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海上自衛隊の最新型護衛艦「もがみ」が就役 配備先は「くまの」と同じ横須賀基地掃海隊群

高橋浩祐米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員
4月28日に就役した海上自衛隊の最新型護衛艦「もがみ」(三菱重工業提供)

海上自衛隊の新型護衛艦である「もがみ型」1番艦の「もがみ」が4月28日、就役した。三菱重工業長崎造船所(長崎市)で同日、引き渡し式と自衛艦旗授与式があった。

もがみ型護衛艦は基準排水量3900トンで、多機能護衛艦(FFM:Frigate Multi-purpose/Mine)と呼ばれる。増大する平時の警戒監視活動に加え、対潜戦、対空戦、対水上戦、機雷戦など多機能性を有していることが最大の特徴になっている。海外メディアの中には、もがみ型護衛艦が、就役中のあぶくま型護衛艦6隻の後継になると報じているところがあるが、海上幕僚監部はあくまで多機能護衛艦としての新たな任務やコンセプトを強調している。

全長133メートル、全幅16.3メートルと、従来の護衛艦と比べて船体をコンパクトにし、乗員数も通常型の汎用護衛艦の半分程度の約90人に抑えた。また、「もがみ型」は護衛艦としては初めて「クルー制」を導入する。複数クルーでの交代勤務の導入などによって稼働日数を増やすことを目指している。

もがみ型の速力は30ノット(時速約56キロ)以上。主機関としてはディーゼル・ガスタービン複合機関(CODAG)を採用し、ガスタービンエンジンはイギリスのロールス・ロイス社から川崎重工業がライセンスを得て製造したMT30を1基搭載。ディーゼルエンジンはドイツのMAN社製の12V28/33D STCを2基を搭載している。軸出力は7万馬力。

4月28日に就役した海自の最新型護衛艦「もがみ」。高いステルス性と航洋性を有している(三菱重工業提供)
4月28日に就役した海自の最新型護衛艦「もがみ」。高いステルス性と航洋性を有している(三菱重工業提供)

2番艦「くまの」は3月22日、1番艦「もがみ」に先立ち、岡山県玉野市の三菱重工マリタイムシステムズの玉野本社工場で就役した。「もがみ」と「くまの」は当初ともに2022年3月に海上自衛隊に引き渡され、就役する予定だったが、「もがみ」はガスタービンエンジンの納期が遅れ、就役が遅れた。3番艦「のしろ」は2022年12月、「みくま」は2023年3月の就役をそれぞれ予定している。

「もがみ」は「くまの」と同様、機雷戦と水陸両用戦を担当する横須賀基地の掃海隊群に配備される。海自関係者によると、掃海隊群司令部のある同基地で様々な運用試験が予定されている。

●2023年度までに10隻建造

防衛省は現行の中期防衛力整備計画に基づき、2023年度までにもがみ型10隻を建造する計画を立てている。2021年度補正予算と2022年度当初予算を一体化した「防衛力強化加速パッケージ」では、9番艦と10番艦の建造費用として1103億円が確保された。将来的には22隻の配備が予定されている。

もがみの塔型マストにはOPY-2多機能レーダー(四角形の平面アンテナ)が装備され、その上部の細長い棒状のレドームはNORA-50複合通信空中線。前甲板に127ミリ単装砲が見える (三菱重工業提供)
もがみの塔型マストにはOPY-2多機能レーダー(四角形の平面アンテナ)が装備され、その上部の細長い棒状のレドームはNORA-50複合通信空中線。前甲板に127ミリ単装砲が見える (三菱重工業提供)

主要兵装としては、三菱重工業製の17式艦対艦誘導弾(SSM-2)の4連装発射筒を2基、短射程艦対空ミサイルのRAMブロックIIA(RIM-116C)を使用する近接防御火器システム(CIWS)11連装発射のレイセオン製の対艦ミサイル防御装置(SeaRAM)を1基、12.7ミリ重機関銃M2を射撃できる日本製鋼所製のRWS(リモートウェポンステーション)である遠隔操作式無人銃架を2基、BAEシステムズ製の62口径5インチ(127ミリ)単装砲を1基、ロッキード・マーティン製のMk41垂直発射装置(VLS)を1基(16セル)それぞれ搭載する。VLSとUSVは後日装備となる。

また、対潜水艦戦用としては、NEC製ソナーシステム「OQQ-25」や324mm魚雷発射管2基を装備し、SH-60K哨戒ヘリコプター1機を搭載する。

さらに、対機雷戦用として、日立製のソナーシステム「OQQ-11」を搭載。機雷の敷設された危険な海域に進入することなく、機雷を処理することを可能とする無人機雷排除システム用の無人水上航走体(USV)1艇と無人水中航走体(UUV)を1機を装備する。

●USVの「うみかぜ」

海上幕僚監部広報室は筆者の取材に対し、もがみ型護衛艦搭載のUSVについて、「機雷処分用水上無人機であり、遠隔操作により、自走式機雷処分用弾薬(EMD)を投入、管制し、機雷を排除することができる」と説明している。

2021年12月1日付の日本海事新聞の記事によると、ジャパンマリンユナイテッド(JMU)子会社で防衛装備品を手掛けるジャパンマリンユナイテッドディフェンスシステムズ(JMUDS)は11月30日、京都府舞鶴市で同社が開発したUSV「うみかぜ」の実証実験を行った。「うみかぜ」はもがみ型護衛艦に搭載する無人機雷排除システムの技術検証用に製作されたという。全長11メートル、幅3.2メートル、満載排水量11トンで、推進器としてウオータージェット2機を搭載すると報じられている。

防衛省は2022年度予算で、もがみ型搭載のUSV取得費として12億円を確保している。

●UUVの「OZZ-5」

もがみ型護衛艦には、三菱重工業製のUUV「OZZ-5」が搭載される。防衛装備庁が2013年度から2017年度まで、「OZZ-X」という事業名の下、自律的に障害物などを回避しながら水中の情報を収集し、従来よりも探知が困難な機雷や海底下に埋没した機雷を探知するUUVを開発した。この事業成果として、OZZ-5がもがみ型護衛艦に装備される。

国産の自律型水中航走式機雷探知機「OZZ-5」(三菱重工業製)の事業概要(2022年4月20日、国際海事展「Sea Japan 2022」で筆者が撮影)
国産の自律型水中航走式機雷探知機「OZZ-5」(三菱重工業製)の事業概要(2022年4月20日、国際海事展「Sea Japan 2022」で筆者が撮影)

OZZ-5は全長約4メートル、幅0.5メートルで、重さは900キロ。OZZ-5には、ステルス機雷など探知しにくい機雷を自動探知する仏タレス社製の高周波合成開口ソーナー(HF-SAS)「SAMDIS」と、海底に埋没した機雷を探知するNEC製の低周波合成開口ソーナー(LF-SAS)とが搭載されている。フランスはHF-SAS、日本はLF-SASにそれぞれ技術的な強みを持っている。

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米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員

英軍事週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」前東京特派員。コリアタウンがある川崎市川崎区桜本の出身。令和元年度内閣府主催「世界青年の船」日本ナショナルリーダー。米ボルチモア市民栄誉賞受賞。ハフポスト日本版元編集長。元日経CNBCコメンテーター。1993年慶応大学経済学部卒、2004年米コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクールとSIPA(国際公共政策大学院)を修了。朝日新聞やアジアタイムズ、ブルームバーグで記者を務める。NK NewsやNikkei Asia、Naval News、東洋経済、週刊文春、論座、英紙ガーディアン、シンガポール紙ストレーツ・タイムズ等に記事掲載。

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