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ホークス松田宣浩「試合減でも熱男30発」のため、遠くに飛ばさない珍特訓!

田尻耕太郎スポーツライター
15日からグラウンドでのフリー打撃を再開(球団提供)

゛戦闘着”で身も心も引き締まる

 福岡ソフトバンクホークスの松田宣浩内野手が16日、PayPayドームでの野手組の自主練習後に番記者向けの囲み取材に応じた。

 本拠地の福岡県は緊急事態宣言がすでに解除されているが、チームは引き続き投手と野手に分かれるなどしての練習体系を継続している。しかし、15日からユニフォームを着用して汗を流しており、松田宣も含めて選手たちの気持ちには一段とギアが入ったようだ。

 松田宣は「ユニフォームという戦闘着を着て野球が出来るようになった。それまでの約1カ月は短パンとTシャツでしたから。ユニフォームってこんなに重いものなのかと感じます。やっぱりユニフォームを着てやるのが野球選手ですから」と笑顔を浮かべた。

 また、このクールから球団スタッフの練習補助参加の幅が広がり、野手組は打撃投手の投げるボールを打てるようになった。

「1カ月ぶりにドームの中で打つと気持ちいい」と松田宣。じつはちょっと変わった工夫を凝らして練習を行っていたのだ。

あえて狭い室内で打撃練習

 前クールの13日まではロッカールームの奥にある打撃練習部屋でマシンを相手にひたすら振り込んでいたという。決して広いスペースではない。打球はすぐにネットに突き刺さってしまう。

 ただ、それが松田宣の狙いだった。

「今まではほとんどやって来なかった練習方法でしたが、自主練習の期間が長くなると思っていたので新たな試みをするのも大事かなと思い、やっていました。コンパクトに振って強い打球を打つことをテーマにしていました。球場のグラウンドで打つと、どうしても飛距離を見てしまいます。するとオーバースイングになりがちです。オーバースイングは一番ダメ。タイミングを合わせてコンパクトに打つ。それが(自分が理想としている打撃の)一番の近道だと思っています」

 かねてから「僕は本塁打を狙ってはいない。ヒットの延長がホームラン」と話す。フルスイングはするけど大振りはしない。強く鋭いスイングから放たれる弾丸ライナーが松田宣のイメージだ。

今日17日で37歳

オンラインインタビューに応じる(球団提供)
オンラインインタビューに応じる(球団提供)

 今日5月17日で37歳になった。年齢だけを見ればすっかりベテランの域だが、本人は「今年もキャリアハイ」と意気込み、自主トレから3年連続30本塁打のクリアを目標に掲げていた。

 しかし、開幕が早くても6月中旬にずれ込んだことや交流戦中止を考慮すれば、今シーズンは120試合程度での開催が予想される。目標達成への壁はかなり高くなってしまったが、全く意に介さないとばかりに力強くこう言いきった。

「今年もホームラン30本、熱男をするための準備をしてきた。キャンプとオープン戦を経たので体も心も出来上がっている。開幕まで実戦があると思うので微調整をしていければ。(今季の)試合数は決まっていないし減るかもしれないけど、打席に立つ以上は30本を目標にするのは変わらない。初めは無観客になるかもしれないけど、1本でも多く熱男をしたい」

 自粛期間が始まったばかりの頃、熱男リレーを発案して日本中に元気のバトンをつないだ。開幕の足音が徐々に近づいている今、「プロ野球の力を見せるときが来たかなと思う」と言葉にも力を込めた。興奮と感動を届ける準備を、松田宣をはじめとしたプロ野球選手たちは着実に進めている。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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