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<ガンバ大阪U-23>2位・鹿児島ユナイテッドFCとの上位対決は引き分けに終わる。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

大阪府北部地震の影響で万博記念競技場ではなく、パナソニックスタジアムに会場が変更されたJ3リーグ18節・鹿児島ユナイテッドFC戦。立ち上がりから集中力の感じられる、いい入りを見せたガンバは再三にわたり相手ゴールを脅かし、10本のシュートを放つもゴールを決められず、0−0で折り返す。後半は、鹿児島ユナイテッドFCにペースを握られた時間帯もあったものの、GK鈴木椋大を中心に安定した守備を展開。相手にゴールを許さなかったものの、最後まで1点は遠く、スコアレスドローに終わった。試合後のガンバ大阪U-23監督、選手のコメントをお届けする。

●宮本恒靖U-23監督

今日はまず、大阪府北部地震と西日本豪雨の被害に遭われた方に対して、我々として何を見せられるのかを選手に問いかけた中で、我々はサッカー選手として人々に夢、希望を与えられる存在である、ということを考えた時に、それを見せなければいけない、ピッチで表現しようということを伝えて臨みました。それに対して選手も気候は厳しい中でしたが、立ち上がりからアグレッシブにゴールを目指してプレーしてくれたと思います。その中で点を取りきれなかったのは残念ですが、それは個人の工夫だったり、ラストパスの精度、シュートコースの甘さだったと思います。それが前半でしたが、後半に入って相手が少しボールを持つ時間帯もあり、なんとかゼロに抑えられたのは良かったのですが、勝ち点にこだわった試合ということでいうと残念な結果となってしまいました。ただ、先ほどお話したようなメンタルの部分をピッチでどう表現するのかっていう課題を与えた中で、それをみせてくれた選手というのは、評価していいのかなと思っています。またアウェイで盛岡の試合があるので結果に繋げられるようにしたいと思います。

ー大阪府北部地震もあり、少し公式戦から遠ざかる中で迎えた試合で入りは難しかったと思いますが、監督がおっしゃったように立ち上がりから集中して進めた試合だったと思います。改めてそこの評価について聞かせてください。

去年からこのU-23チームをみていますが、その部分に少し甘さがあったと思うんです。今年に入っても、まだその甘さは見られていました。でも少しずつそこが改善されるようになり、ここまで、いい入りをしている試合もありましたが、今日の試合が今までの中で一番良かったと思いますし、ゴールに繋がっていればより自信になっていたんじゃないかと思います。それができた理由の一つは、何を見せるか、っていう問いかけに対して、選手たちがこれを見せるという風にしっかりと気持ちで応えてくれたということだと思います。

ーこの中断期間から、トップチームとU-23がセパレートする形でトレーニングをしています。U-23の方に振り分けられた選手の悔しさとか、ここからトップに上がっていかなきゃいけないというメンタリティもモチベーションになっているとお考えですか?

セパレートになった週の初めに、ピッチで選手と少し話をして、やるしかないよな、と話しました。その上で、それぞれの課題や長所を伝えながら、それを改善していこうという話をして、そこから数週間、選手は本当に集中力高く練習に取り組んでくれていると思いますし、もっと個の改善やトライはしていきたいと思っています。ガンバとして、トップで活躍する選手を育成するというのがこのチームの意義ですが、去年も言いましたが、今後もサッカー選手として必要なスキル、要素というものを数多く示していけるようなトレーニングをしていきたいと思っています。

ー2トップの迫力が出てきましたが、そこの手応えと今後への期待感について聞かせてください。

トレーニングでやっていることをうまく選手がピッチで出してくれたところもありますし、シュート練習ひとつとっても、これまでなんとなくやっていた部分が、試合のシチュエーションを考えた中で、意識してやってくれていると思います。それを今日の試合の中で見せようとした、と。だからこそ、それを結果にして欲しかったですけど、その姿勢は本当に間違いないと思います。ただ、これがリーグ戦で優勝争いをしている、勝たなければいけないゲームだとするならば、それを決め切るという、もう1つ、2つ上のレベルのメンタルや姿勢、最後のプロとしての力は植え付けていかないといけないし、それを求めてやっていきたいです。

