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ホークスにまた「育成の星」!渡辺健史、2年間公式戦なし→防御率1点台へ飛躍のワケ

田尻耕太郎スポーツライター
太ももがパンと張った感じ、昨年まではなかった

釜元サヨナラ打、二保2勝

8月31日、福岡ソフトバンクホークスの2軍はウエスタン・リーグで中日ドラゴンズ2軍と対戦した。

【8月31日 ウエスタン・リーグ タマスタ筑後 1,623人】

中日     000000000  0

ソフトバンク 000000001× 1

<バッテリー>

【D】鈴木翔、鈴木博、●又吉(0勝1敗)――A・マルチネス

【H】渡辺健、笠原、○二保(2勝0敗)――張本

<本塁打>

なし

<戦評>

サヨナラ勝ちで盛り上がるナイン
サヨナラ勝ちで盛り上がるナイン

 ソフトバンクがサヨナラ勝ちした。両チーム無得点の9回裏だ。先頭の美間が二塁打を放ちチャンスメイク。1死三塁から城所が内野ゴロに倒れて走者が本塁で憤死し、一度はチャンスが潰えたかに見えたが、一塁に残った城所が二塁盗塁を成功して2死二塁とチャンスを作り直すと、釜元がレフトへヒットを放ちこれがサヨナラ打となった。

 投げては先発の渡辺健が4回、2番手笠原が3回、3番手二保が2回をそれぞれ無失点に抑えて完封リレーを完成させた。また、この日は首位の阪神が敗れたためにゲーム差は4に縮まった。

 中日は先発の鈴木翔が7回3安打無失点と好投するも、打線が援護できず。終盤は毎回得点圏に走者を進めたが決定打を欠いた。(了)

“地元”で成長! 昨年までは3軍のみで公式戦ゼロ

直球は140キロに届かないが、切れ味抜群
直球は140キロに届かないが、切れ味抜群

 背番号137の育成左腕、渡辺健史が先発で安定した投球を続けている。

 8月3度目の先発だったこの日、4イニングだけの登板だったが若竜打線を2安打零封した。

 1日のオリックス戦(舞洲)は5回3安打8奪三振で無失点。24日の中日戦は6回6安打1失点で、この2試合はいずれも勝ち投手になった。8月の3度の先発では計15回を投げて1失点しかしなかったのだ。

 渡辺健は高卒3年目の左腕。飯塚高校から15年育成ドラフト5位で入団した。過去2年間は3軍暮らしで2軍公式戦の登板は一度もなかった。それが今年、一気に飛躍を遂げたわけである。今季ここまでのウエスタン成績は14試合3勝0敗、防御率1.88だ。

田之上、入来の両3軍コーチからの教え

「昨年とは球の強さが違います。田之上3軍投手コーチが現役時代にやっていたという強化メニューを今年は行っています。主に下半身強化です」

 田之上コーチの現役時代といえば、長い下積みを経て8年目にようやくプロ初勝利。12年目にエース格となり最高勝率のタイトルを獲得した実績を持つ、あの当時の這い上がり投手の代表格だった。

 また、もう1人の3軍投手担当の入来祐作コーチから教わったというチェンジアップが今季はとても有効だ。

「以前は親指と人差し指を離して握っていたんですが、『OKボール』のようにしたらスピードが上がったし、落ちるような軌道になりました」

 渡辺健は筑後から目と鼻の先の広川町の出身。タマスタ筑後での2軍公式戦先発はこれが初めてだった。「高校時代の監督も見に来てくれていたのですごく気合が入りました」。直近の育成出身では大竹耕太郎が安定した活躍を見せている。同タイプの左腕の活躍は間違いなく刺激になる。まだまだ成長途上。今季の伸び幅を考えれば、かなり楽しみな逸材だと言っていい。

※文中写真はすべて筆者撮影

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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