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元巨人ドラ1も絶賛したホークス2位新人。キャラだけじゃなく球もすごい!

田尻耕太郎スポーツライター
合同トレ初日からブルペン入りしたソフトバンク・杉山(筆者撮影)

ルーキーの初日ブルペンは異例

 最速159キロのドラ1よりも目立っていた。

 大勢のマスコミや球団関係者の注目を一身に浴びながら、ソフトバンクドラフト2位ルーキーの杉山一樹投手(三菱重工広島)は32球、気持ちよく右腕を振り抜いた。

 1月9日よりソフトバンクの新人合同自主トレがスタート。1位の甲斐野央投手(東洋大)ら11名(育成含む)は午前中に入寮式を終えて、11時過ぎからトレーニングを開始した。約2時間汗を流した若鷹たちは「ランニングメニューは特にきつかった」と言いながら、みな充実した表情。「こんなに見られて練習することはないので、気疲れもしました」(4位・板東湧梧投手)との声も聞かれた。

 この日は初日とあって基礎を中心とした軽めのメニュー。どうしても見た目が地味になる。その中、報道陣がざわめきたったのが全体練習後だ。杉山がブルペンへと向かった。

 例年、初日からピッチングを行うルーキー投手はまずいない。異例である。

 それでも杉山は「誰かが入ってから、焦って投げるのが嫌だった。自分のペースを守りたかった」と昨年のうちから決めていた。社会人時代も1月に投球練習は行っていたといい、今年も早くも3度目のブルペン入りだった。

縦スラ絶賛「回転が強い」

 32球のピッチング。最速153キロを誇るストレートは、この日も「おそらく140キロは超えていた」(球団関係者)。カーブを交えて「フォームのバランスをよくするため」とクレバーな一面も見せ、最後にはスライダーも何球か投げた。

 このスライダーが、縦回転でグイッと切れる。捕手を務めたスタッフの樋越優一は驚いた表情。その後ろで投球を見守っていた入来祐作3軍投手コーチも思わず笑顔になった。

 かつて巨人にドラフト1位で入団し先発として活躍。その後米球界にも挑戦した入来コーチは「非常に力強い球を投げていた。タイプは武田(翔太)に近いかな。それにスライダーがいい。回転が強いね」と絶賛の言葉を並べた。

 12月の入団発表で杉山は「性格は負けず嫌いで、自分大好き。きつい練習が好きなんです。それを頑張って乗り越えようとする自分が大好きなんです(笑)。フル回転で頑張ります」と珍発言をして、周囲を大いに笑わせた。この日の囲み取材でも最も舌が滑らかだった。今後もメディアを賑わせてくれそうな21歳の新人右腕だが、本職のマウンドでも大活躍を見せてくれそうな予感たっぷりだ。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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