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旧車人気はさらに過熱か、過去最高の来場者数だったノスタルジック2デイズ

高根英幸自動車ジャーナリスト
マツダが1970年に公開したコンセプトカー、RX500。筆者撮影

国産車を中心とした旧車のイベント「ノスタルジック2デイズ」が今年も開催された。自動車関連の雑誌を多く刊行する芸文社が主催するこのイベントは、旧車専門店やオーナーズクラブ、ミニカーショップやオートモビリア(自動車趣味のグッズ)などを扱うショップが凝縮された空間だ。

会場内を歩いてみて、以前より目立ったのが熟年夫婦が多いことだ。従来は60代、70代のクルマ好きな男性が友人と一緒に、かつての思い出のクルマ、憧れのクルマを見て回る姿が圧倒的(今も多い)だったものが、変化してきている。それだけ旧車趣味が一般的になりつつある、ということだろう。

エンジン車がなくなるといった報道から、「今のうちに乗りたいクルマに乗っておこう」というムードが高まっているようだ。旧車は今残っている個体しか手に入れることはできないから、近年価格が上昇しているが、昨年あたりからはそんな過熱ぶりは沈静化しているようである。

それでも今回は2日間で4万人を超える来場者を記録したというから、旧車人気は衰えを見せていない。

価格は落ち着きつつあるが、市場は拡大の傾向

旧車の買取と販売を行なう業者の営業マンに聞いたところ、過熱気味だった一昨年あたりまでのブームで欲しい人は手に入れてしまったことで需要は一服。昨年あたりから終活でガレージ整理などを行ない始めた高齢ドライバーも出てきて、やや市場で旧車がダブつき始めているから価格がかなり低下しているそうだ。

それでもスカイラインGT-Rなどの特別なモデルは相変わらずの超高額だが、スカイラインGTなど普及モデルに関しては価格は下降しているらしい。

そんな予備知識を持って会場内を歩いてみたのだが、それでもハコスカのGT-Rはこんなにあるのかといった印象をもつほど、旧車のレベルアップも進んでいた。

自動車メーカーも、こうしたムーブメントを重視しており、日産の子会社であるNISMOは今回のイベントで開発中のL型エンジン(SOHC2バルブヘッドの直列6気筒エンジン)に換装するDOHC4バルブヘッドを公開した。

マツダは初代のユーノス・ロードスターのレストアを受け付けるなど独自のサービスを展開しているが、今回は注目が集まるロータリーエンジンをテーマに、1970年に発表したコンセプトカーのRX500と、コスモスポーツの試作車を展示した。

いずれは現在生産されているクルマも純エンジン車として価値が見直され、高騰するのだろうか。しかし樹脂部品だらけで使い捨てのような作りのクルマは、いくらエンジンパワーがあり、ハンドリング性能が高くても、長い期間その性能を維持していくことは難しい。

それでも3Dプリンターやリバースエンジニアリングなどで廃番部品を補う技術は整いつつある。今ある旧車を楽しむ環境は充実化の一方だ。

日頃はEVやハイブリッド車を利用しながら、週末は旧車を走らせて、その味わいを仲間と楽しむ。そんな旧車ライフが当分は続いていくという印象を受けた。

自動車ジャーナリスト

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。芝浦工業大学機械工学部卒。これまで自動車雑誌数誌でメインライターを務め、様々なクルマの試乗、レース参戦を経験。現在は自動車情報サイトEFFECT(https://www.effectcars.com)を主宰するほか、ベストカー、クラシックミニマガジンのほか、ベストカーWeb、ITmediaビジネスオンラインなどに寄稿中。最新著作は「きちんと知りたい!電気自動車用パワーユニットの必須知識」。

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