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秋の宮崎で“開幕投手”のホークス古谷優人、変心で変身「これが本来のピッチング」

田尻耕太郎スポーツライター
巨人ファームを相手に好投した古谷(筆者撮影)

上林が逆方向へ2ラン

 11月8日、宮崎県内で「みやざきフェニックスリーグ」が開幕した。その初戦で福岡ソフトバンクホークスは、ひなたサンマリンスタジアム宮崎で読売ジャイアンツと対戦した。

【11月8日 フェニックスリーグ ひなたサンマリン 無観客】

ソフトバンク  301000000 4

巨    人  000000000 0

<バッテリー>

【H】古谷、大関、スチュワートJr.、奥村――谷川原

【G】太田、戸根――山瀬

<本塁打>

【H】上林

<スタメン>

【H】8釜元 9佐藤 3三森 D上林 4野村 2谷川原 5増田 7水谷 6勝連

【G】4吉川大 D亀井 9八百板 3香月 6山本 8立岡 5増田陸 7モタ 2山瀬

本塁打を打った上林(右/筆者撮影)
本塁打を打った上林(右/筆者撮影)

<戦評>

 ソフトバンクが4投手完封リレー。古谷が3回を零封すると、その後3投手がそれぞれ2回を無失点に封じた。また、六回までは巨人打線を無安打に抑えた。

 打線は初回から攻勢に出た。釜元の二塁打に続き、2番の佐藤がセンターへ適時打を放って鮮やかに先制した。さらに1アウト一塁から4番で出場した上林が左中間深くへ2ラン本塁打を運んで3点を先行した。

 三回には釜元の2打席連続二塁打をきっかけに、三森の左犠飛で追加点を挙げた。釜元はこの試合3安打の活躍だった。

 巨人は先発の太田が8回73球と省エネ投球。無四球と徐々に調子を上げたが、立ち上がりに課題を残した。(了)

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”開幕投手”の古谷優人、3回無安打無失点

投げ終わったところの躍動感も出てきた(筆者撮影)
投げ終わったところの躍動感も出てきた(筆者撮影)

 古谷優人投手が新フォームに手応えを感じている。

 この日から始まったみやざきフェニックスリーグの開幕投手を任されて、巨人打線を相手に3回無安打無失点と好投した。

 内容も抜群だった。球数はわずか29球。最速160キロ左腕のイメージから奪三振1つは物足りなく感じるかもしれないが、この試合でも球威は十分だった。当たりそこないの凡打の山でアウトを重ねて、与四球は1つのみと課題の制球難の気配などまるで感じさせなかった。

「これが本来のピッチングなのかなと思った」

 試合後の古谷の弁だ。

捕手ミットから目線を外す

 投球フォームをやや変えていた。振りかぶる際に少しうつむくようにして、目線をキャッチャーミットから敢えて外していた。左右の違いはあるが、同じチームの若手の杉山一樹と似たフォームだ。

 古谷がその意図を解説する。

「正面を向いたまま投げると、ストライクが入らなくなった時にキャッチャーのミットを見ようとし過ぎて、それで体が突っ込んでしまうんです。一度『目切り』をすることで、タイミングが合いやすい。抜けるボールもなくなってきました」

 さらに、腕の振りにも少し変化を加えた。

「少し下げました。体の回転が横なのに、腕を縦に頑張って振ろうとしていた。バラバラだった。体の回転にあわせた使い方でいいと考えています」

 球速が落ちることもなく、変に力まなくてもボールに力を伝えやすくなったという。

昨年秋の教えがヒントに

「やり始めたのは2週間前くらい。ふと、1年前の秋キャンプを思い出したんです。あのとき、お尻から投げに行くことと目切りを工藤監督やコーチの皆さんから教わって、それを台湾でのウインターリーグで試したらすごく良くて結果も出た。それを思い出しながらやっています」

 今季はプロ4年目で念願の一軍デビューを果たしたが、わずか4試合の登板に終わった。最速160キロの類まれなる潜在能力の持ち主であることは誰もが認めるところ。来季に向けて実りの秋にするべく、宮崎で有意義な時間を過ごす。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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