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ホークス中村晃「2年契約だけど、今年ダメなら終わり」と背水の覚悟。自主トレでは復調手応えの打撃を継続

田尻耕太郎スポーツライター
「チーム晃」で自主トレ。前列中央が中村晃(筆者撮影)

 今季でプロ16年目を迎える福岡ソフトバンクホークス・中村晃外野手(33)が10日、福岡市の福工大野球場(FITスタジアム)での自主トレを公開した。

 昨季までの4年契約を満了して、オフには新たに2年契約を結んだ。しかし、中村晃は悲壮ともいえる覚悟の言葉を口にした。

「ここ数年は成績があまり良くない。ダメだったら終わりという覚悟でやっています。2年契約をもらっているけど、ダメなら終わりかな。自分を奮い立たせて(自主トレを)やっています」

日本代表・プレミア12で大会打率6割超も

 天性のバットマンという言葉がピタリ当てはまる好打者だ。2014年には最多安打のタイトルを獲得。3年連続打率3割を達成した2015年シーズン終了後には侍ジャパンに選ばれてプレミア12に出場して18打数11安打、打率.611という驚異的な数字を残した。さらに2016年からは2年連続でシーズンフル出場を果たしていた。

 だが、近年は膝を痛めたことも影響したのか下降気味。守備では2020年から3年連続で一塁手部門のゴールデングラブ賞に輝いてはいるものの、自慢の打撃力では物足りない成績に終わっていた。

昨季不振も前後半ではまるで別人

 昨季は114試合出場で打率.253、7本塁打、51打点、出塁率.334だった。

「ただ、去年の後半にやっていた打撃は『いけるんじゃないか』というのがあった。今はそれを継続して練習しています」

 昨年のオールスター前までの成績は打率.237、2本塁打、出塁率.312だったが、オールスター以降の後半戦は打率.286、5本塁打、出塁率.377と大きく改善させていた。

「意識したのは体の動かし方。打ち出すときの体の動きですかね。それ以前は手から動かしていたのを、下半身から徐々に回していくようなイメージにしました。7月くらいからですね」

「他でやるつもりもない」

ノックではホークスの後輩・渡邉陸(左)と一緒に明るい表情も(筆者撮影)
ノックではホークスの後輩・渡邉陸(左)と一緒に明るい表情も(筆者撮影)

 昨年秋の日刊スポーツの取材に応じた記事によれば、米国のトレーニング施設「ドライブライン・ベースボール」による動作解析などを用いた練習法を導入したことが奏功したようだ。もともとは周東佑京が先に行っており、その後輩にアドバイスを求めたという。

「いい感覚で去年を終われたのはよかった。バッティングに関して掴んではいないけど、これかなっていう感じはあります。これから掴もうとしているところです」

 囲み取材では改めて「自分の納得いくプレーが徐々に減ってきている。成績が残せなかったらもう終わりだろうなという覚悟」と話し、「打てなかったら終わりです。他でやるつもりもないですし」とまで口にした。

 この日公開した自主トレにはソフトバンクの渡邉陸、育成の早真之介という若い左打者も参加。さらに日本ハムの中島卓也や、中村晃を慕って今季から背番号7に変更したヤクルトの長岡秀樹も参加。たくさんの刺激も体いっぱいに浴びながら、勝負の2023年シーズンに向けて16年目ベテランは爪を研いでいる。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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