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”育成13位ルーキー”が一軍オープン戦帯同へ。ホークスが考える「一軍争い」と「中長期戦略」の両立

田尻耕太郎スポーツライター
一軍オープン戦帯同が決まったソフトバンク育成13位新人の西尾

 ソフトバンクは4日からオープン戦に臨む。宮崎春季キャンプは最終日でも主力のA組に投手22名、野手20名の計42名という大所帯のままで行われた。

 ただ、WBC出場のためすでに代表チームに合流している甲斐拓也、近藤健介、周東佑京、モイネロは含まれておらず、一軍枠は31名に向けて今後は“ふるい落とし”が行われる。

オープン戦から本格サバイバル

 藤本博史監督も「オープン戦はより一層厳しくなる。3月からはサバイバルなんで、内容も結果も重視して頑張ってもらいたい」と話したうえで、宮崎キャンプ最終日をもって増田珠と野村大樹の野手2人がB組行きとなったことを明かした。「決して状態が悪いとかではない。試合での打席数を確保するため」としたが、チーム内競争の本格ゴングが打ち鳴らされた証ともいえる。

 だが、一方でチームは中長期的な戦略も大切にしなければならない。

ソフトバンクは3月2日にキャンプ打ち上げ。写真はB組の手締め。左から2人目は小久保裕紀二軍監督
ソフトバンクは3月2日にキャンプ打ち上げ。写真はB組の手締め。左から2人目は小久保裕紀二軍監督

 4日からは「経験をさせるため」(藤本監督)に育成枠の西尾歩真内野手、5日から川村友斗外野手の2人が、A組すなわち一軍オープン戦に合流する。

 なかでも西尾は育成13位のルーキーだ。大抜擢と言っていい。

168cm小兵ながら非凡な打撃力

 中京学院大から入団。身長168cmの小兵で、一見すれば足と守備のタイプに思われがち。たしかに守備の動きも俊敏だが、春季キャンプで評価を高めたのは打撃力だ。当初はC組で球団施設の福岡県筑後市でキャンプを送っていたが、キャンプ途中の第4クールから宮崎のB組に合流した。

 左打ちで、当てに行かずしっかり振りきって強い打球を飛ばしていた。一軍レベルの選手ならば当たり前でも、ファームの若手で、特にルーキーでそのレベルの打撃が最初から出来る選手はなかなか見当たらない。

 大学4年生の春にリーグMVP、首位打者、ベストナイン。リーグで3度の打率4割をマークしてきた。「小柄だが抜群のミートセンスと選球眼を持ち、高い出塁率を誇る」とスカウト評もある。

 今のうちから一軍級の選手たちと、観客の多いPayPayドームでの試合を肌で感じることが出来るのは財産になること間違いなし。「育成のホークス」の中で新たな星となれるのか、注目したい存在だ。

 西尾歩真(にしお・あゆま)

 内野手。背番号170。天白小学校(天白スポーツ少年団→津ボーイズ小学部)~三雲中学校(津ボーイズ)~中京学院大学附属中京高校~中京学院大学。三重県出身。右投左打。168cm、68kg。

 大学4年生の春にリーグMVP、首位打者、ベストナイン。リーグで3度の打率4割をマーク。小柄だが抜群のミートセンスと選球眼を持ち、高い出塁率を誇る。守備や走塁もそつがなく、ショートを守れる実戦派プレーヤー。

 性格は負けず嫌い。趣味は釣り。好きな食べ物は魚。嫌いな食べ物は特になし。

関連リンク→【ホークス育成新人名鑑・Q&A】13位西尾歩真「ブリのような出世魚に」大学4年春にMVP&首位打者

※写真はすべて筆者撮影

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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