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年末年始に帰省を予定されている方々へ コロナ感染対策、3つの注意点

高山義浩沖縄県立中部病院感染症内科・地域ケア科
(写真:アフロイメージマート)

年末年始が近づいてきました。例年なら忘年会や新年会などイベントの機会が目白押しの季節です。ただ、新型コロナ流行下の今年は無防備に楽しむわけにもいかず、予定を決めかねている方も多いと思います。

とくに悩ましいのが正月休みの帰省ですね。もともと感染症の業界では、旅行のうちでも友人や親族宅に滞在することを "Visiting Friends & Relatives (VFR)" と呼んで、とくに感染症を拡げるリスクであると指摘してきました。

ホテルに泊まっているだけなら、観光地を巡っていても感染を拡げることは稀です。しかし、一般家庭に宿泊したりすると、いきなり感染リスクが高まります。国内旅行でも、たとえばインフルエンザは、例年、正月明けに地方の高齢者の発症が増えます。都会から帰省してきた子供たちの残念なお土産です。新型コロナも、正月明けから大変になるのではと心配している医師が多いです。

ただ、現時点(12月初旬)で流行しているからといって、年末年始の帰省を自粛すべきだと決めつけるべきではありません。帰省するときの流行状況で判断すべきですし、むしろ、良いお正月を迎えるために、いま私たちは感染拡大を防ぐべく努力をしているのだと思います。

実際、4月と8月にピークを迎えた過去2回の流行も、日本では住民主体の自粛の努力によって、おおむね1か月以内に流行は抑え込まれてきました。公共の場所ではマスクを着用し、手洗いを心掛け、社会的距離を保ち、症状ある人は仕事を休み、外出を控える・・・。この地道ですが確実な方法を皆が心掛ければ、お正月までには流行が収まっていく可能性は十分にあります。

ただ、「冬」はコロナにとって相性のよい季節です。どうしても締め切った環境となりがちなので、全国的にはピークアウトしていたとしても、モザイク状に地域流行が続いているかもしれません。とくに、東京・大阪など人口の多い都市部では流行が続いてしまうことも考えられます。

そうしたなか、お正月の帰省によって、地方の一般家庭へとウイルスが拡がってしまうかもしれません。感染対策のことだけを言えば、移動を控えていただくのが一番なのですが・・・、最善の感染対策だけが、人生の正しい選択ではありません。

今年は、お年寄りにとっても我慢の一年でした。あるいは、休校が繰り返されたことで、子育てに悩まれている女性も少なくありません。コロナとの関連は不明ですが、自殺も増えています。ストレスが溜まりがちななか、親族との交流は大切な癒しになることでしょう。

そこで、地域流行が持続しているなかでも、「やっぱり実家に帰る!」と決断された皆さんのため、次善の策としての感染対策について3つのポイントを紹介します。

【帰省2週間前から】家族全員で感染対策を徹底

帰省する2週間前から、帰省する家族全員が感染しないように心がけてください。ウイルスを実家に持ち帰ることがないようにしましょう。

外出時にはマスクを着用してください。ただし、屋外で人との距離がとれるならマスクは不要です。不特定多数が触れるモノには、できるだけ触らないこと。触ってしまったときは、早めに手を洗うかアルコールで消毒します。それまでは、首から上に手で触れないことが感染予防のコツです。

あと、家族など親しい人以外との会食に参加しないこと。とくに、忘年会への参加は避けてください。新型コロナは宴会での感染リスクが高いことが分かっています。

【帰省10日前から】症状がないことを確認する

帰省する10日前から、発熱など風邪症状がないかを確認してください。何らかの症状を認める場合には、帰省を延期するなどの対応をお願いします。同居する家族の中に症状を認める方がいた場合、家族全員が濃厚接触者であるとの理解が必要です。このため、全員の帰省を延期するようにしてください。 

なお、体調不良を理由に飛行機をキャンセルする場合には、医師の「感染症の怖れがあり飛行機に乗れない」とする診断書の提出があれば(事後でも可)、新型コロナかどうかを問わず往復ともに全額払い戻しが受けられます。同行する予定の家族も払い戻されます。詳しくは航空会社に問い合わせてみてください。

【帰省中】帰省先で感染させないように対策する

帰省してからは、とくにお年寄り、持病のある方に感染させないように注意しましょう。一緒にいるときはマスクを着用したり、トイレなど共用スペースをこまめに消毒したり、お年寄りが先にお風呂に入るようにしたり、といった工夫も有効かもしれません。

ただ、一緒の家で過ごして、食卓を共にしていれば、こうした感染対策には限界があると言わざるを得ません。あまり気にしすぎて互いのストレスを増してしまうようなら、そもそも帰省しなかった方が良かったと感じるかもしれません。何のために帰省したのか、本末転倒にならないように…。神経質になりすぎないことも大切です。

なお、帰省先での外出でウイルスに感染してしまう可能性はあります。ここはしっかり予防しておきたいところです。とくに公共の場所に入るときは、マスク着用や手指衛生などの感染対策を心掛けてください。初詣など混雑が予想される場所では、屋外であってもマスクを着用してください。

そして、帰省中も、発熱など風邪症状がないかを確認しましょう。症状を認めるときは、帰省先の家族や友人と接触することがないようにします。出歩かずにできるだけ個室で過ごし、食事はひとりでとります。(トイレなど)部屋を出なければならないときは、必ずマスクを着用して、アルコールまたは石鹸で手指衛生を心掛けましょう。あちこち触らないことも大切です。受診するときは、あらかじめ医療機関に電話してから受診方法の相談をしてください。

以上、帰省に向けた感染対策の注意点について紹介しました。今回のお正月は、いつもと違ってパンデミックが重なっています。ご家族の体調や地域の流行状況を踏まえて、予定を中止したり延期したり、柔軟に対応できるようにしていてください。

帰ってからは、ここに紹介したことを、できる範囲で心掛けていただければ、それで十分だと私は思います。あとは家族らしくリラックスして、大切な時間を一緒に過ごしてくださいね。

原案:高山義浩 画像制作:Yahoo! JAPAN
原案:高山義浩 画像制作:Yahoo! JAPAN

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】

沖縄県立中部病院感染症内科・地域ケア科

地域医療から国際保健、臨床から行政まで、まとまりなく活動。行政では、厚生労働省においてパンデミック対策や地域医療構想の策定支援に従事してきたほか、現在は規制改革推進会議(内閣府)の専門委員として制度改革に取り組んでいる。臨床では、沖縄県立中部病院において感染症診療に従事。また、同院に地域ケア科を立ち上げ、主として急性期や終末期の在宅医療に取り組んでいる。著書に『アジアスケッチ 目撃される文明・宗教・民族』(白馬社、2001年)、『地域医療と暮らしのゆくえ 超高齢社会をともに生きる』(医学書院、2016年)、『高齢者の暮らしを守る 在宅・感染症診療』(日本医事新報社、2020年)など。

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