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ドーム2軍戦で観客どよめく。育成ドミニカンが159キロ連発!米スカウト計測では「100マイル出てた」

田尻耕太郎スポーツライター

【5月17日 ウエスタン・リーグ PayPayドーム 2244人】

オリックス  `211010100 6

ソフトバンク `020100000 3

<バッテリー>

【B】○曽谷、前、吉田、S近藤――福永

【H】●森、高橋純、松本晴、又吉、フェリックス――渡邉陸、牧原巧

<本塁打>

【B】野口2号、セデーニョ1号

<スタメン>

【B】4西野 9来田 6野口 7杉本 3セデーニョ D山中 8渡部 2福永 5元

【H】3石塚 6勝連 9増田 5リチャード Dホーキンス 8笹川 7水谷 2渡邉陸 4伊藤

<得点経過>

1回表【B】野口2試合連続の一発。先制2ラン(H0-2B)

2回表【B】西野、犠牲フライ(H0-3B)

2回裏【H】水谷、左越え適時二塁打。渡邉陸の左翼線適時二塁打(H2-3B)

3回表【B】福永が押し出し四球を選ぶ(H2-4B)

4回裏【H】石塚、レフトへタイムリー(H3-4B)

5回表【B】セデーニョ、バックスクリーンにソロ(H3-5B)

7回表【H】山中、タイムリー(H3-6B)

怪腕フェリックスに注目!

豪快なフォームだが、この日はドームで緊張気味だったのか少し暴れて見えた
豪快なフォームだが、この日はドームで緊張気味だったのか少し暴れて見えた

 背番号141が右腕を振りぬくたびに、スタンドがどよめいた。

 9回表に登板したドミニカ共和国出身のマイロン・フェリックス投手がマウンドに上がった直後から159キロの剛速球を連発した。

 3点ビハインドの9回表から登板。先頭打者の来田を迎えて、初球から4球連続で159キロを計測した。来田は134キロのスライダーでセンターフライに打ち取り、続く野口には156キロで二ゴロ。簡単に2アウトを奪いながら四球とセンター前安打でピンチを背負ったが、最後は山中を152キロ直球で三ゴロに仕留めて1回を無失点で乗り切った。

 結局PayPayドームの球場表示では大台到達はならなかったが、ネット裏でスピードガンを構えていた米大リーグ球団のスカウトは「100マイルが出ていましたよ」と教えてくれた。

外国人選手も育成

 23歳の右腕は、昨年入団。昨年のうちに160キロ台をすでにマークしている。しかし、制球力がなく、いかにも上半身に頼った投げ方をしていて誰が見ても不安定なフォームをしていた。

PayPayドームで計測された159キロ。次回は大台突破を見たい
PayPayドームで計測された159キロ。次回は大台突破を見たい

 それが今季は見違えた。表現が難しいが「投手らしくなった」という印象だ。先日、筑後でじっくり話を聞いた。

「2月にリハビリにいた間、担当コーチに相談をして投球フォームのバランスを教わってから良くなりました。足を上げたときに、1秒か2秒保つようなイメージ。あとは下半身の強化です」

 確かに下半身は昨年に比べてかなり逞しくなった。

「体重も5、6キロ増えて、今は92キロくらいあります」

 ソフトバンクは昨年から中南米から10~20代前半の外国人を育成枠で獲得。彼らは日本人の若手選手と一緒に、通訳も伴いながらではあるものの寮生活をしている。

「寮の食事は美味しいです。気に入っている食べ物? チャーハンとケバブですね。ケバブは日本に来て初めて食べた。ドミニカにはないんで。あとはカレーだね」

 ソフトバンク1軍にはモイネロ、オスナと盤石の外国人リリーバーがおり、1軍昇格につながる支配下登録入りは微妙な状況だが、数年後には守護神を担えるだけの力量は間違いなくある。育成上手のソフトバンクがどのように育て上げていくのか、非常に楽しみだ。

※写真はすべて筆者撮影

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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