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<ガンバ大阪、ガンバ大阪U-23>史上初、リモートマッチでの『大阪ダービー』。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

7月4日に待望のJ1リーグが再開。『大阪ダービー』からリスタートを切ったガンバ大阪。先発メンバーにはJ1最多出場記録更新が期待されていた遠藤保仁も名を連ね、チームメイトが本人にはサプライズで『632』の数字が刻まれたTシャツを着て祝福。彼のためにも、またリモート観戦になったサポーターのためにも『勝利』を合言葉にキックオフを迎えたが、前半からなかなかギアが上がらないままアディショナルタイムに失点し、0−1で折り返す。後半、ビハインドを負った展開に宮本恒靖監督が早めに動き、積極的にメンバーを入れ替えながら攻勢に試合を進めたが、62分に再び失点。その直後にはペナルティエリア内で放った小野瀬康介のシュートが相手DFのファウルを誘い、PKに。キッカーに立ったアデミウソンが冷静にゴール右下に決めたが、それ以上のゴールは奪えず1−2で敗戦した。

また、トップチームが味わった屈辱を晴らすべく翌5日には、弟分のガンバU-23が同じくホームで再び『大阪ダービー』に臨んだが、前半こそ相手の攻撃を受けるシーンも多かったとはいえ集中を切らさない守備で耐え凌ぐと、システムを変えた後半は状況が一転。攻撃にリズムが生まれ相手を押し込む時間も増えるが、最後までゴールは遠く。スコアレスドローで試合を終えた。ガンバ大阪、およびガンバ大阪U-23の『大阪ダービー』後のコメントをお届けする。

<ガンバ大阪>

●MF遠藤保仁

(J1最多出場記録達成について)非常に嬉しく思います。これまでサポートしてくださった皆さんのおかげだと思うので感謝しています。(残念な結果になってしまいましたが、試合が始まる時は、どんな気持ちでこの一戦を迎えられましたか?)ピッチに入る時はいつも通りにいい試合をしたいと思っていました。みんながTシャツとかを着てくれたりして非常に嬉しかったです。(Tシャツはサプライズだったんですか)はい、全然知らなかったです。チームのスタッフが用意してくれたので非常に嬉しく思いました。(記録を意識することはなかったですか?)この1〜2週間相当、そういう質問が多かったので、意識というか意識せざるを得ない状況で試合を迎えましたが、試合に入る時はそんなに意識しなかったです。(久しぶりの公式戦でした。リモートマッチになりましたがゲーム感を含めて、いつもと違う感覚を覚えたところはありましたか?)ゲームの感覚はそんなに…普段のシーズン中とそんなに変わらなかったかなと思いますけど、なにせ無観客だったのでいろいろと難しいところはあったんじゃないかと思います。(具体的には?)試合のテンポがなかなかあがらないだろうな、ということはやる前からわかっていたことだったので、その辺は多少なりとも割り切ってやっていましたけど、やっぱり先に点を取られると相手も硬くなってしまうし、ああいう展開になってしまうな、と。その辺は難しかったなと思います。(ご自身はどういうプレーをイメージされていたのでしょうか?)基本的にはしっかりゲームを作ることが最大の役割と思っていました。ただ、なかなかビルドアップもうまくいかない場面も多かったですし、自分がうまい具合につなぎ役になりたいとは思っていましたが少しロングボールも多かったので、チーム全体としてももう少し…夏場ということを踏まえても、相手を走らせるようなビルドアップなり、攻撃ができればよかったのかなと思います。

●MF宇佐美貴史

(チームとして、なかなか前への推進力が出ませんでした)相手も素早く戻って、余裕を持ってブロックもしっかり作ってくるチームだったので、陣形が出来上がる前にボールを奪って早く攻めるということができればよかったですが、そこがなかなか…ボールを奪って早く攻めるというシーンは少なかったですし、そういう中で、相手の陣形を崩していくというところも、なかなかうまくいかなかったかなと思います。(そこは無観客の影響もあったのでしょうか)それが影響したとしても、しばらくはこの状況が続くでしょうし、去年も前に前にという意識がなかなか足りていなかった時期に、監督からそういうチームとしての意識づけがあって、どんどんゴールに向かっていくというところを練習から取り組んだことでどんどん良くなっていっていた部分もありました。ただ、それが今回、約2ヶ月の中断期間の中で、1ヶ月全体のトレーニングをしてきましたが、そういう感覚を…どんどんボールより前に出て行く姿勢だとか、どんどんゴールに向かって進んで行くシーンは少なかったと思いますし、そういう感覚というか、ここぞというときに人数をかけるとか、どのタイミングで誰が仕掛けるか、というところはまだまだチームとしての伸びしろだと思っています。

