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ホークスで契約更改スタート。29歳右腕の奥村政稔は10%ダウンも「手応えがある」理由とは

田尻耕太郎スポーツライター
10月のフェニックスリーグで登板した際の奥村(筆者撮影)

 福岡ソフトバンクホークスの契約更改が6日、キャンプ地の宮崎でスタートした。

 今オフ1番手で交渉の席に座った奥村政稔投手は「10%ダウンでした」と3年目オフで初の減俸。推定900万円で契約を更改した。

 今季はプロ入り後初めて一軍で登板機会がなかった。今年8月には29歳を迎えた。若手とは言えない年齢だ。オフを迎える前は相当な危機感もあったはずだ。それでも奥村は「自分の中で手応えがあった」と今季を振り返った。

先発とリリーフで全く違った数字

 ウエスタン・リーグでは36試合に登板して4勝2敗4セーブ、防御率2.31を残した。

 たしかに悪くない成績だ。しかし、奥村が胸を張るのはそこではない。

「シーズン後半から先発をするようになって、良くなった」

 奥村といえば体を目一杯使って投げる豪快なフォームが特徴で、いかにも力投型だ。そのためプロ入り以来ずっと中継ぎ起用だった。だが、7月後半から二軍で先発起用されるようになった。その直前に二保旭投手が阪神へトレード移籍して先発枠が空いたこともあり、今季まで所属した倉野信次コーチが進言したという。

 先発をしたことで、一番の課題だった制球面が一気に改善された。

 数字を見れば一目瞭然。今季リリーフでは44回2/3で27与四死球だった。与四死球率にすると「5.440」となる。しかし、先発した5試合の計25回1/3では5与四死球で、与四死球率にすれば「1.776」と大幅に改善されたのだ。

「短いイニングで力を出し切るよりも、長い回の方があっていた。調子が悪い日でも立て直す。悪いなりに抑えるという投球術を掴んだ」

 10月の「みやざきフェニックスリーグ」でも好投。同13日の巨人戦では7回4安打無失点。8三振を奪った一方で与四球は0だった。同26日のヤクルト戦でも6回無失点と結果を残した。

150キロを常時出したい

 藤本博史監督も「中継ぎの時はフォアボール絡みで失点していたが、先発ではそれがなくなった。失点も、殆どが味方の失策絡み」と高評価している。

 奥村は来季に向けて「先発ローテ入りと意気込むより、先発も中継ぎも両方できるんだというところで勝負したい」と話し、「ホークスはみんな球速がある。自分はプロ入り後150キロが一度出たか出ないか。コンスタントに150キロを出せるようにしたい」と目標を口にした。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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