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「NPB越え20球」の次は「1回4奪三振」。注目左腕火の国サラマンダーズ・芦谷がまた珍記録=九州AL

田尻耕太郎スポーツライター
火の国サラマンダーズ・芦谷汰貴投手(今年5月に筆者撮影)

 プロ野球独立リーグ「ヤマエ久野 九州アジアリーグ」の公式戦が26日、2試合行われた。

 熊本県の山鹿市民球場ではホーム・火の国サラマンダーズが大分B-リングスを迎えて対戦。1-0の僅差で火の国が勝利した。

 福岡県の北九州市民球場では福岡北九州フェニックスが福岡ソフトバンクホークス三軍と対戦し、1-3で敗れた。今季参入の北九州にとってはホームに初めてソフトバンクを迎えたカードだったが、0勝2敗に終わった(ビジターでは2勝1敗で勝ち越し)。しかし、25日の試合が雨天延期となっており、いずれかのタイミングでまた北九州主催のソフトバンク戦が組まれる予定となっている。

火の国・芦谷が快投。元NPB白崎や広畑からも三振

 ところで、山鹿球場の試合では珍記録が生まれた。火の国サラマンダーズの芦谷汰貴投手が「1イニング4奪三振」をマークした。

 1-0とリードして迎えた七回表だ。先頭の白崎浩之(元DeNA、オリックス)を空振り三振。今津辰吾にはフルカウントから四球を与えたが、山口嶺生も空振り三振に仕留めて2アウトとした。

 ここで続く広畑塁(元巨人)からも空振り三振を奪ったが、暴投で振り逃げ出塁となった。振り逃げは三振が記録されるが、アウトとはならない。

 2アウト一、三塁と思わぬ形でピンチを迎えたが、芦谷は動揺することなく中谷内莞からこの回4つ目の三振(空振り)を奪ってこの場面をしのいだ。

18日には打者1人と20球対決

 芦谷は今月18日に熊本県営八代運動公園野球場で行われた同じ大分B-リングス戦で、打者1人を相手に20球を投げるという珍事を記録していた。三回表、大分・山口への投球だ。

【火の国・芦谷vs大分・山口の対戦内容】

1球目・ストライク

2球目・ストライク

3球目・ボール

4球目・ファウル

5球目・ファウル

6球目・ファウル

7球目・ボール

8球目・ファウル

9球目・ファウル

10球目・ボール(ワンバウンド)

11球目・ファウル

12球目・ファウル

13球目・ファウル

14球目・ファウル

15球目・ファウル

16球目・ファウル

17球目・ファウル

18球目・ファウル

19球目・ファウル

20球目・四球

 なお、NPBの記録は19球。1947年の松井信勝(太陽)、2012年の明石健志(ソフトバンク)、2013年の鶴岡一成(DeNA)が記録している。

 米大リーグでの記録は21球。2018年4月22日のサンフランシスコジャイアンツ2番打者のブランドン・ベルトが、ロサンゼルスエンゼルスのジェイミー・バリアとの対戦で記録し、結果はライトフライだった。

今秋のドラフト指名を目指して

 そして、立て続けに「珍記録」を残した芦谷は、現在火の国サラマンダーズでエース級の活躍を見せている。5勝はリーグ2位、防御率1.47がリーグ1位、61奪三振がリーグ2位タイ(奪三振率は11.20)の好成績。26日の大分戦も7回2安打13奪三振3四球無失点で勝利投手になっていた。

 国立・九州大学を今春に卒業。同大学初の「NPB入り」を目指して火の国サラマンダーズに入団した。「今年のドラフトへ1年勝負のつもりでやっています」と常々語っている左腕は、厳しい環境の中で着実に成長を遂げている。今後のドラフト戦線で名前が急浮上してくる可能性もあり楽しみだ。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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