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2022年米・ケンタッキーダービーのみどころ~日本調教馬クラウンプライドが参戦

花岡貴子ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家
2021 米G1 ケンタッキーダービー(写真:ロイター/アフロ)

発走は日本時間8日午前7時57分

 日本時間8日午前7時57分(現地時間7日午後6時57分)、チャーチルダウンズ競馬場(アメリカ・ケンタッキー州)で第146回ケンタッキーダービー(G1、ダート2000m)が行われる。今回は日本調教馬クラウンプライドが参戦することでも注目を集めている。

知名度抜群の伝統レース「Greatest Two Minutes in Sports」

 ケンタッキーダービーは1875年から毎年行われているレースであり、毎年5月第1土曜日に行われる。過去の優勝馬では三冠馬となったセクレタリアト(1973年)等が有名だが、日本に関連が深いのはディープインパクト等の父であるサンデーサイレンス(1989年)、日本人オーナーのフサイチペガサス(2000年)だろう。

 そして、日本調教馬の参戦は、1995年のスキーキャプテン(14着)、2016年のラニ(9着)、2019年のマスターフェンサー(6着)がおり、クラウンプライドが4頭目となる。

 筆者も一度だけケンタッキーダービーを見に行ったことがある。街をあげての盛大な祭り、という印象で、当時のメディアでは数多くこのレースを取り上げていた。その知名度はNFLのスーパーボウルやMLBのワールドシリーズと並ぶと言われているが、実際にその場を訪れてそれを実感したものだ。CNNが「Greatest Two Minutes in Sports」と紹介しているが、このフレーズは多くの人々が言い伝えてきたキャッチフレーズでもある。

 1875年から毎年行われているレースであり、毎年5月第1土曜日に行われる。過去の優勝馬では三冠馬となったセクレタリアト(1973年)等が有名だが、日本に関連が深いのはディープインパクト等の父であるサンデーサイレンス(1989年)、日本人オーナーのフサイチペガサス(2000年)がいる。

■CNNによるケンタッキーダービーのイメージ動画

クラウンプライド陣営「前走のUAEダービーより上積みがある」

 クラウンプライドは3月にドバイのUAEダービーを優勝したあと、ケンタッキーダービーへの参戦を表明。日本へ帰国せず、そのままアメリカへと渡った。現地での調整も順調で、管理する新谷師は「とてもいい状態。前走のUAEダービーより上積みがある」と話している。ジョッキーはJRA所属のお馴染みクリストフ・ルメール騎手がかけつけ、手綱を取る。

 一口にダートと言ってもその成分日本とは全く違う。見てのとおり、かなり赤いのだが、砂と粘土が混ざったものを使っている。良のコンディションでもかなりクッション性があり、水分を含むと時計がかかるようになる。さらに粘土質のあるキックバックが飛んでくるようになる。日本のダートは水分を含むと足抜きがよくなりスピードが出るようになるのだが、まったく異質だということもわかる。

 過去、チャーチルダウンズ競馬場のダートコースには前述のケンタッキーダービー参戦馬のほかに2000年、ブリーダーズカップにエスポワールシチーが参戦し10着に敗れている。クラウンプライドはこの馬場を克服できるだろうか。

■5月4日 クラウンプライド ルメール騎手を背に最終追い切り

■2022年UAEダービー(G2) 優勝馬 クラウンプライド

JRAオッズではクラウンプライドは2番人気

 今年のケンタッキーダービーはJRAで馬券が発売されており、インターネット投票は発送予定時刻の2分前まで(「即PAT」「A-PAT」会員が対象)となっている。(詳細はJRAのホームページでご確認ください。)

 クラウンプライドの評価の参考材料として、複数のブックメーカーのオッズを見たが、単勝オッズは約20倍、21頭中10番人気前後であったことを記しておく。

 なお、ブックメーカーでの上位人気馬はブルーグラスS(G1)を勝ったゼンダン、ルイジアナダービー(G2)を勝った6戦4勝のエピセンター、サンタアニタダービー(G1)を勝ったテイバ、2着のメッシェー、フロリダダービー(G1)を勝ったホワイトアリバオあたりで、各馬はJRA発売の馬券でも上位の人気を集めている。しかし、抜けた人気を集めている馬がいないのも今年の特徴のひとつだ。

 ケンタッキーダービーは先行争いがとても激しい傾向があり、序盤からいいポジションをとることが求められている。上位人気馬は先行からの勝ち残りを果たしてきた馬が多い。今年も、馬場が重いならなおさら、その傾向は続くとみられる。

■2022年ブルーグラスS(G1) 優勝馬 ゼンダン

■2022年ルイジアナダービー(G2) 優勝馬 エピセンター

■2022年サンタアニタダービー(G1) 優勝馬 テイバ

■2022年フロリダダービー(G1) 優勝馬 ホワイトアリバオ

今年はスッキリ決まってほしい伝統レース

 長い伝統で紡がれたケンタッキーダービーだが、近年は残念なニュースがいくつかあった。

 2019年は1位入線馬だったマキシムセキュリティが進路妨害をしたため、17着に降着。これはケンタッキーダービー史上初の降着であった。

 昨2021年は1位入線馬のメディーナスピリットがレース後の禁止薬物検査で陽性反応を示したため、長きにわたる審議の結果、失格。優勝馬は2着入線のマンダルーンとなった。

 今年はケンタッキーダービーのオフィシャルカクテルであるミントジュレップのようにスッキリとした結末を迎えて欲しいものだ。

 ケンタッキーダービーの中継は、映像ではグリーンチャンネル(5月8日 7:00~8:30)、音声ではラジオNIKKEI第1の競馬中継(5月8日 7:30~8:30)で楽しむことができる。グリーンチャンネルはスカパー!(BS・CS・光)やケーブルテレビ局(一部を除く)、インターネット放送のグリーンチャンネルWebで無料放送を行う。ラジオNIKKEI第1ではスマートフォンアプリ「radiko.jp」により聴くことができる。

 早朝ではあるが、ぜひともこの偉大な2分間を見守りたい。

■2021年 ケンタッキーダービー 優勝馬 マンダルーン(2位入線、1位入線のメディーナスピリットは失格)

ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家

競馬の主役は競走馬ですが、彼らは言葉を話せない。だからこそ、競走馬の知られぬ努力、ふと見せる優しさ、そして並外れた心身の強靭さなどの素晴らしさを伝えてたいです。ディープインパクト、ブエナビスタ、アグネスタキオン等数々の名馬に密着。栗東・美浦トレセン、海外等にいます。競艇・オートレースも含めた執筆歴:Number/夕刊フジ/週刊競馬ブック等。ライターの前職は汎用機SEだった縁で「Evernoteを使いこなす」等IT単行本を執筆。創作はドラマ脚本「史上最悪のデート(NTV)」、漫画原作「おっぱいジョッキー(PN:チャーリー☆正)」等も書くマルチライター。グッズのデザインやプロデュースもしてます。

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