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祝JRA賞受賞!年度代表馬アーモンドアイ、二刀流オジュウチョウサン、3歳勢らの凄さと挑戦

花岡貴子ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家
2018年JRA賞年度代表馬に選出されたアーモンドアイ(撮影:青山一俊)

2018年JRA賞年度代表馬は満票でアーモンドアイ

 28日、都内で2018年度JRA賞の授賞式が行われた。JRA賞は競馬と馬に関する特に優れた業績に対してその栄誉をたたえ、感謝の意をあらわす意図で設立された。記者投票により選出される。

 年度代表馬に満票で選出されたのは牝馬三冠に加えてジャパンカップを制したアーモンドアイ。その他、部門ごとに最優秀馬が選出されるのだが、昨年有馬記念への挑戦で話題になったオジュウチョウサンは3年連続で最優秀障害馬に選出されている。

 そこで、今年のクラシックを占うには欠かせない最優秀2歳牡馬のアドマイヤマーズと最優秀2歳牝馬のダノンファンタジーの2頭の凄さについて改めて迫った。

ドバイ遠征が決定したアーモンドアイ。指揮官「その存在が宝物」

 2018年、アーモンドアイの走りは衝撃だった。手前を頻繁に替えながらも制した桜花賞とオークス、夏休みを経てさらにパワーアップして大外一気の脚をみせた秋華賞。この3勝で牝馬三冠となり、同世代の牝馬の中では抜け出た存在となった。

 そして、初の古馬との対戦となったジャパンカップでは2分20秒6という驚異的なタイムで優勝。このジャパンカップで走った他馬のその後の動向をみると、その直後に故障馬こそ出なかったものの、月日が経っても激走による疲労が抜けずに苦労している馬もいるほどなのだ。彼女の足跡は、明らかな性能の違いを感じさせるばかりだ。

 この秋には凱旋門賞へのチャレンジが有力視されているアーモンドアイだが、国枝師にとって彼女は「その存在が宝物」なのだそうだ。

 「フィジカル、メンタルなどすべてにおいて我々の思っている以上のものを秘めているのではないかと思っています。どこがリミットなのかわからないですね。」

 2019年、日本の宝は世界へ挑む。次走は3月30日にドバイ・メイダン競馬場で行われるドバイターフ(GI、芝1800m)に決まった。初の海外輸送、ナイター競馬など初めて挑む課題もある。しかし、それらは無事クリアして10月のフランス・凱旋門賞へ向ってくれるであろう、というチャレンジへの期待に気持ちが向いてしまうのは筆者だけではないはずだ。

【女子高生が年上男たちをなぎ倒す!三冠牝馬アーモンドアイが驚異的レコードでジャパンカップを制覇】

オジュウチョウサン、障害復帰も平地GIチャレンジの二刀流は継続

 最優秀障害馬に選出されたオジュウチョウサンは2019年も平地GIへの挑戦を続ける。長山オーナーに平地GIを決断させ、今回の受賞を決定づけた2018年の中山グランドジャンプでは後続に10馬身以上の大差をつける圧勝だった。

 オジュウチョウサンの障害の飛び方は独特だ。障害物を越えるように飛ぶというより、ギリギリの高さで超えるように飛ぶ。そして、その飛ぶ高さがそのものは決して高くないことを不安視する声があるのも事実だ。しかし、担当する長沼厩務員はオジュウチョウサンの障害での強みはその体の使い方だという。

「オジュウはとても上手に脚を使ってスピードを落とさずに飛びます。さらに体幹も強いですね。」

 この春は障害競走の阪神スプリングジャンプから始動し、次走は「現段階では未定」(和田正一郎師)とのこと。それが昨年も制した中山グランドジャンプになるのか、天皇賞(春)になるのかは阪神スプリングジャンプを走り終えた状態次第で決定することになる。

 なお、次走についての見解は多少異なってはいるが、2019年1月19日現在の情報として今年のオジュウチョウサンの展開については下記の記事も参考にして欲しい。

 【障害と平地「二刀流」のオジュウチョウサンが今年は障害で始動の理由。平地GI再挑戦は宝塚を視野に】

2019年クラシックで注目!ダノンファンタジー&アドマイヤマーズ

 2019年のクラシックを占う上で注目したいのは最優秀2歳馬部門を受賞した馬たちだ。

 最優秀2歳牡馬部門はデビューから4連勝で朝日杯フューチュリティステークス(GI)を制したアドマイヤマーズが受賞した。

 馬は成長する途中で一時的だが馬体のバランスが崩れることがある。しかし、アドマイヤマーズの場合は全体的なバランスを保ったまま、体が成長しているのだそうだ。担当の津田助手は「このままスケールアップして欲しいですね」と話す。

 管理する友道師も早い時期から完成度の高さを明言している。2019年は2月10日の共同通信杯(東京芝1800m)から始動する。

 最優秀2歳牝馬部門は阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)を優勝したダノンファンタジーが受賞した。

 若い牝馬はカイバと呼ばれるエサを陣営が思ったように食べてくれないことで苦労しているケースをよく見受ける。しかし、ダノンファンタジーは「牝馬のわりにカイバ食いがいいので、しっかり負荷をかけた調教もできるし、結果としてよく動いています」(猿橋助手)とのこと。しかも「人間に対してはとても従順で大人しいのに、競馬では根性ある走りをする」(担当の松崎助手)という優等生。クラシックでは目の離せない存在になるだろう。

ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家

競馬の主役は競走馬ですが、彼らは言葉を話せない。だからこそ、競走馬の知られぬ努力、ふと見せる優しさ、そして並外れた心身の強靭さなどの素晴らしさを伝えてたいです。ディープインパクト、ブエナビスタ、アグネスタキオン等数々の名馬に密着。栗東・美浦トレセン、海外等にいます。競艇・オートレースも含めた執筆歴:Number/夕刊フジ/週刊競馬ブック等。ライターの前職は汎用機SEだった縁で「Evernoteを使いこなす」等IT単行本を執筆。創作はドラマ脚本「史上最悪のデート(NTV)」、漫画原作「おっぱいジョッキー(PN:チャーリー☆正)」等も書くマルチライター。グッズのデザインやプロデュースもしてます。

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