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<ガンバ大阪>遠藤保仁の22年連続となる今季初ゴールで3連敗を止める。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

今季初の3バックで臨んだガンバ大阪は前半、大分の良さを消すべく、敢えて我慢の守勢にまわり、試合を進める。その中で唯一、25分に先制を許したものの、それ以外は危ないシーンを作られることなく0-1で折り返す。勝負に出た後半は、立ち上がりからFWアデミウソンを投入し4バックに変更。我慢の前半を乗り越えてチームとしてもギアを上げたことで攻撃が躍動し、71分にはMF遠藤保仁の22年連続のゴールが決まる。その後もチャンスは作ったガンバだったが、それ以上にゴールは奪えず1−1で試合を終えた。試合後のガンバ監督、選手のコメントをお届けする。

●宮本恒靖監督

ー3バックの狙いと、ファン・ウィジョ選手とアデミウソン選手がベンチスタートになった理由を教えてください。

アデ(アデミウソン)は前節の試合のあたりで出たものが残っていて、今日の朝、昨日くらいまでギリギリだったということでベンチスタートにしました。ウィジョに関しては3バックでスタートする、相手が狙いとするサッカーをさせない中で、奪ったボールを起点にするということで千真(渡邊)を起用しました。少しウィジョもこの何試合かで疲れが見えたので、少しリフレッシュさせるという意味で、後半勝負にいくというゲームプランの中で千真をスタメンにしました。3バックについてはスペースを消すとか、そういうことがありました。

ー大分も繋いで来るチームだと思いますが、失点するまではボールを持たれる時間が長かったと思います。それははめられなかったのか、失点したことで点を取らなきゃいけないということで前からいかなきゃいけない、ということで前からアグレッシブにいったのでしょうか。

相手にボールを持たれる展開が続いても、それはいいと。逆に持たせるというか、そういう中で、さきほども言いましたが、後半リズムを変えて攻めに行く、と。アデにしろウィジョにしてもコンディションのところで90分はどうかというのはありましたし、そういった中で千真や藤本(淳吾)を起用しながら、90分の中で相手を上回るということを狙いにしていました。そういった面では背後のスペースをなくすために落とし気味に守備をしました。もちろん、点を取られてからは、少し前に、ボールを奪いにいかなきゃいけないということで、後半に関してはボールを前から奪いに行くという戦術的な変更はありました。

ー前半の45分がもったいないようにみえましたが、監督は前半を振り返ってどう評価されますか。

もったいないというのはどういう意味での「もったいない」でしょうか?

ー後半の戦いをみれば、ホームですし、もう少し攻撃的なサッカーをできたのではないかという見方もあると思うのですが。

ホームで勝ち点をあげられていない中で、ホームだから攻撃的なサッカーをしなければいけないのか、そのサッカーをして、裏返しにされれば負けてしまうと意味がないと思うので。もちろん、後半みせたような、攻撃的なマインドは持ちながら、でも45分はコントロールしながら、という我々のプランがありましたし、それに関して選手が後半にみせたテンションのものを最初から見せていたらおそらく90分は持たない、ということを考えた中では、1-1に終わりましたけど、後半に関しては良かったと。ただ、前半に関してもったいないことがあったということなら、失点の部分はもったいないと思いますが、45分がもったいなかったとは思いません。

●MF倉田秋

いつもと違う戦い方をして、うまくいったところもあるし、いかなかったところもあるので。ただ後半、アグレッシブにゴールを狙う姿は見せられたと思うので悪くはなかったと思う。(前半は失点シーンもそうだし、あそこまでボールをとりにいかないガンバは倉田選手にとっても初めてだったんじゃないかと思う。割り切ってプレーしていたのでしょうか)僕は割り切って後半勝負と思っていたし、実際、あの失点以外はやられるとか、危ないシーンも何も作られなかったので。ただ失点のところの…ハンドかハンドじゃないかとか、そういったところは正直、もう少ししっかり審判に見てもらいたいとは思いました。(前半の狙いでいうと、相手の藤本選手に対するスペースを消せたという意味で、チームとしては狙い通りだということですか?)そうですね。失点以外は狙い通りでパワーを貯めれてもいたので、だから後半攻撃にいけたところもあったと思います。(アデミウソンとウィジョがベンチスタートになった時点である程度後半勝負という意思統一をチーム全体としてもしていたと?)まあ、そうですね。でも前半耐えて、セットプレーなんかで一発とれればいいなというくらいの気持ちでいました。

