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ソフトバンク10年ぶりの育成開幕投手が公式戦1勝!小久保二軍監督も「期待以上」=ウエスタン・リーグ

田尻耕太郎スポーツライター
どことなく、剛力彩芽に似ている気も…。初勝利を喜ぶソフトバンク・田上(筆者撮影)

 3月18日、福岡ソフトバンクホークス二軍がウエスタン・リーグ開幕戦を迎えた。タマホームスタジアム筑後でオリックスバファローズ二軍と対戦した。

【3月18日 ウエスタン・リーグ タマスタ筑後 1552人】

オリックス  `000000000 0

ソフトバンク `10020010× 4

<バッテリー>

【B】●東(0勝1敗)、横山、吉田凌、阿部、黒木――頓宮

【H】◯田上(1勝0敗)、泉、板東、重田、尾形――渡邉

<本塁打>

なし

<スタメン>

【B】9来田 6山足 5西野 4太田 2頓宮 D大下 7池田 3佐野如 8元

【H】8柳町 D明石 7正木 5井上 2渡邉 3中谷 9笹川 4小林 6川瀬

先制タイムリーで4番起用に応えた井上朋也(筆者撮影)
先制タイムリーで4番起用に応えた井上朋也(筆者撮影)

<戦評>

 ソフトバンクが快勝。今季から就任した小久保裕紀二軍監督の初陣を飾った。

 初回、井上朋也が先制打。四回には二死一、三塁で一走が投手のワンバウンド投球に反応してスタートし挟まれる間に、三走だった渡邉陸が本塁に生還した。さらに柳町達のタイムリーでこの回もう1点を追加した。七回は無死一塁から明石健志が右前打を放ち、相手野手がファンブルしている間に走者が一気に生還した。

 投げては先発の田上奏大が5回無失点。その後4投手1回ずつの継投で完封リレーを成し遂げた。(了)

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田上奏大、5回無失点で公式戦1勝「これまでにない投球」

 小久保裕紀二軍監督の初陣で、開幕投手を託された19歳育成右腕の田上奏大投手が5回無失点の快投。プロ2年目で公式戦初勝利を飾った。

 150キロ台の直球が持ち味だが、この日は変化球もうまく使った。6三振を奪ったうち、半分の3つはスライダーやカットボールを決め球にした。「これまでそういう投球は出来ていなかった。今日は自分のしたいことがやれました」。三回1死一塁で相手4番の太田椋を迎えた場面では「右打者にはカットボールでゴロを打たせていたので」と、初球の136キロのカットボールで三ゴロ併殺打に打ち取るイメージ通りの投球も披露した。

小久保二軍監督から「俺の船出と一緒に」

勝利を決めた直後、田上をねぎらう小久保二軍監督(筆者撮影)
勝利を決めた直後、田上をねぎらう小久保二軍監督(筆者撮影)

 昨オフにわずか入団1年で支配下登録解除となり育成再契約となった右腕だが、小久保二軍監督の評価はとてつもなく高い。現在でもファームで軸となれる力があると認め、この日の開幕投手も託した。

「俺の船出と一緒に、頼むぞ」と告げられたそうで、田上は「めちゃくちゃ嬉しかったです。それだけ期待してもらっているので」と振り返る。一方で小久保二軍監督は「(通達した際の)田上のあどけない表情は一生忘れない」と笑った。

緊張のあまり、食器を落とすハプニング

 田上はこの日も、マウンドに上がるまではガチガチに緊張していた。試合前の食堂では「自分でもびっくりするくらい緊張していて」と食器を下げる際に茶碗を落としてしまい、ガシャン(幸い割れなかったとのこと)と大きな音を立ててチームメイトの視線を集めてしまい「無理やり平静を装いました」と苦笑した。

 そんな中での見事な投球。小久保二軍監督も「球数も投げていたし4回くらいまでかなと思っていたら5回まで投げきってくれた」と称え、「期待以上だった」と舌を巻いた。

 ところで、ソフトバンク二軍で、開幕投手を育成枠が務めたのは2012年のエディソン・バリオス投手以来で、開幕投手が白星を手にしたのも同様。じつに10年ぶりのことだった。

ソフトバンク、過去10年のウエスタン開幕投手

21年 尾形崇斗 5回1自責点(黒星)

20年 笠谷俊介 5回3自責点(黒星)

19年 高橋純平 5回1自責点

18年 千賀滉大 5回1自責点

17年 山田大樹 6回3自責点

16年 東浜巨  8回1自責点

15年 笠原大芽 5.2回2自責点(黒星)

14年 東浜巨  3回0自責点

13年 大場翔太 6回2自責点

12年 バリオス 6回0自責点(白星)

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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