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アメリカ内外の政治家がバイデン氏に祝福メッセージ――菅首相はどうするのか 問われる日本政府の対応 

高橋浩祐米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員
バイデンとハリス両氏の当選を祝うジョンソン英首相のツイート(筆者がキャプチャー)

アメリカ大統領選をめぐり、民主党ジョー・バイデン氏の勝利が確実になったことを受け、イギリスのボリス・ジョンソン首相ら内外の政治リーダーが早速、バイデン氏に祝福のメッセージを送った。トランプ大統領が敗北を認めず、投開票をめぐって法廷で戦う姿勢を見せるなか、菅首相はバイデン氏に祝福メッセージを送るのか。トランプ現政権との関係を踏まえ、日本政府はどうするのか。その対応に注目が集まる。

ジョンソン首相は、バイデン氏とアメリカ史上初の女性副大統領になるカマラ・ハリス氏に当選を祝うツイートをした。

「アメリカはイギリスの最も重要な同盟国であり、気候変動から貿易、安全保障まで共通の優先事項において緊密に連携して取り組めることを楽しみにしています」

ジョージ・W・ブッシュ元大統領の弟であるジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事(共和党)もツイッターでバイデン氏に祝福メッセージを送った。ブッシュ氏は2016年の前回大統領選の共和党予備選でトランプ氏から激しい攻撃を受け、脱落した因縁がある。

「私はあなたとあなたの成功を祈念しています。今は深い傷を癒す時です。多くの人々があなたにその道を先導してもらうことを頼りにしています」

同じ米共和党のミット・ロムニー上院議員も夫人のアン氏とともにバイデン、ハリス両氏に祝福のメッセージをツイートした。

「私たちはあなた方2人が善意の心を持ち、称賛に値する人物であることを知っています。前途に神の恵みがあらんことを祈ります」

ロムニー上院議員は6日、大統領選で不正行為があったとするトランプ大統領の主張は「誤り」だと批判していた。

●外堀を埋められるトランプ大統領

身内の共和党議員を含め、内外の政治家がバイデン氏に祝福メッセージを送る分、トランプ氏は外堀を徐々に埋められつつある。バイデン次期大統領は既成事実になってきている。

いくら神経の図太いトランプ氏とはいえ、この状況を無視して「不正投開票」をめぐる法廷闘争を続けられるのか。米裁判所がトランプ陣営の訴訟に対し、今後もどのような判断を下していくのか。

さらに、トランプ大統領が法廷闘争を続ける構えを強く見せるなか、菅首相はジョンソン首相のように、バイデン氏にお祝いのメッセージを送るのか。送るのであればいつ送るのか。トランプ大統領の主張を踏まえ、法廷闘争をある程度見極めるのか。しかし、いつまでもバイデン氏に祝福のメッセージを送らないことは失礼に当たらないのか。日本政府の対応が注目される。

なお、ジョージ・W・ブッシュ元大統領とアル・ゴア元副大統領が大接戦を演じた2000年11月の大統領選は、激しい政治・法廷闘争を経て、同年12月13日にゴア氏が敗北を宣言したことで、ブッシュ氏の次期大統領が確定した。これを受け、当時の森喜朗首相は翌14日になってようやく祝意を表した経緯がある。

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米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員

英軍事週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」前東京特派員。コリアタウンがある川崎市川崎区桜本の出身。令和元年度内閣府主催「世界青年の船」日本ナショナルリーダー。米ボルチモア市民栄誉賞受賞。ハフポスト日本版元編集長。元日経CNBCコメンテーター。1993年慶応大学経済学部卒、2004年米コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクールとSIPA(国際公共政策大学院)を修了。朝日新聞やアジアタイムズ、ブルームバーグで記者を務める。NK NewsやNikkei Asia、Naval News、東洋経済、週刊文春、論座、英紙ガーディアン、シンガポール紙ストレーツ・タイムズ等に記事掲載。

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