ホークス高橋純平「悩みが嘘のよう。気持ちいいキャンプ」先輩和田毅をヒントに復活へ
「このキャンプに入ってずっと感じがいい。シーズン中は悩んでいたけど、それが嘘のように気持ちよく投げられています」
福岡ソフトバンクホークス・高橋純平投手の表情がやたら明るい。11日の宮崎秋季キャンプ第2クール3日目、ブルペンで53球を投げ込んだ右腕はとにかくテンションが高かった。大抵の投手は唸り声を上げる以外は黙々と腕を振るのだが、高橋純は「今日一番いいかも」「今日は(ボールが)強い」と声を発し、納得いかない球が行っても白い歯をこぼしながら修正ポイントを探るようにコーチと言葉を交わした。
一軍防御率0.00だったのに・・・
今シーズンは5月のゴールデンウィークまでに一軍で10試合登板し1勝1敗2ホールド。2年ぶりの白星を手にするとともに、防御率0.00と抜群の安定感を示した。
しかし、5月8日に右手骨折で出場選手登録を抹消。すると一気に暗転した。リハビリを経てやがて二軍戦に復帰したが、まるで別人のような投球だった。ウエスタンでは16試合登板で0勝2敗、防御率5.87。とにかく制球が悪く、一軍からお呼びがかかるはずもなかった。
「ある程度思うところにも投げられなくなった。初めての経験でした」
投球フォームを模索する中、筑後の練習施設で先輩投手のキャッチボールに目を奪われた。
「和田(毅)さんです。じーっと見てて思ったのが、同じリズムで、同じところに投げる。ふわーっと山なりなんですけど、何球も同じ。でも、あの体の使い方はすぐに出来ない。意識したのはグラブを持つ手の方です。最初はモノマネから入りました」
和田毅の右手をヒントに
右利きの高橋純。「意識の部分なので、言葉にすると難しいですけど」と言ったが、グラブを嵌めた左手を以前より少し早く捕手方向へ突き出すようにした。
「左手と右の股関節でタイミングをとる。それがハマっています」
シーズン中は大胆な挑戦が出来なかった分、秋季キャンプでは初日から強く意識して取り組んでいる。
「球に力を伝えることもできている。それに、今は不思議な感じなんです」
かねて肩や肘に故障歴があったことで、現在でも時折、朝グラウンドに出る時は不安感を覚えることがあるという。
「だけど、いざキャッチボールを始めると『こんなに投げれちゃう!』というのが毎日続いています。ピッチングに対して余裕が生まれる。それに取り組みたいことをしっかりやれているから、他の練習にも前向きになれる。それがテンションの高い要因ですかね(笑)」
3球団が競合した中、ドラフト1位で入団した右腕も一軍で活躍したのは実質、19年に中継ぎで45試合に登板した1シーズンのみ。
来季は7年目。背水の背番号47がついに覚醒するか。もう期待は裏切れない。