Yahoo!ニュース

藤井祐眞が2年連続でBリーグベストディフェンダーに。受賞理由となる他の選手にない強みとは?

青木崇Basketball Writer
ベストディフェンダー賞選出は2年連続の藤井(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 昨シーズンに引き続き、川崎ブレイブサンダースの藤井祐眞は、3つのBリーグアワードを受賞した。特にベストディフェンダー賞は2年連続ということに加え、B1の選手とヘッドコーチ、メディアの投票ポイントが528点。2位のアレックス・デイビス(秋田ノーザンハピネッツ)との差が337点という数字を見れば、文句のなしの受賞と言っていいだろう。

 川崎の大黒柱は今もニック・ファジーカスだ。しかし、肝心な局面でのビッグプレー

に注目してみると、ここ数年は藤井の存在感が増すばかり。ベストタフショット賞に選ばれた横浜ビー・コルセアーズで決めたブザービーターはその代表と言えるものだ。

「個人的にも4クォーターのほうが足が動くというか、試合の終盤、勝負どころにつれて体がなんかどんどんどんどん動いていく。そういうところで4クォーターに相手が一番疲れている時に僕は逆にアドレナリンが出ているのかわからないですけど、どんどん動けているので、試合の終盤にいい仕事ができているのかなと思います」

 J SPORTSで以前インタビューした際に藤井がこう語ったように、第4クォーターでも体が動くというのは、ディフェンス面でも相手にとって脅威でしかない。ボール保持者に激しくプレッシャーをかけ続け、ルーズボールになった際にだれよりも早く反応してダイブをし、ヘルプからチャージングを奪うといったプレーでチームを鼓舞でき、ファンはそれを見て熱くなる。

 筆者が最も印象に残っている藤井のディフェンスは、シーホース三河戦で通ればアリウープダンクというパスをスティールしたプレー。速攻からあっさり2点を奪える状況で、178cmのポイントガードが全力疾走でディフェンスに戻ってアリウープダンクを阻止したのは、今シーズンのBリーグにおけるスーパープレーNo.1という評価に値する。これは、“野生的”、“直感でやるタイプ”という藤井のプレースタイルを象徴していた。

「戻ってよかったなというか、ああいうのが持ち味というか、そういうことだと思う。本当にあきらめない、最後までボールに対して少しでも…。いつもJ(ジョーダン・ヒース)のチェイスダウンのブロックだったり、Jが一人で戻って止めているシーンを見ているので、僕も戻って止めたいという気持もありましたし、あそこは戻って止められることができてうれしかったです」

 Bリーグ初制覇を成し遂げた千葉ジェッツの司令塔である富樫勇樹、身長のミスマッチがありながらもディフェンスされた経験がある今シーズンのMVP受賞者の金丸晃輔(シーホース三河)は、藤井のディフェンスを次のように表現している。

「どうですかね、何といえばいいんですかね。あのしつこさといい、何といえばいいんですかね、あのディフェンスは…。永遠に同じスピードで動き続けられる体力といい、もちろんディフェンスの読みだったりも含め、彼がこうやってベストディフェンダーとして2年連続で表彰されているのは、マッチアップしていても感じます。とりあえずしつこいです」(富樫)

「とにかく運動量がすごいなと思うのと、シュートチェックに関しては到達するのが早いかなというイメージがあって、あとは球際がすごく強くて、ルーズボールは100回やって100回負けるだろうと思います」(金丸)

 チームメイトになって7年のファジーカスに質問したところ、「彼はタフで、すごく素早いし、相手のセット(オフェンス)を理解して崩すのもうまい。どうプレーすればいいかわかっているから、相手からすると厄介だと思う」という答えが返ってきた。

 富樫と金丸が評価する並外れた体力、執拗なところ、ルーズボール争いにおける強さに加え、ファジーカスが感銘する相手のオフェンスを予測して反応できる能力は、他の選手にない藤井の大きな武器。インパクトのあるプレーだけに限ったことではなく、試合を通じてタフなディフェンスをしてきたことを重視すれば、藤井は2年連続のベストディフェンダー賞選出に相応しい。

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

青木崇の最近の記事