

受験願書・試験案内の配布:平成30年7月30日~8月31日

受験申込受付期間

・郵送申込み:平成30年7月30日~8月31日消印有効

・インターネット申込み:平成30年7月30日~8月28日午後5時

合格発表:平成31年1月30日

詳細は、一般社団法人行政書士試験研究センターのホームページをご覧ください。

行政書士受験生の特徴

行政書士試験にチャレンジする方には、次のような特徴があります。

1.幅広い年齢層

平成11年の行政書士法改正で、行政書士試験の受験資格が廃止されました。その結果、年齢、学歴、国籍等に関係なくどなたでも受験できます。そのため、昨年度の試験では、次のように幅広い年齢層の方がチャレンジし合格しました。

申込者:最年長 93歳 (1名)  最年少 8歳 (1名)

合格者:最年長 75歳 (3名)  最年少 18歳 (4名)

2.多様な人材

最近は、高齢化社会を反映してか、「定年後に自分が今まで培ってきた経験と知識を行政書士という国家資格を活用して仕事にしよう!」という方が大勢チャレンジしています。また、行政書士は様々な経歴の者が活躍してます。

幅広い業務範囲と「受からない試験ではない」という難易度、そして何より「国家資格という信頼」の結果だと考えられます。詳しくは、「『行政書士』でセカンドキャリアを輝かせる!」をご覧ください。

1年間、しっかり勉強すれば受かる試験です。興味をお持ちになった方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

受験生へのアドバイス

私が受験したのは平成10年です。もう20年も前ですが試験のことは鮮明に覚えています。そこで、経験を踏まえて3点だけアドバイスを差し上げたいと思います。

その1 開き直る

試験は目前。持っている力を最大限発揮することだけに集中しましょう。そのために、試験当日をイメージして持ち物や食事、交通手段などをチェックしておきましょう。後はなるようになります!

その2 深呼吸する

試験当日は余裕を持って会場に向かいましょう。

答案用紙が配られたら呼吸に意識を向けて鼻か口からスーッと息を吐ききるようにしましょう。すると自然に息を吸い込むことができます。呼吸にだけ意識を向けてそれを何度か繰り返していると、自然に気分が落ち着いてくるのが実感できるはずです。後は、答案用紙に蓄えてきた知識をぶつけるだけです!

その3 慌てない

答案用意を見たらノーマークの問題に遭遇して「しまった!」と思うこともあるでしょう。このような「不測の事態」が起きるのが本試験です。その時は「来ましたね」とまず受け入れること。そして深呼吸をして気持ちを整えて挑むこと。不測の事態に遭遇したのはあなただけではありません。ここで慌てて舞い上がってしまうか、それとも気持ちを切り替えることができるかが合否の分かれ目です。試験終了の合図まであきらめないで試験に挑んでください。

以上当たり前のことですが、「当たり前のことを当たり前にやる」ことが合格に直結すると思います。ご健闘を心からお祈りします。

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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