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【プロ野球/福岡ダービー】ホリエモン創設の独立・北九州がソフトバンク三軍を連破!カブレラ息子ら活躍

田尻耕太郎スポーツライター
ファンに挨拶をする西岡剛監督(右から2人目)

 6月22日、ヤマエ久野九州アジアリーグの福岡北九州フェニックスは公式戦で福岡ソフトバンクホークス三軍とタマホームスタジアム筑後で対戦した。

【6月22日 九州アジアリーグ公式戦/ホークス三軍定期交流戦 タマスタ筑後 281人】

北九州    `000001100 2

ソフトバンク `000000000 0

<バッテリー>

【北】◯豊村、櫻井、大津、S松本――秋庭

【ソ】村上、佐藤琢、●木村、高橋純、三浦――居谷

<本塁打>

なし

<スタメン>

【北】6妹尾 4宇土 D大河 3ラモン 5ルーカス 9吉岡 8尾野 2秋庭 7神谷

【ソ】4小林 8仲田 D牧原巧 3三代 9川村 2居谷 5藤野 7舟越 6勝連

<戦評>

 北九州の得点はいずれもソフトバンクのバッテリーミス(暴投)によるもの。本塁打もタイムリーも出なかったが、北九州が終始主導権を握って試合を進めた。チーム安打数も「8-3」と圧倒。リーグ首位打者争いをする大河(打率.375/リーグ1位)とラモン・カブレラ(打率.349/リーグ3位)が2安打ずつを放った。なおラモン・カブレラの父親は西武、オリックス、ソフトバンクで通算357本塁打を放ったアレックス・カブレラだ。

アレックス・カブレラ氏の息子、ラモンは捕手が本職。この日は一塁手で出場
アレックス・カブレラ氏の息子、ラモンは捕手が本職。この日は一塁手で出場

 投手陣は完封リレーだ。先発した北九州市立大出身右腕の豊村直大が5回2/3を1安打無失点と快投。直球は殆どが130キロ台ながら上手くタイミングを外した。リリーフ陣も好投。最後は元西武の松本直晃が1回11球で3者凡退に締めくくった。

6回途中1安打無失点と好投した、北九州・豊村
6回途中1安打無失点と好投した、北九州・豊村

 ソフトバンクは投打ともに課題が多かった。

スタメン出場したソフトバンク・仲田
スタメン出場したソフトバンク・仲田

 育成ドラフト14位ルーキーの仲田慶介が初スタメンで出場したが、2打数無安打に終わり四回までで交代した。(了)

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西岡剛監督に聞く「勉強させてもらった」

 福岡北九州フェニックスは、ホリエモンこと実業家の堀江貴文氏が昨年創設を発表し、チームが実質的に始動したのは今年3月になってから。まだわずか4カ月。そんな中、参入1年目のヤマエ久野九州アジアリーグでは15勝15敗の勝率5割と健闘している。

 そして、福岡ソフトバンクホークス三軍と初めて戦った変則3連戦(18日、19日、22日)は初戦こそ1-4で敗れたが、2戦目は6-2で勝利。そして、この日2-0と完封リレーで連勝して敵地3連戦を勝ち越した。

週末は北九州ホームでソフトバンク3連戦

 九州アジアリーグ各球団はホーム&ビジターでソフトバンク三軍と6試合を戦う。北九州は今週末の24日~26日にホーム開催で、北九州市民球場にソフトバンク三軍を迎えて3連戦を行う。

西岡剛監督の試合後コメント

――試合を振り返って。

「豊村くんがしっかり投げてくれた。試合をきっちり作ってくれました。まだ新しいチームですけど、選手たちがしっかり個々の力を上手く発揮してくれてる。だから試合を上手く回していけるような感じがしますね」

――ソフトバンク相手に2勝1敗と勝ち越し。

「どうなんですかね。他の独立リーグ球団も勝ち越しているので。選手の年齢を見れば、独立球団の方が経験ある選手もいますから。でも、その中でもNPBにいる選手たちはやることが的確。たとえば、バッティングコーチから『低めを捨てて高めを打ちなさい』指示が出ればみんなも高めを狙ってくる。その辺は独立リーグの選手たちが上手く対応できていない。今日のソフトバンクさんはたまたま点が入らなかったけど、やるべきことはしっかりやってるチームなんだなというのを勉強させてもらいました」

――選手たちもこのような球場でNPB球団と対戦するのはいい経験になる。

「普段テレビで見てるユニフォームの相手とやるのはモチベーションが違うと思います。自然とそういう気持ちになる。でも、選手たちには一緒だと言っています。相手ではなく、自分自身と戦ってくれと常に言っています。ただ、こうやってNPBと試合ができるのは、僕たち独立リーグにとってはすごくありがたいことです」

――現段階での収穫と課題は?

「収穫としては、自分たちの個々の能力を、今までの野球だと10%ぐらいしか出せなかったシーンもあったと思うんです。それを80、90、そして100%に近い状態に持っていこうとしている。そこに近いところで野球ができてる部分もあります。課題としては、開幕からみんな打ってたんですが、暑くなるし梅雨時期になってどうしても疲れてくる。ピッチャーも同じです。ここでどれだけキープできるか。1年間の成績につながってくる」

――今週末は北九州にソフトバンクを迎えてのホームゲーム。

「北九州はお客さんがたくさん入ってくれるので楽しみです。ただ、天気が心配」

――福岡を冠にする球団。ソフトバンクがある中、福岡北九州フェニックスに必要なことは?

「もう地元密着ですよ。ソフトバンクとか、ロッテも阪神も巨人もNPBには全国にファンがいますが、僕らは地元に住んでいる身近な人たちが応援してくれるチーム。NPBと同じやり方をしていても難しい。NPBにできないこともやっていかないと。ファンの皆さんとの距離感とか。そこからどれだけ広げられるか。時間はかかるし、地道にやっていかないと」

※写真はすべて筆者撮影

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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