Yahoo!ニュース

ホークス大関、“カド番”は脱出だ!千賀回避の緊急先発も3回零封

田尻耕太郎スポーツライター
ソフトバンク・大関(2月キャンプで筆者撮影)

 3月4日、福岡ソフトバンクホークスは本拠地PayPayドームで千葉ロッテマリーンズとオープン戦を行った。

甲斐がオープン戦1号

【3月4日 オープン戦 PayPayドーム 8988人】

ロッテ    `000002000 2

ソフトバンク `10112000× 5

<バッテリー>

【M】●本前(0勝1敗)、東妻、成田、小野、鈴木――田村、柿沼

【H】◯大関(1勝0敗)、大竹耕、中村亮、嘉弥真、S椎野(1セーブ)――甲斐、海野

<本塁打>

【H】甲斐1号

<スタメン>

【M】5池田 8藤原 4中村奨 3山口 D松川 6藤岡 7岡 2田村 9高部

【H】4三森 6今宮 9柳田 7グラシアル 7栗原 3松田 5リチャード 8真砂2甲斐

<戦評>

 ソフトバンク打線が小刻みに得点を重ねた。初回、先頭の三森が内野安打で出塁(一旦アウト判定も、藤本監督の初リクエストが成功しセーフに)。今宮がバントで送り、3番の柳田が右中間二塁打を放って先制した。いずれも初球打ちで、わずか3球で1点を奪った。

 三回は甲斐の右越えソロ、四回は真砂の適時打で追加点。五回はグラシアルにオープン戦初安打となる中越え2点二塁打が飛び出した。今季は4番定着が期待されるキューバ砲は「良いポイントで捉えることができた。開幕までにいい状態に上げていくことだけだよ。その中で今日一本打つことができたのは良かったね」と振り返った。

 投手陣は先発の大関、2番手の大竹耕がそれぞれ3回を投げた。大関は無失点の好投。大竹耕は最後に2点を失ったが、全体的には及第点の内容だった。

 3番手では育成枠の中村亮が初登板し、150キロ超の直球を連発して1回無失点に抑えた。登板後は「体がフワフワした感覚があり、すごく緊張しました。でもしっかりと腕を振り、自分の良さを出すことはできたと思います。次の登板では、もう少し冷静になって、今日以上の投球ができるように頑張りたい」とコメントを出した。

 チームとしてもロッテ戦は2月24日の「球春みやざきベースボールゲームズ」で5-10と大敗していたが、きっちりリベンジに成功した。(了)

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

左腕大関、千賀回避で巡ってきたチャンス

 緊急先発も動じず、先発した大関友久投手が落ち着いた投球で3回2安打無失点と好結果を残した。

 もともとは開幕投手に決定している千賀滉大投手が先発予定だった。しかし、新型コロナウイルス陽性者と濃厚接触の疑いがあるため、所轄保健所による判定まで自己隔離とすることがこの日の試合前に球団から発表されていた。

 大関は「僕にとってはチャンスと思った」と前向きな気持ちでマウンドに上がった。リベンジの登板だった。2月24日の宮崎でのロッテ戦に先発。初回無失点も、二回に大乱調の6失点で1回0/3でのノックアウトを喫していた。

「開幕ローテ争いでは後れを取っている」

 大関だけにもう“土俵際”。大関だけに“カド番”ともいえる状況まで追い込まれていた。ただ、焦ることはやめた。

土俵際も「楽しむ」ことを大事に

「自分の良し悪しにこだわり過ぎず、いい意味で楽しむことを考えてマウンドに上がりました。去年の良かった時にやり方にこだわって、自分を苦しめていたところもあったので、投手として一番大事なのは何かと考え直して、今日は臨みました」

 ストレートが走っていた。140キロ台後半をマークし、直球で空振りを奪うシーンも多かった。

「真っ直ぐは去年より手応えを感じています。どんどん勝負して、ストレートで押し込めていけました」

 先発枠争いは千賀、石川、和田、東浜まで内定と伝えられており、若手で争う残り2枠のうち田中正が頭1つ抜け出している。実質1つのイスを松本や笠谷、杉山そしてこの日2番手で投げた大竹耕と争っている。

内容も求められる

 また、藤本監督は「0点には抑えたし真っ直ぐは良かったけど、変化球がストライクを取れていない。三回もストレート一本で狙われていた」と指摘。そこは大関自身も反省点に挙げていた。

「ここから巻き返していきたい」

 次回は結果だけでなく、内容もさらに求められることになりそうだ。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

田尻耕太郎の最近の記事