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<ガンバ大阪U-23>ホームでのFC東京U-23戦で11試合ぶりの白星。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

FC東京U-23をホームに迎えた一戦。立ち上がりからいい入りを見せたガンバは17分にMF森勇斗のファインシュートが決まり先制すると、前半終了間際にもFW一美和成が決めて2点のリードを奪う。だが後半、立ち上がりから相手にペースを握られるとその中で途中出場のMF久保建英らに2点を奪われ振り出しに。嫌なムードが立ち込めたが、そこから交代枠もうまく使いながら盛り返し、77分にFW一美、82分にはDF河合哲太の初ゴールも決まって4−2に突き放す。4分のアディショナルタイムでは再び相手にゴールを許し1点こそ返されたが、最終的には4-3で試合を締めくくり11試合ぶりの白星を掴み取った。試合後のガンバ大阪U-23監督、選手のコメントをお届けする。

●宮本恒靖U-23監督

試合前、選手に同じ世代の選手との対戦ということで、特にセレッソ大阪U-23との試合を1分1敗だったり、FC東京U-23とのアウェイ戦でも1敗しているという流れを踏まえ、(同じ世代の相手との)この試合を最後どうやって締めくくるか、勝利に対するこだわりという部分を選手に強調して、それが立ち上がりから見られた試合だったと思います。ボールを奪いにいくという前線の守備がうまくいったし、そこから勢いを持って入ることができ、MF森の素晴らしいゴールなども決まって、2−0で折り返せた。後半に入り、少し悪い癖というか、失点してしまったのはよくないところでしたが、3点目、4点目を取れたという意味では積み上げてきたものが出せたと思います。最後、なんとかみんなで勝ち切ろうという姿勢もみられたし、勝利に対する貪欲さが見られた試合だったと思います。何より選手たちがここ10戦、勝っていない中で勝ちたいという気持ちを強く持って戦ってくれた。僕自身も毎回、この会見場に暗い顔であらわれていましたが、今日は少し、楽な気持ちでここにくることができました。全員にとって嬉しい久しぶりの勝利だったと思います。

ー2ヶ月ほど前にも2点を先行しながらひっくり返された沼津戦があった。今日はあの時と同じ展開にはならず、追いつかれた後も突き放す得点をとれた。そのあたりのチームの成長をどう評価しますか。

2−2になってから、みんなが嫌な流れを感じたと思うんですが、少し相手がそれ以降、出てこなくなったところと、プラス、こっちが一人交替のカードをきって妹尾を入れて少し前でボールを納めたり、相手ゴールの近くまでボールを運ぶことができたことで、もう一度ゲームの流れをイーブンに持って行けたと思います。当初、彼は使う予定がなかったんですが、でも、ああいった状況だったので「なんとかチームのために力を貸して欲しい」と伝えてカードを切った。ターンからシュートまで早くもっていったシーンもありましたが、ああいうシーンが相手のおせおせのムードを断ち切ることにつながったんだと思っています。

ー積み上げて来たところというところで、郡選手が戻った2トップを生かすサッカーもチームにうまく融合できた。郡選手が戻った効果について、と、あと、アウェイで負けた時に比べて成長したところをどう感じていますか。

2トップの郡に関しては、今日はスタメンでいける見通しが立っていたので、ポストプレーのところもそうですし、周りの選手にもサイドの崩しに関して2トップが絡んでくることを意識して表現しようと言っていました。ボールを納めてから落とすこと、プラス、2点目の一美のゴールシーンのように常に二人がお互いを感じられる関係性を作れていたことが、ああいう得点につながったと思います。今日はぶっつけで75分近くまで引っ張りましたが、よく走ってくれたと思います。2つ目の質問については、アウェイ戦では相手の選手がうまくボールを動かしたとはいえ、守備の部分で足りないということを特に感じたので、それ以降シンプルな2:2の練習も増やしましたし、球際でどれだけ奪いきれるのかっていうところで、そこから守備の意識を選手に植えつけていったところもあったように思います。そういう意味ではすごくターニングポイントになった試合でした。それを踏まえた今日の試合という意味では、相手ゴールを奪いにいくところでみんなの連動性がーー一人ひとりの考えだけではなくて、それがつながっているということをすごい感じられて、前半は特にいい形でボールを奪えたり、3対2になってからも、相手に対するプレッシャー、ボールを前に運ばせないというところも見られたので、守備の部分でもすごくよかったと思います。そうやって奪えたボールを、もう一度マイボールにするところは質を上げていかないといけないですが、相手をみて、相手を動かしながらサッカーをするというところは前回よりもうまくいったし、3人目の関係も今日の試合に関してはできていたので、確かな成長を感じられた試合でした。

