前日1番人気はレシステンシアで3.2倍

 いよいよ、秋のGI戦線がスタートだ。10月3日、JRA中山競馬場で秋の短距離王決定戦・スプリンターズS(GI)が行われる。

 まず、人気と枠順を確認しよう。

 前日2日にJRAより発表された前日オッズでは、1番人気がレシステンシアで3.2倍、続いてダノンスマッシュが3.7倍、ピクシーナイトが6.0倍、ジャンダルムが7.9倍とここまでが1桁台。

 5番人気がクリノガウディーで12.6倍、6番人気がモズスーパーフレアで15.5倍、7番人気がメイケイエールで17.7倍となっている。

 レシステンシアとダノンスマッシュは春の短距離王決定戦である高松宮記念をクビ差の2着、1着と競っている。実力は拮抗。今回、高松宮記念で負けたレシステンシアが1番人気に推されたのは前走のセントウルSに続いて騎乗するクリストフ・ルメール騎手とのコンビへの信頼の高さもあるだろう。

 枠順については、中山の短距離戦は内枠のほうが有利で外枠はあまり歓迎されない傾向がある。レシステンシアがダノンスマッシュより内側に入ったという点もオッズに反映されているのではないか、とみられる。

 中山コースは初めてだが、坂のあるコースは中京でも経験済みだし、距離適性の高さを考えればさほど問題にはならないとみている。

2021年スプリンターズS枠順/筆者作成
2021年スプリンターズS枠順/筆者作成

中山が初めてのレシステンシア

 レシステンシアは2歳10月にデビューしたが、その後ファンタジーS(GIII)、阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)を連勝し、2020年クラシック最右翼とされた。と同時にこの時点で父・ダイワメジャーという血統面や走りっぷりから距離延長を不安視する声も上がっていた。結果的に同年の3歳牝馬路線はこの時点ではまだデビュー戦を勝っただけで1勝馬だったデアリングタクトが三冠を達成するが、レシステンシアはチューリップ賞3着、桜花賞2着、NHKマイルC2着とGI制覇には届かなかった。

 マイル戦(1600m)と1200m戦は400mしか違わないが、この違いは大きい。マイル戦ではどこかで息をいれなければならないために駆け引きが必要だが、1200mから1400m戦であればスピードで押し切ることができるからだ。このあたりはジョッキ―の匙加減やレース展開にも左右されるが、結局走るのは馬。レシステンシアは駆け引きよりもスピードの資質で勝負するほうが向いているのだろう。

 実際、マイル戦では昨年のマイルCS(GI)では逃げ切りを図るもラスト200mで他の馬が伸びて8着、今年のヴィクトリアマイル(GI)では先行して善戦するが追い込み勢に差されている。ただし、レシステンシア自身も伸びてはいて、一本調子だが彼女なりにスピードを持続している。それがレシステンシアの個性であり、古馬になって強豪を相手にしてもその資質が生きる舞台こそがこの1200mとなる、とみている。

■2019年 阪神ジュベナイルフィリーズ(GI) 優勝馬レシステンシア

■2021年 セントウルS(GII) 優勝馬レシステンシア

仕上がりのいいダノンスマッシュ

 そのレシステンシアに高松宮記念では勝っているダノンスマッシュ。スプリンターズSへの参戦は今回が3回目。管理する安田隆行調教師は「その中で今回がいちばん状態がいい」と言うように、状態はすこぶるいい。前走は4月の香港遠征だったため実戦は半年ぶりになるが、じゅうぶんに厩舎で仕上げられているし、もともと休み明けでも結果を出している馬なのでその点はマイナス材料にはならないだろう。

 気になるのは枠順だ。先ほども書いたとおり、枠が少し外目なのが気になる。2019年のスプリンターズSは1枠2番で3着、昨年は2枠3番で2着と内枠に恵まれ、結果も無事ついてきた印象がある。レースは与えられた枠順で進めるしかないので、あとは乗りなれた鞍上・川田騎手に期待するしかない。

■2021年 高松宮記念(GI) 優勝馬ダノンスマッシュ(2着 レシステンシア)

ジャンダルムの母は短距離王ビリーヴ

 ピクシーナイトは唯一の3歳馬。よって斤量が55キロである点が有利だ。CBC賞とセントウルSでは2着にきており、2枠4番と偶数の内枠を手にしたラッキーさも見逃せない。福永騎手はベテランの域に達し、ここ最近の騎乗には貫禄が垣間見える。

 ただし、ピクシーナイトはまだ成長過程にあり、本格化するのは来年とみられるので注意したい。

 ジャンダルムは母がビリーヴ。偉大なスプリンターでスプリンターズS(GI)は2002年に優勝している。2003年は2着にきており、これがラストランだった。高松宮記念(GI)も2003年に勝っており、JRA短距離GIを2つとも制している。

 マイル戦を使い続けてきたジャンダルムだったが、ここにきて距離短縮と脚質転換をはかったことにより、前走のセントウルSでは上がり32.6秒の末脚をみせている。重賞勝ちはデイリー杯2歳S(GII)のみ、古馬になってからはリステッド競走で3勝しているが、重賞勝ちには至っていない点は心もとないが6歳という年齢にしては伸びしろがたくさんある点が面白い。

 ピクシーナイト、ジャンダルムにも言えるが、そういった未完だが伸びしろを感じさせるレースぶりがオッズに影響しているとみられる。

短距離GI実績のあるモズスーパーフレア、アウィルアウェイに注目

 2020年はグランアレグリアの完勝だったスプリンターズSだが、2021年はレシステンシアとダノンスマッシュが実績のわりに人気を集めておらず、なかなか興味深いオッズとなっている。

 筆者はモズスーパーフレア、アウィルアウェイの牝馬2頭に注目している。

 モズスーパーフレアは2020年の高松宮記念を制している。戦法は逃げ一辺倒なので大外枠という点がマイナス材料だが、松若騎手がしっかりと導いてくれるだろう。馬場が乾いた今の中山で逃げ馬は面白い。

 アウィルアウェイは昨年のスプリンターズ3着。前走は2桁着順だが展開が向かなかったのと馬場が敗因。調子落ちはなく、馬体のハリは素晴らしい。2桁着順が多い馬だが、1200mの良馬場に絞れば6戦2勝3着3回。残る1戦も4着で掲示板を外したことがない。

 牝馬はいちど成績が落ちるとやる気をなくしやすく復活しにくいものだが、レシステンシアが適した舞台に立って開花しつつあるように、ベテラン牝馬2頭の状況が整えばアッと言わせてくれるのではないだろうか。

 明日を笑顔で迎えられますように。Good Luck!

■筆者によるスプリンターズS予想

■2020年 スプリンターズS(GI) 優勝馬グランアレグリア(2着ダノンスマッシュ、3着アウィルアウェイ)

■過去記事

2021年高松宮記念展望 雨と枠順が迷いを生む…スペシャリストと実力馬の戦い

■過去記事

馬の幸せについて、さらに考えてみた

■過去記事

「生きているうちに逢いたかった」ウイニングチケット、愛称の名付け親との再会