●FW一美和成

前半いい形が多かったのに決めきれなかったことで後半がきつくなってしまった。いい形でゴール前までいけているし、シュート本数としては打ったんですけど、最後のアイデアのところをもっと増やしていかなければいけないと思いました。(2トップの関係も良かった)そうですね。関係性もよくなって来ていると思うので、次の試合に向けてもっと連携を高めていけばゴールを揺らせるんじゃないかと思います。彰人(高木彰人)と2トップの関係で、お互いをみながらプレーしている中で、彰人がパスコースになってくれる分、僕はボールを失わずに起点になれるのですごくやりやすいです。(試合前には大阪府北部地震と西日本豪雨で犠牲になられた方への黙祷が行われた。一美選手自身は故郷熊本地震の際にもいろんなことを考えたと思いますが、今日はどんなことを想って試合に臨みましたか?)試合が始まる前にツネさん(宮本恒靖U-23監督)からも勇気と希望を与えられるようなプレーをしようという話があったので、自分たちもそれを意識してプレーしたし、最後まで引き分けでしたが、走りきることができたんじゃないかなと思います。熊本地震の時も僕たちが試合で勝てば、熊本の人が喜んでくれたりしていたので、今日も自分たちのプレーで喜んでもらえる人がいるということをしっかり気持ちに据えてプレーしました。

●DF松田陸

(点を取れなかったというイメージなのか、押し込まれた時間もあったと思えばよく耐えたと思うのか)前半はチャンスを結構作れていたので、そこで決めていれば後半はもっと楽に試合ができたのかなって思いますけど、後半も後半でみんなで体を張って、1点もとらせずに終えられたのは次に繋がる部分だったと思います。(松田選手からも効果的なクロスが何本か入りました)クロスはいつもダメなんですけど、いま練習しているところなので、今日は少し出せたかなって思います。それを上位相手に出せたというのは練習していた成果だと思います。(クロスに対して中の入りもよくなっている分、あげやすいところもあったのでしょうか)そうですね。中に必ず2〜3枚入ってくれるので、いいボールをあげれば合わせてもらえると思っていました。(試合前にはツネさんから大阪府北部地震と西日本豪雨の話もあったと思います。その通りに最後までみんなが体を張って戦えましたね)やっぱり相手が上位だし、勝てば上にいけるチャンスなので、そういうところでしっかり体を張れたんだと思います。(ご自身はどういう意識で臨みましたか?)J3でも見に来てくれる人がいるので、チームが勝てばまた喜んでくれる人もいると思ってプレーしていました。これからも1つでも多く勝って高い順位にいきたいです。そうやって勝つことで見に来ている人を喜ばせたり、励ませたらいいなって思います。

●DF西野貴治

後半は危ないシーンもありましたが、椋大(鈴木椋大)含めて、野田(野田裕喜)と3人で声を出し合いながら最後まで守りきれたのは良かったです。(監督からは試合前、大阪府北部地震と西日本豪雨に関する話があったということでした。そういう部分でもメンタル的に揃って戦えたという手応えはありますか?)そうですね。僕自身も茨木市出身で、実家の方は震災の被害にあいましたし、映像で大雨の様子を見ても感じることは多くて、そういう中で自分たちがサッカーができるという責任を感じながら、見に来てくれた人たちに対しても、見にこれない人に対しても、いい報告ができるようにっていうのは想っていました。そういう中で全員が気持ちを出して戦うということはできた試合だったと思います。ただ勝ち切りたいと思っていたので、そこは残念でした。(守備は相当、安定していました。どこを意識していましたか)相手が1トップ気味に残っていて、そこは野田と二人でケアをしようという話はしていましたし、ボランチが今、前に出ていく、つぶしにいくというチャレンジをしているので、そのなかで僕たち二人がボケてしまったらうまくいかないと思ったので、声を出し合いながらケアしあいながらやっていて、そこは今日すごく良かったなと思います。(守備陣としては最低限やるべきことはやれたと)そうですね。無失点というのはありますし、椋大のスーパーセーブもありましたし、暑い、タフなゲームの中でゼロに抑えられたのは良かったと思います。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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