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グラシアル骨折も9日西武戦の野手昇格なし。二軍にいるバレンティンの現状は?

田尻耕太郎スポーツライター
2軍戦でのバレンティン外野手(右)(筆者撮影)

 悪夢の報せだった。8日夕方に、同日の西武戦で途中交代していた福岡ソフトバンクホークスのグラシアル内野手が福岡市内の病院にてレントゲン検査を受けた結果、右第3・4指PIP橈側側副靭帯損傷、右第4指基節骨剥離骨折と診断されたと、球団から発表があった。

 この日4番指名打者でスタメン出場していたグラシアルは、二回に右中間二塁打を放ち出塁。その後1死二塁の場面で甲斐が三ゴロを放った時の走塁プレーが故障につながった。二塁走者だったグラシアルは進塁か帰塁か一瞬迷った末に二塁への帰塁を選び頭から滑り込んだが、ボールを送られてタッチアウトに。その際ベースカバーに入った西武二塁手の呉と接触し右手部を痛めて、四回に回ってきた第2打席には立たずに代打を送られて交代していた。

 今後は3週間程度の患部固定となり、9日よりリハビリ組となる予定。グラシアルはここまで3番もしくは4番で全37試合にスタメン出場して打率.304、5本塁打、15打点の成績を残していた。

得点力不足に苦しむ一軍打線

 8日の西武戦は0-2での零封負け。ノーアウトで得点圏に走者を置いたイニングが5度もありながら、ことごとく好機をふいにした。

 二、四、六回と3度もあった「無死二塁」、七回と九回の「無死一、二塁」で決定打が一度もでなかった。最終回は2死満塁で打者・柳田。一打サヨナラも期待できる場面を作ったが、頼みの主砲も遊ゴロに倒れて万事休すだった。

 決定打不足の中でのグラシアル離脱はチームにとってかなりの痛手であることは間違いない。

 迎える9日の西武戦。グラシアルに代わる戦力は誰になるのかと試合前練習中の球場に足を踏み入れてみたが、この日から新たに一軍に昇格する野手はいなかった。

バレンティン、2軍で5発も・・・

バレンティン(筆者撮影)
バレンティン(筆者撮影)

 二軍には現在、バレンティン外野手がいる。新型コロナウイルス感染拡大の影響から来日が遅れたが、4月16日のウエスタン・リーグの中日戦(ナゴヤ)で今季初出場して、その第1打席で目の覚めるような弾丸ライナーを左翼防球ネットに突き刺す1号ホームランを放った。

 ここまで10試合に出場して5本塁打と持ち前の長打力を発揮している。しかし、一方で28打数6安打の打率.214はやや寂しい数字。また、5ホーマーはすべてソロで打点自体も5。勝負強さは見られていない。

 9日の西武戦前に報道陣に応対した工藤公康監督は、この日の野手の昇格がないことについて「小久保ヘッドとも話をしましたが、(一軍野手の)17人が16人になっただけなので今日はなしということになりました。考えてもらってはいますけど、今すぐ(昇格)という選手はいないということ。今日終われば明日休みなので、またそこでということになる」と説明した。

腰の張りで二軍遠征に帯同せず

 その中でバレンティンについても言及した。

「バレンティン選手は今、試合に出ていない。2軍遠征(鳴尾浜)に行っていない。腰の張りがあったと聞いている。そのような状況で一軍に上げても(周りも)『え?』となっちゃうじゃないですか。ちゃんと問題がなくなって、試合に出て結果が出れば、また考えることになると思います」

 大砲ではデスパイネ外野手も今月3日に二軍落ち。不振に加えて下半身のコンディション不良があり、こちらも降格後は二軍戦に出場していない。

 右のスラッガーでは将来性抜群のリチャード内野手もいる。こちらはウエスタン・リーグで30試合に出場して打率.255、7本塁打、24打点でウエスタンの本塁打と打点で2冠王に立っている。まだ粗削りな面はあるが、一軍で見てみたい存在だ。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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