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ソフトバンク笠谷が胸に刻む、工藤前監督のラストメッセージ「最終回に・・・」

田尻耕太郎スポーツライター
ブルペンで投球を行うソフトバンク笠谷(筆者撮影)

 ソフトバンクの笠谷俊介投手が宮崎秋季キャンプの第2クール最終日だった12日、ブルペン入りして90球を投げた。

 かつての武器を取り戻す。それがこのオフのテーマだ。「真っ直ぐの空振り率が悪かった」と今季を振り返る。もともと笠谷のストレートは伸びがすごく、一時は「打者が分かっていても当たらない」と評されていた。

自分の武器を取り戻す

「何でそれが出来なくなったのか。以前とフォームを変えていたので、そこに着目していなかったけど、取り戻したいと思っています」

 ブルペンでは捕手に下がってもらったり、自らがプレートの後ろから投げたりするなど工夫を取り入れた投球練習を行っている。

「ベース盤だけ強い球じゃなく、突き抜けるようなホップする軌道を思い描いています」

 また、距離が遠い分だけ、投球フォームがダイナミックに映る。

「本当は使うべき筋肉が機能しなければ怪我につながる。今は大きく、フリーな状態で投げて、良いものを探している感じです」

 投球では指先の感覚も大切だが、下半身の体重移動や体の運び方をしっかり身につけなければ、長いシーズンを完走したうえで好成績を残すことはできない。

「1年通して『アイツ、凄いな』と言われるような投手になりたい。イニングが進んでも真っ直ぐが全然落ちないとか、バッターに嫌がれる投手になりたい」

 そう強く考えるよう、背中を押してくれたのが工藤公康前監督だった。

「退団される前に『最終回に最速を出せるように頑張れ』と言っていただきました。期待されて起用してもらっていた。その恩返しのために、それを出来るようになりたいです」

タカの「柱」へ

 今季は入団7年目で初の開幕ローテ入りを果たしたが、3勝4敗、防御率4.27と振るわないシーズンに終わった。

「もういい加減、ちゃんと投げろと自分で思っている。本当は今年(一本立ちを)と思っていたけど、それが出来ずに迷惑をかけた。一番の目標は優勝。個人的には2桁勝って、完投も完封もする。(師匠の)和田さんが投げるところがなくなるくらい、圧倒したいです」

 チームとしても先発左腕の台頭は待望視されているところ。強力な「タカ柱」となるべく、まずはこのキャンプで実りの秋とするつもりだ。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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