●MF森勇斗

(ゴールシーンについて)本当に僕自身も結果が欲しかったというか、点を取ることによって、僕の存在価値もあがると思っていたので、そういう意味では本当にゴールを意識していたので決められてよかったです。ああいうシュートは僕自身プロに入って公式戦でも少なかったし、プロ入って一番のゴールかなと思います。練習でもああいうキックはなかなか蹴れなかったのですが、それが試合で出せたのは嬉しいし、それはトレーニングの成果だと思うので続けていきたい。今後ああいうシュートがあるぞ、っていうことをスカウティングされれば相手もプレッシャーに来てFWにスペースができるとか、そういう効果もあると思うし、そういうことも考えてもいいゴールだったと思います。(前節復帰戦、今節先発で結果を出せた。改めて試合を振り返ってください)本当にゴールという部分と、チームとして勝利できたのは今節に限っては一番大事で嬉しいことですが、ただ残り試合でもっともっとゲーム内容や運び方を向上させていくことによって、もっともっと絡んでいけるようになると思います。(約2ヶ月ぶりの久しぶりの先発。入りの部分で意識していたことは?)亮太郎とかボールを受けれるし、2トップもボールをおさめられるタイプなので、中盤のところでいつもだと受けにいくところを、あえてランニングで抜ける回数を増やすことでスペースを作りながらゴールを意識したプレーをしようと思っていました。(11試合ぶりの勝利について)内容自体は僕が怪我している中でもいい試合が続いていたのですが、ただ先制して同点にされて逆転されるとか、同点で終わっているゲームが多かっただけに、今日は失点した後もしっかりはね返せたのはすごく良かったと思います。

●FW郡大夢

自分の出来は、まずまずでした。練習試合もなかったので体としてはきつく感じたところもありました。(3ヶ月半ぶりくらいの先発でしたが、試合から遠ざかっている間に、上から見ていて変化を与えようと思っていたところは)特にないですが、自分がいない間にチームが全然勝っていなかったので勝てるようにということだけを考えていました。(ボールをしっかり収めるプレーも効果的で、いい連動も生んでいた)僕はいつもの通りのプレーを心がけていただけなんですが、今日は相手もあまり狙ってこなかったのでやりやすかったです。(11試合ぶりの勝利)こんなに長く勝っていないのはダメというか…もっと頑張らないとって思いの方が強いです。

●FW一美和成

(1点目のゴールについて)うまく郡とワンツーができて、左に相手DFがいたのがわかっていたので、まず体をぶつけて自分の余裕を作って、ギリギリでうまく持ち込めました。(シュートコースは見えてましたか?)ニアか股しかなかったので、狙うなら股かなと思って…でもちょっと当たってしまってギリギリでしが、外れたとしても亮太郎がつめていたと思うのでゴールになっていたのかなとは思います。(2点目のところ、押され気味の展開の中、今日は逆転されずに、逆転した貴重なゴールでした)確かに、今までだと追いつかれたらそのままやられちゃうって流れがあったと思うんですが、同じU-23のチームでツネさんも負けない気持ちでやれって言われていて、それがチーム全体として出せたと思います。(郡選手との連携もよかったですね)久しぶりでしたが練習からもやっていたので練習の成果が出たのかなと。いつもは自分が張って、郡が今日やっていたポストプレーをする役割をしていましたが、今日は二人だったのでどちらかがやればいいし、ゴールシーンのように入っていけることもできたのは良かったと思います。2点先制してやられたらもったいないので勝ち切りたいと思っていたので結果が出せてよかった。全員が、頑張って守備もやっていたし、今日は勝ち切ろうとハーフタイムでも話していました。個人的にも復帰してから、ゴールを取るまでに少し時間がかりましたが、今日やっと決められたのでまた次の試合も連続で得点していけるようにしたい。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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