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九州独立・火の国と、将来のNPB参入目指す琉球が交流戦。9回2死無走者から3点差追いつく大接戦

田尻耕太郎スポーツライター
土壇場で追いつき盛り上がる火の国ベンチ。右から3人目が細川監督(筆者撮影)

 今年新設された九州アジアリーグの交流戦が4月10日、熊本市のリブワーク藤崎台球場で行われた。熊本を本拠とする火の国サラマンダーズと対戦したのは、将来的なNPB入りを目指して2019年に沖縄を本拠に設立された琉球ブルーオーシャンズ。9日の第1戦は琉球が2-1で勝利。この日の第2戦は3-3の引き分けとなった。

 同カードは11日もリブワーク藤崎台球場で、13:00開始で行われる。

【4月10日 九州アジアリーグ交流戦 リブワーク藤崎台 706人】

琉球  000003000 3

火の国 000000003 3

<バッテリー>

【琉】上原、松本――佐久田

【火】松江、佐野、西島、源――西

<本塁打>

なし

<スタメン>

【琉】6大河 4亀澤 8矢野 7大城 5宮城清 2佐久田 9森 3中島 D比屋根

【火】6宇土 4河添 D浦木 9水本 3安井 5橋中 7植月 2西 8瀬戸口

<戦評>

 五回まで両チーム無得点。均衡を破ったのは琉球だった。六回表、火の国が先発・松江から2番手・佐野にスイッチしたところを攻め立てた。ナックルボーラー右腕の制球の乱れを突き、内野安打と2四球で1死満塁とすると8番・中島が押し出し四球を選び先制点を挙げた。なお続く満塁のチャンスで9番・比屋根(元ヤクルト)が右越えの2点二塁打を放って3-0とリードを広げた。

 琉球先発の上原は完封ペースだった。福岡大学出身で4年秋には防御率0.78でベストナイン、優秀選手賞にも輝いた右腕は好投を続けたが、火の国打線が土壇場に意地を見せた。

 3点差を追いかける九回裏、2アウト走者なし。8番・西が中前打で出塁。9番・瀬戸口が四球、1番・宇土の打球を琉球の遊撃が失策して2アウト満塁とした。

 ここで2番・河添。前の打席で二塁打を放っていた右打者はしっかりセンター前へ弾き返した。2人の走者に続き、琉球の中堅手が打球処理を誤る間に一塁から3人目も生還して3-3の同点に追いついた。

 試合はそのまま引き分けでゲームセットとなった。

◆火の国サラマンダーズ・細川亨監督

「シーズンが始まってから1点差とかシーソーゲームを何度も経験して、チームは強くなっている。メンタル的に最後まであきらめないという雰囲気が毎回ある。(九州アジアリーグの)大分B-リングスとしのぎ合って勝ってきた成果が出ている。

 サラマンダーズらしい野球ともいえる。オープン戦でも大差をつけられた中で、追い上げた試合もあった。

 先発した松江は、今日は制球が悪かったけど5回無失点で収穫も反省もあった。次につながると思う。同点に追いつく一打を放った河添は最近よく振れている。一発もある中でしぶとい打撃が出来るのが特徴。気温が暖かくなれば、大きな当たりも出ると思う。練習を見れば、そのような打撃をしている」

◆琉球ブルーオーシャンズ・清水直行監督

現役時代には千葉ロッテマリーンズのエースとして活躍もした清水直行監督(筆者撮影)
現役時代には千葉ロッテマリーンズのエースとして活躍もした清水直行監督(筆者撮影)

「先発の上原はよく投げてくれた。今年は一本立ちをしたいという思いで本人も取り組んでいた。交代期を見極めるのは監督の仕事。勝てなかったのは監督の責任」

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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