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まるでランディ!151キロ川原を工藤監督絶賛「球界で他にいない」

田尻耕太郎スポーツライター
A組紅白戦で最高のアピール

最速151キロ! 勝負球スライダーで川島から三振

 150キロを連発した後に151キロ。そして最後は136キロのスライダーで、実績ある川島慶三から空振り三振を奪ってみせた。

 マウンドを降りた川原弘之は、ベンチ裏で安堵の笑顔を浮かべていた。

 20日、A組紅白戦に招集された左腕は、1回を投げて3者凡退に退ける快投を見せた。1人目の栗原は初球の148キロを打たせてボテボテの投ゴロ。続く川瀬は2球目の146キロで中飛に打ち取った。

 3人目が川島。1軍実績も十分な左キラーに対しての注目の投球だ。初球147キロ、2球目は135キロのフォークで簡単に追い込んだ。その後150キロを連発したが2ボール2ストライクに。以前の川原ならば、そのまま慌ててさらにコントロールに苦しむ場面だった。

 だが、今の川原は違う。自分の右肩にポイントを置き、そこからキャッチャーミットへ“線”をイメージして投げ込むことでコントロールへの不安はほとんどなくなっている。

川島への5球目が成長の跡

 5球目、この日最速の151キロ直球のファウルこそ、川原の大きな成長の跡だった。

 そして6球目はスライダーを投げ込んだ。直球一辺倒ではなく変化球でも勝負が出来ることを見せつけたことも大きかった。この勝負球で川島から三振を奪った。

 倉野信次一軍投手コーチは「次も当然見たくなる。今、A組にいる投手の(登板予定)イニングを削ってでも、と思わせてくれた」と称賛した。

 工藤公康監督も「そんなに多くないチャンスの中でいいピッチングをしてくれた。心も体もいい状態にあるということ。今日は全部が良かった。ストレートもフォークも、最後のスライダーも。悪いところを探すのが難しい」と賛辞の言葉を並べた。

まるでランディ・ジョンソン

 また、「サイドで150キロを超える投手は球界には(他に)いない」とも述べた。実際はスリークォーター投法で横手投げではないが、かつての名大リーガーランディ・ジョンソンを彷彿とさせる迫力満点のフォームは間違いなく特長となる。

 昨年まで9年間のプロ野球生活で、一軍通算登板はわずか3試合。しかも、もう丸5シーズンも一軍で投げていないにもかかわらず、今季10年目(育成で4年目)を迎えられたのは奇跡的と言ってもいいが、ある意味で期待の表れだった。

 工藤監督も次回のA組での登板を示唆した。支配下登録復帰へ、もう前進し続けるのみだ。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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