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今年4月に「19歳一軍デビュー」ホークス田上奏大の現在地。右脚の使い方改善で自己最長7回無失点

田尻耕太郎スポーツライター
7回無失点で3勝目を挙げたホークス田上

 6月16日、ウエスタン・リーグ公式戦で福岡ソフトバンクホークスはタマホームスタジアム筑後で中日ドラゴンズと対戦した。

森が2試合連続セーブ

【6月16日 ウエスタン・リーグ タマスタ筑後 1191人】

中日     `000000000 0

ソフトバンク `30000000× 3

<バッテリー>

【D】●鈴木(3勝3敗)、松木平、橋本、森――大野奨

【H】◯田上(3勝3敗)、三浦、S森(2セーブ)――渡邉、谷川原

<本塁打>

なし

<スタメン>

【D】9渡辺 4堂上 7山下 8ブライト 3石岡 D石橋 2大野奨 6石垣 5星野

【H】7谷川原 6野村勇 8柳町 3正木 5ガルビス 2渡邉 D中谷 3リチャード 4高田6川瀬 8佐藤直 7増田

<戦評>

 ソフトバンクは初回、野村勇のヒットと盗塁などでノーアウト二、三塁のチャンスを作ると柳町が中前2点適時打を放って先制。さらに渡邉がバットを折られながらしぶとく中前へ運ぶタイムリーを打ち返して早々に3点を奪った。

一軍昇格へ自身はゴーサインも出した柳町
一軍昇格へ自身はゴーサインも出した柳町

 その後得点を奪えなかったが、正木は三回の第2打席で右二塁打を放ち、2試合連続で長打をマークした。また、野村勇は4打数2安打1盗塁を記録。一軍から参加している選手たちが“貫禄”を見せた。

長打を放って持ち味を発揮した正木
長打を放って持ち味を発揮した正木

 投げては田上が7回4安打無失点と好投。最後は連投の森が1回1安打無失点に抑えて、2戦連続でセーブを記録した。(了)

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田上奏大、球数100超は「プロで初めて」

 田上奏大投手が自己最多の101球で自己最長7回を投げて無失点に抑える好投。4安打7奪三振1与四球と好内容で、ウエスタンで3勝目。3月31日の阪神戦以来の白星だった。

「不甲斐ないピッチングが続いていたので、久しぶりにいいピッチングを見せられてよかったです」

 直球に力があった。140キロ台後半をコンスタントにマーク。四回の4番・ブライトへの6球目には150キロも計測した。

長崎でのデビュー戦後は苦戦の日々

 崩していたフォームを改善した。

「右の軸足を踏ん張ったまま、横の時間を作って投げるのが理想です」

 春先はそれが出来ていた。ウエスタンで連勝して一軍初昇格。4月12日の長崎でのロッテ戦は6回途中無失点の満点デビューを飾った。

 しかし、続く登板は2回途中2失点でKO。その後ファームで経験を積む日々が続いている。その中で、心身ともに一度ピークを作ったツケがあったとも考えられる。ただ、それも経験だ。

 感覚を取り戻した今の投球フォームを、これからも継続できるかが次のテーマとなる。「また一軍に上がって、今度は初勝利を挙げたい」。伸び盛りの19歳が見せた今後のきっかけとなる快投に、タマスタ筑後に駆け付けた若鷹ファンたちも満足そうだった。

※写真はすべて筆者撮影

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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