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新型コロナ、日本のPCR検査数はOECD加盟国36カ国中35位。世界と比べても際立つ少なさ

高橋浩祐米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員
報道陣に公開された東京都江戸川区の「ドライブスルー方式」の検査=4月22日撮影(写真:ロイター/アフロ)

世界の先進国の集まりである経済協力開発機構(OECD、本部パリ)は4月28日、加盟国36カ国を対象に、人口1000人当たり何人がPCR検査を受けたかを比較した最新のグラフを発表した。

日本の検査数は1000人当たりわずか1.8人で、下から2番目だ。メキシコの0.4人に次ぐ少なさとなっている。

2020年4月28日時点での人口1000人あたりのPCR検査数の国際比較。TOKYO MXテレビ「モーニングCROSS」出演時の画面を筆者がキャプチャー=2020年5月6日
2020年4月28日時点での人口1000人あたりのPCR検査数の国際比較。TOKYO MXテレビ「モーニングCROSS」出演時の画面を筆者がキャプチャー=2020年5月6日

日本の検査数は、トップのアイスランドの135人と比べると2桁も少ない。OECD加盟国平均の23.1人と比べても1桁少ない。また、韓国の11.7人と比べても、15%程度にとどまっている。

また、イタリア29.7人、ドイツ25.1人、スペイン22.3人、アメリカ16.4人、イギリス9.9人、フランス9.1人など多くの感染者を出している欧米諸国に比べても、日本の検査数の少なさが目立つ。

安倍首相は2月以降、国会や政府対策本部で何度もPCR検査の拡充を表明してきたが、思うように検査数は増えてきていない。世界の主要国と比べ、日本がこれまでPCR検査態勢をきちんと整えてきていなかったツケが明白になってきている。

OECDの報告書は「新型コロナウイルスの第2波の流行が発生するリスクを減らすため、感染者と接触したすべての人の70〜90%を追跡し、検査で感染が確認されたら隔離する必要がある。これには大幅な検査の増加が必要になるだろう。新たなロックダウン(都市封鎖)がもたらす影響と比べれば、検査の大幅増加に伴う課題とコストの方がはるかに少ない」と述べている。

在日アメリカ大使館は4月3日、日本に滞在するアメリカ国民に対し、帰国を強く促す文書をホームページ上に掲載した。その中で、日本の検査態勢について、「幅広く検査をしないという日本政府の決定によって、新型コロナウイルスの有病率を正確に把握することが困難になっている」と指摘した。

(参考記事:在日アメリカ大使館、日本の新型コロナ検査不足を指摘「有病率を正確に把握するのは困難」

また、OECDの別の2019年の報告書によると、日本の人口1000人当たりの医師数は2.4人で、OECD平均の3.5人よりも下回っている。加盟国36カ国中、32位になっている。日本の医師不足は長らく認識されてきた問題であり、特に地方の深刻な医師不足は解消されずに続いている。

なお、OECDの加盟国数をめぐっては、中南米のコロンビアが4月28日に正式加盟し、現在は計37カ国に増えている。

【追記:5月6日16時43分】TOKYO MXテレビ「モーニングCROSS」出演時に筆者が紹介した「人口1000人あたりのPCR検査数の国際比較のグラフ」を文中に挿入しました。

米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員

英軍事週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」前東京特派員。コリアタウンがある川崎市川崎区桜本の出身。令和元年度内閣府主催「世界青年の船」日本ナショナルリーダー。米ボルチモア市民栄誉賞受賞。ハフポスト日本版元編集長。元日経CNBCコメンテーター。1993年慶応大学経済学部卒、2004年米コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクールとSIPA(国際公共政策大学院)を修了。朝日新聞やアジアタイムズ、ブルームバーグで記者を務める。NK NewsやNikkei Asia、Naval News、東洋経済、週刊文春、論座、英紙ガーディアン、シンガポール紙ストレーツ・タイムズ等に記事掲載。

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