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ソフトバンク二保旭、来季は“二刀流”だ! 先発にも挑戦へ

田尻耕太郎スポーツライター
先発と中継ぎの”二刀流”を目指す(筆者撮影)

右肘故障から3年ぶりに復活

 ソフトバンクの二保旭投手が1日、球団事務所で来季契約を更改し、その後の会見の中で来季は先発にも挑戦する意向を明かした。

 今季は35試合にすべて中継ぎで登板。1勝0敗1セーブ4ホールド、防御率5.34の成績を残した。3年ぶりに一軍で過ごしたシーズンだった。‘15年には自己最多となる44試合に登板したが、直後に右肘を故障した。靭帯再建手術を受けて長いリハビリを余儀なくされてマウンドから遠ざかった。

「今年、もともとは夏場の復帰を目指していました。だけどチーム事情もあって前倒ししてくれと言われて」

 今季は開幕直後にサファテと岩嵜翔が離脱してリリーフ陣が火の車となった。二保は連投や回跨ぎのテストも、そして心の準備もそこそこに一軍へ戻ってきた。最初は不安もあったが、大観衆の前でマウンドに立てばそんなことも言っていられない。懸命に右腕を振り抜いた。6月24日のオリックス戦(京セラドーム)で延長12回に登板して、プロ10年で初のセーブを挙げた。10月3日のロッテ戦(ヤフオクドーム)では1145日ぶりの勝利投手にもなった。

「35試合も投げられるとは思わなかった。けど後半に失速した。調整を見直さないといけない」

‘12年二軍で11勝0敗、防御率1点台

 秋の宮崎キャンプ。工藤公康監督から「来季は中継ぎと先発の両方で投げられるように準備をしてほしい」と打診された。

「右肘を手術してからブルペンでも70球くらいまでしか投げたことがない。試合で100球、120球と投げられるような準備、肩や肘の回復具合などを確かめる練習をしておかないといけない」

 年明けは例年どおり沖縄に出向いて、エンゼルスの田澤純一らと自主トレを行う予定だ。

 ‘12年には二軍で先発投手として素晴らしい実績を残したことがある。17登板中12試合に先発して11勝0敗、3完投2完封で防御率1.44の成績を挙げた。同年9月18日の西武戦(ヤフードーム)では一軍先発マウンドにも立っている。

 今季のソフトバンクは先発投手陣も好調だったとはいえず、規定投球回到達者は1人もいなかった。球団では南海時代の1956年以来62年ぶりの出来事だった。3年連続日本一は当然ながら、もとよりパ・リーグV奪回を目指し、チームは着実に動き始めている。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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