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逆転開幕1軍もあるか!?ホークス高橋純、田浦好投で「枠」争いは混沌

田尻耕太郎スポーツライター
ホークス・高橋純平投手(筆者撮影)

 オープン戦は佳境を迎え、開幕一軍争いは本来「絞り込み」の時期である。

 しかし、17日のDeNA戦(PayPayドーム)にオープン戦初登板した高橋純平投手と田浦文丸投手がそれぞれ1回無失点と好投して良いアピールを見せた。

高橋純、直球に勢い戻った。最速151キロ

 高橋純は七回に2番手で登板。先頭の大和に右前打を許し次打者の犠打で1アウト二塁のピンチを背負ったが、柴田を一ゴロ、桑原には151キロの外角いっぱい直球で追い込んで、最後は勝負球の縦スライダーで空振り三振を奪った。ピンチをしのいだ高橋純は公式戦のような気合のこもったガッツポーズも見せた。

 一昨年は45試合に登板して1軍戦力となったが、昨年は右肩や右肘の故障で1軍登板なしに終わった。1軍マウンドは2019年の日本シリーズ第2戦以来。「すごく緊張した。だけどせっかくのチャンスなので、なんとかつかみ取るという気持ちでマウンドに上がりました。正直、どんなボールをどこに投げて抑えたとか憶えていない」と登板からしばらくしても興奮醒めぬ様子だった。

田浦、昨季首位打者ら中軸を3者凡退

田浦文丸投手(筆者撮影)
田浦文丸投手(筆者撮影)

 田浦はその後を受けて八回に3番手で登板。先頭の関根を直球で三ゴロ、続く牧も143キロ直球でライトファウルフライに仕留めると、佐野は125キロのスライダーでレフトフライに打ち取った。登板後には「ストレートは自分の感覚以上にスピードが出ていたし、納得のいくボールが多かったです。変化球に関しては、もっともっと精度を上げていかないといけないと感じました。明日以降もチャンスがあれば自分らしい投球が出来るように頑張ります」とコメントした。

 高橋純同様に田浦もまた、昨季は1軍登板がなかった。両投手とも宮崎春季キャンプはB組で過ごしていた。

 今回1軍オープン戦に召集されたのは、モイネロの調整遅れと岩嵜翔が一時肘の不安を訴えたためだ。「有事に備えて」と工藤監督。ただ、オープン戦終盤だ。投げずにファーム逆戻りも考えられたが、投手コーチから「マウンドで投げさせてほしい」とリクエストがありチャンスを与えられたのだった。

工藤監督「また1人」だけど現実も口に

 試合後、工藤監督は「よかったんじゃないでしょうか。久しぶりに田浦君を見ましたけど、少し腕を下げたような形でしっかりストライクゾーンで勝負もできていた。純平君もボールの力がだいぶ戻ってきた。それを続けられれば、また1人出てきたのかな、と」と笑顔を浮かべながら語った。

 その口調はさらに滑らかになり、「これでまた投手の競争は激しくなるのかなと思いますよ」とニンマリだ。

 しかし、このようにも話した。「ただ、ずっと上(1軍)で頑張ってきた人と、今日1イニング抑えたというのは、同じ(評価)ではないと思います。同じ結果であれば上で頑張ってきた人たちになる。ただ、まだオープン戦も3試合ありますし、その中でコーチとも話しながら判断をしないといけない」。

 残りのオープン戦にも高橋純と田浦は帯同する見込みとのこと。高橋純は「開幕一軍は狙う気持ちで行きます」と力強く話していた。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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