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肩と肘の手術、育成降格も乗り越えて・・・ホークス川原が10年目で初の開幕一軍!

田尻耕太郎スポーツライター
初開幕一軍を達成し、次はプロ初勝利へ(筆者、今年2月に撮影)

新背番号は63

 新しくなったばかりの背番号63の練習着で笑顔を弾けさせた。

 プロ野球開幕前日の28日、開幕一軍メンバーが公示されて、ソフトバンクの川原弘之投手のプロ10年目での初の開幕一軍入りが正式決定した。

 前日の練習中も「(首脳陣から)何も言われないから、大丈夫なんですかね」と気を緩めようとはしなかった。26日にはチームの決起集会に参加した。開幕前やポストシーズンの前に毎年行われているが、「初めて参加しました。最高に楽しかったです」と10年目にしてようやくプロ野球選手気分を味わった左腕は、初々しくも映る笑顔を浮かべた。

オープン戦は防御率0.00

 オープン戦で8試合に投げて、前の投手が残した走者の生還は許したものの自身の失点はゼロ。防御率0.00とアピールに成功した。最速は154キロをマーク。「去年よりも力強くなった」と自覚する。

 「去年の今頃は三軍だった。投げられてはいたけど、苦しんでいた時期だった。1年でこんなに変わるんだなというのが、今の素直な気持ちです。でも、3軍でも2軍で1軍でもやることは変わらないし、変わっちゃダメ。緊張はすると思うけど、オープン戦でも緊張していたから(笑)」

6シーズンぶりの一軍マウンドへ

 昨年までもずっとホークスの選手だったが、一軍の開幕戦は別世界にしか感じられなかった。「テレビで見てたと思いますけど、開幕だという意識で見ていたわけじゃないからあまり覚えていないんです」。一軍で登板すれば、2013年5月18日の阪神戦(甲子園)以来、6シーズンぶりとなる。あの時は鳥谷に2ランを浴びるなど3回3失点だった。

「新しく生まれ変わった自分を見てほしいです」。先の支配下会見でも語っていたが、「戦力外になって、肩の手術をして、肘も手術をした。その3回、野球人生が終わってもおかしくなかった。野球を出来る幸せを噛み締めながらプレーをしたい」。感謝のマウンドはどのタイミングで訪れるのだろうか。開幕シリーズの見所であり、楽しみにしたいシーンだ。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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