●MF藤本淳吾

(前半はあの1本だけだったと考えても、もったいない失点でした)もったいない失点というか…なんとも言えないですね。副審の態度もどうかなというか…もっとフェアに話してもらえたらと思います。でもとりあえず負けはストップできたので。後半は1点取らなきゃいけないというのでシステムを戻して…もっと取りたかったですけど、チームは勢いをもっていたので。(前半、相手にボールを持たせた、という意味ではプラン通り?)そうですね。相手の10番の選手が裏に抜けるというか、一発があるのと、大分はこさせて奪うのはストロングポイントなので、別にいかなきゃ攻めるしかないわけですから。ただ、正直、怖さも特に感じなかったし、あとは自分たち次第なところで、ああいう失点になってしまったのは残念です。(後半の勢いを見ればこそ、スタートからあれでも、という見方もできますが、スタートからあの戦いを、ということでは現状、チーム体力として厳しいと)そうですね。大分は後半みたいに、ああやって前からいくと、相手の監督が間、間でポジションをとらせてくるので。そう考えると後半の戦いを最初からやっていたら、90分もっていたかどうかはクエスチョンだったと思います。なので、本当にあの前半で失点がなければ、全然問題ないし、プラン通りだったと言えたと思います。(久しぶりに先発出場でしたが『出し手』の役割は意識していたのかなと思いますが)そうですね。前半、一本、オ・ジェソクに出したようなボールが(注:35分)もう少し出せればね。あそこも、秋が下がったところに相手のDFが食いついたのが見えたので、その裏にジェソクがきていて、低いボールでも間を通せばいけるなと思って入れたんですけど、ああいう回数を増やすことですね。もうちょっと関われたら良かったなとは思います。もう少しポゼッションの時に、ポンポン回しながらこのまま続けばいいなっていうところで無理して突っ込んだりしていたので、そこを改善できればなっていうのはあります。ただ、このシステムを続けるのかわからないし、4−4−2でやるならそれ相応のハードワークをしなければ僕も試合には出れないと思うので、自分の特徴を出しつつ、やっていくしかないなと思います。でも今日は連敗を止められたというのはポジティブに考えてもいいと思います。

●MF田中達也

(3バックで、得意な右ウイングで入りました。役割としては)背後のスペースをみてくれということだったので、それだけです。(後ろが重くなったこともあって特徴というか、思うような形が作れなかったという印象が強いですか?)もちろん、個人的には攻撃をもっとしたかったし、前にいけないわけじゃないというか、うまく攻撃できているときはうまくいけるという感じもあったので、もっと攻撃したかったというのは本音です。ただ、それは監督の戦術的なことが第一で、それは納得してやっていたので。(移籍してきてチャンスがなかなかなかった中で期する思いが強かったのかなと思いますが)そうですね。自分が出ることになった時にできるプレーを全力でやるっていうことをやるだけだと思っているので、これからも気負わずにやっていけたらと思います。

●GK東口順昭

(システムを変えて臨んだ試合でしたが)失点してしまったので、そこをゼロでいけたらまた違った展開になったと思うし、自分自身、もったいない失点でチームをしんどくしたかなと思うんですけど、後半、システムを変えて、ためていたパワーを出せて、追いつけて…追加点のチャンスもありましたけど、いっぱいいっぱいだったとも思います。(失点シーンはハンドにも見えましたが)僕もハンドだと思いました。(余計に悔しさが残りますか?)そうですね。(勝てない試合が続いている中で前半は守備からしっかり入ろうということが狙いですか?)だと思います。相手の外し方もうまいというところで、あまり自分たちでスペースを与えないように守備をしていこうということで入りました。引いた分、前に出ていくにはパワーがいるので、そこは少しゴールまで遠かったなっていうのはありましたけど。(後半の攻撃のパワーを見ていると、後半の形でもいいのかなと見えた一方で、90分の戦いを考えれば後半パワーを溜めるのは得策という見方もできましたが)後半、結構オープンな試合になって、体力的にはあれを前半から、90分やっていたらどうだったのかなっていうのは確かにあるので、前半引いて、っていうところは今日に限っては良かったと思います。(連敗が続いていた中でポジティブに考えられることは?)勝ち点1をとれたこと。相手は順位的にも格上なので、そこは順位が物語っている通りの戦い方は間違っていなかったと思います。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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