<ガンバ大阪U-23>

●FW高木大輔

(ここでプレーするのは本望ではないと思いますが、ここ2試合、U-23で先発出場しました。ご自身としてはどんなことを考えてJ3の舞台を戦ったのでしょうか)ポジティブに捉えてというか、年齢的なことをいえば一人、オーバーエイジになっていますが、僕に限らず、ここにいる選手はみんなトップチームで出たいという気持ちでやっていますし、その中でオーバーエイジを使ってでもJ3で出させてもらっているという感謝の気持ちもあるし、公式戦を戦っておくことはいざトップチームで出るとなったときに心構えというところでも大事だと思って臨んでいます。ただ、まだまだ自分のパフォーマンスがJ3でも全然できていないのでそこは反省しながらもっともっとトップに繋げていかないといけないと思っています。(前半相手に押し込まれ、後半システムを変えた中でリズムをつかみましたが、0−0で折り返した後半の攻撃というところで考えていたことは?)このメンバーではぶっつけ本番というか、なかなか練習ができていない中で押し込まれたり、連携のミスはありましたけど、後半に関しては僕らもシステムを変えて全体的な距離感もよくなったと思うし、すごく後半は相手を押し込めたと思うので、それができたのはよかったと思います。ただ、シュートの本数とかフィニッシュにいくところが少ないのでそこはまだまだ課題かなと思います。(移籍して初めての大阪ダービー。昨日、今日とリモートマッチでの開催で本来の『大阪ダービー』とは違う雰囲気での開催でしたが、『大阪ダービー』に特別な意識はありましたか?)昨年、アウェイの試合でしたけどヤンマースタジアム長居に観にいって、他の試合とは違う雰囲気を感じましたし、ガンバサポーターがアウェイでもすごく熱を持っていたし、セレッソサポーターも熱かったし、独特の雰囲気があるなというのは感じていました。その中で絶対に負けられない戦いだと思っていたし、昨日、カテゴリーは違いますが、トップチームがああいった形で負けてしまったので、今日はチームメイトとも、強い意気込みを持って、絶対に勝とうという話をして臨みました。結果、勝てなかったですけど…J3ですけど僕自身も初めての大阪ダービーだったので勝てなかったことは悔しいです。(後半、4−4−2になってボールがよく回るようになりました。その理由を聞かせてください)選手個々の特徴として…例えば、オム(山口竜弥)にしても、3バックの左ろより、左サイドバックをした方が生き生きするところもあると思うし、全体としても3バックより4バックの方がいいということは前節から感じていました。また僕自身も、前半はちょっと翔自(唐山)や修平(川崎)との距離感が遠かったですけど、4−4−2に変わってから全体的な距離感がよくなったのは、一番の要因だと思います。

●DF タビナス ジェファーソン

(移籍して初めての大阪ダービー。昨日、今日とリモートマッチで本来の『大阪ダービー』とは違う雰囲気での開催でしたが、多摩川クラシコなども経験されてきて『ダービー』の意味は理解していたと思います。その中で今日の一戦を迎えるにあたり特別な意識はありましたか?)ダービーだからと特別、意識したことはなかったですが、やっぱり試合をやる以上は負けたくないので100%準備をして、挑もうと思っていました。(もともとは左サイドバックが多かったですが、今、J3リーグではセンターバックをする機会が多い。楽しさは感じていますか)そうですね。センターバックをやることでよりサッカーを知れているというか、サッカーはやっぱり真ん中のポジションが一番大事と言われているのでそこに立てることにはすごく嬉しさは感じます。(サイドでプレーする時と見え方は全然違うと思います。トレーニングで慣れてきたと思いますが、センターバックをやる中で意識しているところは)ボールを受けるとき、守備のとき、繰り返しポジショニングを取り続けることはずっと言われていることなので、そこは意識しています。また自分の良さである、左足での縦パスだったり、ロングパスとか攻撃の起点になるようなパスをもっともっと自分から出せたらこれからもっと可能性が広がっていくのかなと自分では思っています。そのためにも、もっともっとミスを減らして、ちゃんと立つべき場所にポジションをとって、それを繰り返し90分できるようになれば自分の良さがもっと出てくると思います。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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