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城所龍磨が決勝ホームラン!熊本のファンに勝利を届ける

田尻耕太郎スポーツライター
本塁打後、ベンチでの表情も明るかった

9月2日、福岡ソフトバンクホークスの2軍はウエスタン・リーグで中日ドラゴンズ2軍と対戦した。

【9月2日 ウエスタン・リーグ リブワーク藤崎台 1,410人】

中日     002020000 4

ソフトバンク 11002100× 5

<バッテリー>

【D】山井、●福(1勝2敗)、又吉、鈴木博――加藤

【H】高橋純、○渡邉雄(1勝0敗)、高橋礼、寺原(5セーブ)――谷川原

<本塁打>

【H】真砂7号、城所3号

<戦評>

左中間のクスノキ群がこの球場の名物
左中間のクスノキ群がこの球場の名物

 熊本に勝利を届けた。

 リブワーク藤崎台球場での2軍戦は今年2回目(1試合中止、1軍も1試合中止)。厳しい暑さの中でのデーゲームだったが、1,410人が来場して数少ない機会の生のプロ野球を堪能し、声援を送った。

 ソフトバンクは初回に4番・吉村の左前適時打で先制。2回にもコラスの犠飛で1点を加えたが、3回に同点とされ、5回には2点を勝ち越されたが、ソフトバンク打線が執念を見せた。5回裏、無死二塁で1番・真砂が同点の7号2ラン。打球はバックスクリーンと左中間のクスノキ群のあいだに飛び込んだ。そして6回は5番・城所が右翼席へ豪快な一発。これで勝ち越しに成功すると、リリーフ陣も好投して逃げ切りに成功した。

 勝ち投手は2番手の渡邉雄。1回3分の1を投げて許した走者はゼロ、かつ奪三振3の素晴らしいピッチングで、今月で27歳になるオールドルーキーが公式戦初勝利を飾った。

 また、この日は首位阪神が敗れたため、2位ソフトバンクはゲーム差を3へ一歩接近した。(了)

城所龍磨「一生懸命やる。それは変わらない」

 ここ一番の集中力はさすがだ。

 城所龍磨外野手が決勝ホームランを放った。「たまたまです」と照れ笑いしたが、打った瞬間にスタンドインと分かる会心の一撃だった。

 今季は6月16日に一軍登録を抹消されて以来、ファーム暮らしが長くなっている。8月には一時リハビリ組にも回った。「状態はもう問題ありません」。実戦復帰は8月28日の火曜日だった。まだ1週間足らず。きっちり結果を残すあたりが実力者である。

昨年秋、城所の活躍がチームを日本一に

 昨年の秋の活躍、覚えているだろうか。10月のクライマックスシリーズ・ファイナルの第3戦だ。ホークスは連敗で迎え、過去の例から「突破率0%」と言われていた。

 その一戦で城所は「2番ライト」でスタメン出場した。昨年のレギュラーシーズンでは0安打。異例の抜てきに多くの人が首を傾げたが、なんと、打って守っての大活躍を見せたのである。初回の第1打席できっちり送りバントを決めて早々の逆転劇を演出すると、第2打席では則本昂大から右翼線二塁打を放ちその後の内川聖一の3ランにつなげた。

続く3打席目も則本から左翼線二塁打。守備では左中間最深部への大飛球にスライディングキャッチを決めてみせた。

「キドさん(城所)が活躍して、チームのムードが明るくなった」とチームメイトたちの声。昨年のCS突破、日本一は城所の活躍がなければ実現出来なかったと言っても大袈裟ではない。

「どこに居ても同じ」

「僕は1軍でも2軍でもやることは同じだと考えています。常にチームの為にプレーをすること。やるべきことはどこに居ても同じです。昨年も今も同じです。結果については運かな。僕は今やることを一生懸命にやっていくだけです」

 この実直さが、ファンから人気の高い理由の一つでもある。ただ、城所が待機するのは今の場所ではないはずだ。この先、ヤフオクドームで城所が輝くシーンが必ずやって来るはずだ。そう信じている。

※文中写真は筆者撮影

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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