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寺原隼人3年ぶり現役復帰で2回3K無失点、139キロ「自分からもう1回行くと言った」

田尻耕太郎スポーツライター
力投する寺原投手兼コーチ

 プロ野球独立リーグ「ヤマエ久野 九州アジアリーグ」の公式戦が7日、北九州市民球場で行われ、福岡北九州フェニックスと火の国サラマンダーズが対戦した。

【8月7日 ヤマエ久野 九州アジアリーグ 北九州市民球場 692人】

火の国 `002010034 10

北九州 `000101001  3

<バッテリー>

【火】◯源、水野、石本、橋詰――深草

【北】寺原、●荒巻、本野、金本、北方――秋庭、武蔵

<本塁打>

なし

<スタメン>

【火】7松本 6中村 Dグスタボ 3モタ 9水本 5仲村 8小林 2深草 4高山

【北】9吉岡 6西岡 Dラモン 3ルーカス 5大河 7神谷 4妹尾 2秋庭 8宇土

<戦評>

 火の国が今カード2度目の2桁得点。2勝1敗と3連戦を勝ち越した。三回、来日3戦目のグスタボの先制適時打などで2点を先制。七回までは3-2と接戦ムードだったが、火の国が終盤に猛攻を見せた。八回は小林と深草の連続タイムリー二塁打で3点追加。九回はモタの2点二塁打などでダメ押しの4点を奪った。

 北九州は現役復帰初戦の寺原が2回無失点。ただ、後続の投手がぴりっとしなかった。自慢の強力打線も10安打を放ったが残塁9と決定打が出なかった。3番・ラモンが3安打。途中出場のキャプテンの中村も適時三塁打を含む2安打と気を吐いた。(了)

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寺原隼人が復帰登板を振り返る

試合前は火の国・馬原孝浩監督(左)や藤岡好明投手兼コーチ(右から2人目)と談笑。3名ともソフトバンクホークスのOB
試合前は火の国・馬原孝浩監督(左)や藤岡好明投手兼コーチ(右から2人目)と談笑。3名ともソフトバンクホークスのOB

 電撃現役復帰した福岡北九州フェニックス・寺原隼人投手兼任コーチが先発。約3年ぶりにマウンドに上がった。

 初回は先頭打者に四球、2人目には死球と不安定な立ち上がりだったが、ソフトバンクなど4球団で活躍してきた百戦錬磨の右腕はここから本領発揮した。

 ノーアウト一、二塁から火の国サラマンダーズの中軸3人をぴしゃりと抑えた。グスタボから空振り三振で最初のアウトを奪うと、続くモタは左飛、そして水本も空振り三振に斬った。

 試合前には「行けるところまで」と話していた寺原は2イニング目もマウンドへ。先頭を二ゴロ、続く打者には右前打を許したが、この回3人目の深草を空振り三振に仕留めて二盗を仕掛けた走者をアウト。2回もゼロに抑えた。

 寺原は2回で交代。打者8人に32球、1安打、3奪三振、2四死球、無失点の投球内容。注目の最速は、球場表示で139キロだった。

寺原の好投に西岡剛スキッパーも大きくジャンプして大喜び
寺原の好投に西岡剛スキッパーも大きくジャンプして大喜び

 試合後の囲み取材での主な一問一答

――3年ぶりの登板だった。

「本当にちょうど3年ぶりぐらいで、それまでバッター相手に投げてなかったので、僕もどうなるか分かんなかったですけど、何とか2イニングですけど投げられました。最初はちょっとヒヤヒヤさせてしまったけど、何とかゼロで抑えられて一安心ですね」

――予定通りの2イニング?

「初回が終わって『もういいですよ』って話だったんですけど、自分からもう1回行くって言いました」

――なぜ?

「最初マウンド上がった時に、久々でマウンドの感じとかがちょっとつかめなかった。フォアボールを出してしまったりして、ちょっと嫌なものを僕の中で拭き取りたかった。次のイニングはしっかり先頭から打ち取りたいという気持ちが強かった。自分の中でしっかりやろうっていう気持ちで、もう1回行きました」

――ピンチの場面ではショートを守る西岡剛選手兼監督からの声かけも。

「どうしたんすか?って。マウンドが合わなかったっていう話をしました。でも、僕はコーチの立場として選手たちに『試合中に自分の中で修正をしないといけない。四球を出しても、しっかり後々修正していかないといけない』って言ってるので、そこは自分がしっかりできてなければ言えないと思ったんで、そこも含めて、もう1イニング行かせてもらいました。二回はもう振りかぶらずに、セットからクイックで投げました。そういうところも見てくれればいいなと思いました。(その投げ方が)自分が一番ストライクを取りやすい。どんなフォームでもストライクを取れと常に言ってる。バランスが崩れても、ちょっと横から投げようとも、ストライクを取るのがピッチャーなので」

――自己採点は?

「30点ぐらい。3、40点ぐらいですかね」

――でも、笑顔もありました。

「独立リーグというチームの中で、みんな和気あいあいと楽しく野球をやっている。その中でみんなが盛り上げてくれて、お客さんもこうやって見に来てくれたんで、楽しく投げれました」

――そもそも現役復帰に至った経緯は?

「正直、投手がちょっと不足してるというのがありまして。コロナの影響もあります。ただ、少し前から西岡スキッパーから『どこかで復帰しましょうよ』と言われていた。色々時期が重なって今日になった。投手登録は今日だけではない」

――どんな心境だった?

「緊張はしなかったんですけど、教える立場の分、自分がちゃんとしたピッチングしないと何も言えないなと思ったんで、そこのプレッシャーはありました(笑)」

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火の国・源隆馬が無傷3連勝

火の国サラマンダーズ・源隆馬
火の国サラマンダーズ・源隆馬

 火の国サラマンダーズの先発だった源隆馬投手は5回3安打1失点で今季3勝目を挙げた。

 宮崎出身の21歳右腕は、同郷の大先輩との投げ合いを試合前から楽しみにしていた。今季は故障で出遅れたが、復帰後5試合に登板して3勝0敗、防御率1.82と安定した投球を見せている。

 宮崎学園高校の3年夏(2018年)、宮崎県選抜に選ばれて侍ジャパンUー18の壮行試合に登板。1イニングだけだったが、現広島カープの小園海斗や現中日ドラゴンズの根尾昂から三振を奪った実績がある。年齢的にも若く、将来が楽しみだ。

※写真はすべて筆者撮影

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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