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【ChatGPTに訊いてみた】高齢ドライバーの安全対策とは? 我々ができることは何だ<後編>

高根英幸自動車ジャーナリスト
高齢者もクルマを運転し、充実した人生を歩みたいものだ。写真Adobe Stock

前編では、高齢ドライバーの運転能力の低下が起こす危険性や、それを防ぐ手段、運転免許の定年制などについてChatGPTに問い、回答を得たが概ね筆者の考えに近いものであったことが確認できた。後編ではさらに積極的な安全対策についてChatGPTに問い、その回答を考察していく。

<前編はこちら>

Q.軽自動車より小さいEVである超小型モビリティは、高齢者ドライバーを救う手段にはならないだろうか?

A.超小型モビリティは、高齢者ドライバーを救う手段の一つとして機能する可能性があります。これらの車両は一般的に運転が比較的容易であり、短距離の移動に適しています。高齢者が運転に自信を持てない場合や、長距離を移動する必要がない場合には、超小型モビリティを利用することで、自立した移動手段を確保できるかもしれません。

ただし、超小型モビリティも安全性や利用のしやすさに関する課題があります。高齢者の身体的制約や認知機能の低下に配慮し、設計や利用方法を工夫する必要があります。また、交通インフラや法規制の整備も重要です。

超小型モビリティは高齢者ドライバーを支援する手段の一つとして検討されるべきですが、それだけではなく、他の手段と組み合わせて包括的な支援体制を構築することが重要です。

これは筆者の考えとほとんど同じだった。日本で超小型モビリティがなかなか普及しない原因は法整備の遅さとインフラ整備だ。自転車レーンさえ満足にできない日本の道路で、原付以上軽自動車未満の超小型モビリティを走らせる場所を確保するのは難しい。

それが分かっているから法整備が遅れたのだが、軽自動車でさえ人を殺傷するには十分すぎることが再認識された今、誤操作しても被害が軽減される超小型モビリティを導入することは、有効な安全対策だろう。

問題は高齢ドライバーだけに限らない

Q.ではドライバー全体に運転への責任を再認識させるにはどうしたらいい?

A.運転への責任を再認識させるためには、以下のような方法が考えられます:

1. 教育と啓発活動:運転に関する安全意識を高めるための教育プログラムやキャンペーンを実施し、適切な運転行動やルールの重要性を広く啓発します。

2. 事故のリアルな体験:交通事故の現場や被害者の体験を紹介することで、運転のリスクや責任の重さを実感させます。

3. 制裁と罰則の厳格化:違反行為や交通事故に対する厳格な制裁を行うことで、運転者が責任を持つことを促します。

4. テクノロジーの活用:運転支援システムやドライバーモニタリングシステムを活用し、運転者の行動を記録し、改善の余地を示します。

5. 社会的圧力の形成:運転者同士が互いに安全な運転を奨励し、安全な運転を評価する社会的な文化を形成します。

これらの取り組みを組み合わせることで、運転への責任を再認識させることができます。

1.は「言うは易し、行うは難し」というもので、運転免許を取得した時からドライバーは権利意識が働き、運転や交通ルールに関して新しい情報を得ようと努力することを忘れてしまう傾向が強い。特に日本は自動車教習所という施設が充実しているから、余計にそうなってしまうのだ。せいぜい免許更新時の講習程度の現状から、安全意識を高めるための啓発活動をどう変えていくのかが課題だ。

高齢ドライバーの運転能力低下についても、中年層は他人事に捉えているドライバーも少なくない。つまり10年後、20年後は自分の身にも起こりうる問題なのだということを意識していないのだ。ここが改善されないと、高齢ドライバー問題はいつまでも続くことになりかねない。

そういう意味では3.の罰則の厳格化は効果的だが、現時点で軽微な交通違反を検挙するのは物理的に難しいだけに、カメラやAIを使って自動的に検挙して反則金を納付させるシステムでも確立しなければ、ドライバーは用心しないだろう。しかしそれは監視社会の一層の束縛になり、そんな交通社会を誰が望むのだろうか。

Q.話を進めよう。5.の社会的圧力とはSNSも含まれるのだろうか?

A.はい、SNSも社会的圧力の一形態として考えることができます。SNS上での投稿やコメントは、他の人々に対して影響を与えることがあります。例えば、安全な運転を奨励する投稿や、違反行為や危険な運転に対する非難のコメントは、運転者に対して社会的な圧力をかけることができます。

また、SNS上での情報共有やキャンペーン活動を通じて、安全な運転の重要性や遵守すべき交通ルールについて広く啓発することも可能です。SNSは広範な人々にリーチすることができるため、運転への責任を再認識させるうえで有効なツールとなり得ます。

と言うことは、SNS上でのドラレコ動画による危険運転などの晒し行為も、社会的な圧力として危険なドライバーに対して抑止力となり得ると思っていいようだ。あまりに悪質なドライバーには証拠として警察に動いてもらいたいものだが、そこまでいかなくても、他人の危険行為を見ることで自分の行為を改めるドライバーが増えることを期待したいものだ。

高齢ドライバーの危険な予兆を整備業者に検知してもらう手も

Q.高齢ドライバーが重大な交通事故を起こす前には、何らかの兆候があるものだ。例えば自宅の車庫に駐車するのも難しくなってクルマのあちこちをぶつけてしまうなんてのもよく聞く。とはいえ警察官は街を走っているすべてのクルマ1台1台をチェックできないから、整備業者に車検時にチェックしてもらうのは有効な手段ではないだろうか?

A.整備業者が車の損傷をチェックし、警察や交通安全専門家に通報することは有効な手段と言えます。整備業者が車検や整備を通じて車の損傷をチェックすることで、高齢ドライバーや他のドライバーによる交通事故を未然に防ぐことができる可能性があります。

警察官が1台1台の車をチェックすることは難しいため、整備業者が事前に車の損傷をチェックして警察に通報することは重要です。ただし、警察や交通安全専門家による運転能力の評価が必要となる場合もあるため、運転者が高齢であるかどうかにかかわらず、適切な専門家による評価が重要です。

確かにその通りだ。こちらの意図がようやく伝わったようである(実はここに至るまでには何度もやり取りがあった)。最終的にはドライバーの運転能力を確認する手段が必要だろう。それにChatGPTが言うように高齢でなくても、あちこち擦り傷だらけのボディのクルマに乗っているドライバーは、運転能力をチェックする必要がある。

整備業者からは、日々の業務が複雑化することに反対の声が挙がるかもしれないが、交通社会の治安を担う関係者の一員として、それなりのコストを払って協力してもらうのは有効ではないだろうか。

こうした対策案は、日頃運転していて危険を感じるドライバーならば、思い付くようなものばかりだ。なのに日本の道路行政は対策が遅れている。人工知能ですら指摘し、改善案を提示できる以上、行政はそれ以上の働き、すなわち実効力を伴って高齢ドライバー対策をしてほしいものだ。

自動車ジャーナリスト

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。芝浦工業大学機械工学部卒。これまで自動車雑誌数誌でメインライターを務め、様々なクルマの試乗、レース参戦を経験。現在は自動車情報サイトEFFECT(https://www.effectcars.com)を主宰するほか、ベストカー、クラシックミニマガジンのほか、ベストカーWeb、ITmediaビジネスオンラインなどに寄稿中。最新著作は「きちんと知りたい!電気自動車用パワーユニットの必須知識」。

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