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藤本監督も認めるスラッガーの素質。ホークス3年目小林珠維が三軍戦で会心の一撃「あ、こんな感じ」

田尻耕太郎スポーツライター
五回に本塁打を放った際のホークス・小林

 6月7日、福岡ソフトバンクホークス三軍はタマホームスタジアム筑後(以下タマスタ筑後)でヤマエ久野九州アジアリーグの火の国サラマンダーズと練習試合を行った。

【6月7日 練習試合 タマスタ筑後】

火の国    `200001000 3

ソフトバンク `00004401× 9

<バッテリー>

【火】猿渡、佐野、石本、徳橋、藤岡――有田、中島

【ソ】佐藤琢、アルメンタ、木村、フェリックス――石塚

<本塁打>

【ソ】石塚、小林

<スタメン>

【火】4中村 8小林 9水本 7モタ 3佐藤 5高橋 D植月 6橋中 2有田

【ソ】4小林 7舟越 8笹川 3黒瀬 2石塚 9川村 5三代 6伊藤 D佐久間

<戦評>

 ソフトバンクが中盤に集中攻撃を見せた。2点を追う五回、先頭の石塚が放った左越えソロが反撃ののろしとなった。1アウト三塁からは伊藤が左翼線三塁打を放ち同点。続く佐久間の犠飛で勝ち越すと、なおも小林が左越ソロを放って一挙4点を挙げた。

 さらに六回だ。先頭からの3連続四球でもらった満塁のチャンスで川村が右中間突破の3点三塁打を放ち突き放した。さらに小林の適時打でこの回も4点を加えた。

 先発した佐藤琢は5回で7安打を浴びる投球も2失点と粘った。3番手の木村が2回1安打無失点と好投。最終回に登板したフェリックスも1四球を与えたが1回無安打無失点に抑えた。

チームスタッフに付き添われてグラウンドを後にするモタ(右から2人目)
チームスタッフに付き添われてグラウンドを後にするモタ(右から2人目)

 また、火の国サラマンダーズのイスラエル・モタ外野手が五回の左翼守備の際に、フェンス際の打球を追ってよじ登った際に右足首を負傷し途中交代した。スタッフに付き添われながら歩いてベンチ裏へ下がっていったが、捻った模様でその後の状態が心配される。(了)

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小林珠維の一発の裏に、大道コーチの助言

 ソフトバンクの小林珠維内野手が本塁打を放った。

 五回だ。チームが3点を取って逆転に成功し、2アウト走者なしでこの日の3打席目が回ってきた。前の2打席は二ゴロと三ゴロ失。「打ちたい気持ちが強すぎて、体が突っ込んでしまっていた」と反省した。

 3打席目に向かう前、大道典良三軍打撃コーチから助言をもらったという。

「もっと間を取っていけ」

 気持ちが焦ってボールを迎えに行ってしまっていた。だから、トップを深めに作り、ボールを呼び込むようにした。その時に左肩が内側に入りすぎる悪癖だけは出ないように気を付けた。余裕をもってバットを出す。その結果が大きなアーチを生んだ。

「あ、こんな感じかなというのはありました」

 続く打席でもタイムリーヒット。これも自信になる一打だった。

藤本監督を驚かせた成長曲線

 三軍戦では今季4本目の本塁打だ。昨年は二軍で2発、三軍で1発だったから、合計本数では6月にして早くも上回った。

「長打は自分の持ち味だと思っています」

 藤本博史監督もその潜在能力は認めている。

「一昨年は三軍監督をしていて、その時に高卒新人で入団してきたのが小林だった。彼は高校まで投手で、プロで内野手に転向。身体能力は高いけどフリー打撃をさせるとまったく打球が飛ばない。それが昨年は、外野フェンスを越えるどころかスタンド中段まで飛ばすようになった。そういう成長を見るのは僕も楽しかった」

 小林自身も、三軍そして二軍で目をかけてもらった藤本監督に恩返しをしたい気持ちは強い。

「一軍に昇格(あ)がるためには、まずは二軍でしっかりアピールをしないと」

 現在ウエスタン・リーグでは29試合に出場して打率.153、0本塁打、5打点という成績。セールスポイントの長打力はもちろん、まずは打率を高めていきたいところだ。

※写真はすべて筆者撮影

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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