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【FIBA U19ワールドカップ】カナダに攻防両面で圧倒されての敗戦。8位でも世界との差は明らか

青木崇Basketball Writer
フィジカルの強さと高い身体能力でカナダに圧倒された日本 (C)FIBA.com

 U19ワールドカップ史上初のベスト8進出を果たした日本だが、カナダ戦で改めて世界トップレベルと競うためには、依然として大きな差があると認識させられる結果となった。

 試合開始から7連続失点と、カナダ戦でも日本はまたしてもスロースタートを切ってしまう。1Q中盤からようやくオフェンスが連動し始めると、武藤俊太朗、川島悠翔に続いて小川瑛次郎が2本決めるなど、3Pショットで追撃開始。一時最大で13点のリードを奪われたが、2Q5分25秒に湧川颯斗が速攻からレイアップを決めると、27対32まで差を詰めた。

 しかし、主力選手たちに疲労が蓄積していることもあり、ボックスアウト後のリバウンド、ディフレクション後のルースボール争いで負けてしまい、カナダにセカンドチャンスを与える機会が増えていく。時間の経過とともにオフェンスのリズムも失われ、プレス・ディフェンスによってターンオーバーを連発したことも痛手となり、カナダに19連続得点を献上して一気に引き離されてしまう。

 ハーフタイムで22点差を追いかけることになった日本に対し、3Qになってもカナダは攻防両面で手を抜くことがなかった。ゼイビアン・リーのドライブや3Pショット、シリル・マルティノフのアリウープやオフェンシブ・リバウンドからのフィニッシュなど、15−0のランで日本のディフェンスを粉砕し、勝負を決めたのである。

大会を通じて限られた出場時間だったが、カナダ戦では積極的に攻める姿勢を見せた坂本 (C)FIBA.com
大会を通じて限られた出場時間だったが、カナダ戦では積極的に攻める姿勢を見せた坂本 (C)FIBA.com

「限られた時間の中で、自分がどれだけできるかというところを経験できた」と話した坂本康成ら、ベンチから出てきた選手たちもチャレンジする姿勢を最後まで見せていた。しかし、ロロ・ルドルフが左ひざを痛めて途中退場、川島もオリビエ・ルーのひじが顔に当たってベンチに下がるといったアクシデントが重なり、日本はカナダに58対107のスコアで大敗。アレハンドロ・マルチネスヘッドコーチは、試合と今大会を次のように振り返った。

「カナダは我々よりフィジカル、高さ、強さとのすべてにおいて上回っていた。それが大きな違いだ。スペーシング、パス、ドリブルし過ぎると難しい状況になってしまうなど、多くの面で我々はレベルアップしなければならない。フィジカルの差は明白だし、全試合でその違いを体感しなければならなかった。ショットや状況判断の向上は必要だし、ディフェンスとボックスアウトの強度を上げなければならない」

 ペイント内で61失点、リバウンドが33−61、ターンオーバーからの失点と速攻からの得点がいずれも7−23というスタッツを見れば、日本がフィジカルと身体能力で圧倒されたことは明白。それは、キャプテンを務めた小澤飛悠の言葉がすべてを物語っている。

「世界は想像以上にレベルが高かったです。フィジカル面とか身体の強さ、リバウンドでちょっと当たっただけで突き飛ばされるし、ディフェンスもコンタクトされただけで飛ばされてしまうので、日本に帰ってからしっかりトレーニングを一から見直して頑張っていきたいと思います」

 大差をつけられての3連敗を喫しての8位という結果に終わったが、ベスト8進出はアンダーカテゴリーの日本代表にとって大きな前進と言える。しかし、10位ながら3勝した2017年のチームは、25点差をつけられたカナダ戦が唯一の大敗。アジア予選を勝ち抜いて再び世界と戦う機会を手にするためには、6年前と何が違ったのかを、日本バスケットボール協会がしっかり検証しなければならない。

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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