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内川聖一、独立L・大分デビュー戦で決勝3ラン本塁打など4打点!「後悔のないように、思いきって」

田尻耕太郎スポーツライター
大活躍だった内川聖一

 創設3季目を迎えたプロ野球独立リーグ「ヤマエグループ 九州アジアリーグ」が18日、熊本・リブワーク藤崎台球場の火の国サラマンダーズ対大分B-リングス、宮崎・都城市営球場での宮崎サンシャインズ対北九州下関フェニックスの2試合で開幕。

 そのうち、リブワーク藤崎台球場の試合では、今季から大分B-リングス入りした内川聖一内野手が「3番DH」でスタメンに名を連ね、新天地デビューを果たした。

改めて示した「内川聖一」の存在感

試合前にはソフトバンク時代の同僚の火の国・馬原孝浩監督に挨拶
試合前にはソフトバンク時代の同僚の火の国・馬原孝浩監督に挨拶

 かつて「プロ野球史上最高の右打者」とも評されたバットマンも現在40歳。NPB通算2186安打を誇るが、近年は活躍の機会が減ってNPBという舞台から退いた。しかし、球界最高峰のその打撃力は決して錆びついていなかった。

 第1打席は中飛に倒れたが、チームが2-2に追いついた直後の三回表ノーアウト一、三塁で回ってきた第2打席ではライト前へ内川らしいヒットを運び、勝ち越し点となるタイムリーを放った。

 第3打席は空振り三振。そして、チームが最大6点リードを追いつかれて8-8となった直後の六回表の第4打席に、この日のハイライトが待っていた。

バット一閃、左翼芝生席へ確信弾

本塁打を放ちホームイン
本塁打を放ちホームイン

 1死一、二塁。火の国2番手・菅原の甘い直球を逃さず完ぺきにとらえると、打球は左翼芝生席へ一直線。左翼手が一歩も動かない完ぺきな3ランホームランとなり、11-8とチームに勝ち越し点をもたらした。

 八回の第5打席は遊ゴロ。野球人生の再スタートの試合は5打数2安打1本塁打4打点だった。

 試合は大分がそのままのスコアで逃げ切り、内川の本塁打が決勝点となった。

当初はホーム試合のみ契約と思われたが

 内川は解説業なども兼務しながら基本的にはホームゲームを中心に出場となるが、自身の都合のつく限りはチームに帯同する意向を示している。

 今回も、17日朝には東京でWBC関連の番組出演を行い、その後大分を経由して熊本入りしていた。「最近はなかなか練習時間も確保できていない。朝の番組が終わって、その後室内練習場を借りて打ったりしていたけど」とコンディション調整の難しさを苦笑いしながら話していたが、それを感じさせない活躍だった。

試合後の内川の主な一問一答。

――さすがの活躍だった。

「開幕ってなるとやっぱり、一本早く打ちたいとか勝ちたいという気持ちになる。結果的に勝ちに繋がるところで打てたのが良かったと思います」

――去年までの22年間と、今年23年目の開幕の違いは?

「正直、感覚は全然違います。もちろん開幕の緊張感はある。ただ、今までみたいに数字や相手と戦わなきゃいけないとか、自分の立ち位置を築かなきゃいけないという感じとはちょっと違いますね。キャンプ、オープン戦もやってきたので早くこの日が来ないかなとワクワクしていました」

――1本目のヒット、タイムリーについて。

「やっぱホッとしますよね、人間なんで(笑)。みんなが繋いで回してくれた。あそこで自分が止めるわけにはいかないなっていうのもあったので」

――六回の決勝ホームラン。

「集中していた。もちろんどの打席でも集中はするんだけど、今日の試合の中でいえば同点追いつかれた後で『ここしかないな』っていうところだった。後悔のないように、思い切っていった中で結果がどう出るかというだけでした」

――打った瞬間、確信するほどのホームラン。

「そうですね、久しくあんな感じなかった(笑)」

――内川聖一という存在感を改めて示した。

「僕自身がプレーをすることが、チームにとってプラスになるのならばすごく嬉しいこと。でも、最終的には若い選手たちがNPB目指してやってる中で、ああいう役割を彼らができるようにならないといけない。まずは、彼らがそうなれるように僕がいい影響を与えられるようにしていきたい」

大分が開幕白星! 王者火の国は投手に課題

【3月18日 ヤマエグループ九州アジアリーグ リブワーク藤崎台球場 731人】

大分  `016103000 11

火の国 `200240000  8

<バッテリー>

【大】猿渡、◯木戸(1勝0敗)、ラモス、S福地(1セーブ)――中島

【火】下川、●菅原(0勝1敗)、山口翔――深草、有田

<本塁打>

【大】小田1号、内川1号 【火】仲村来1号、サンチェス1号

<スタメン>

【大】8新太郎 5河野 D内川 9小田 6川上 7久保田 3羽立 2中島 4中野

【火】7小林 4高山 3山本 Dサンチェス 9中山 6晴樹 5仲村来 2深草 8柏木

(※写真はすべて筆者撮影)

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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