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“超素材型”鷹ドラフト1位の吉住晴斗、2戦連続無失点で見えたもの

田尻耕太郎スポーツライター
将来が楽しみな18歳

5月20日、ソフトバンクの三軍は四国アイランドリーグplusとの定期交流戦で愛媛マンダリンパイレーツと対戦した。

【5月20日 定期交流戦 タマスタ筑後 532人】

愛媛     000000000 0

ソフトバンク 00510121× 10

<バッテリー>

【MP】河津、高下、長嶋――ヘイドーン、肥後

【H】中村晨、吉住、田浦、野澤――張本、樋越

<本塁打>

【H】幸山

<戦評>

ソフトバンクが圧勝で8連勝。一方の愛媛は12連敗。

試合は序盤から勢いの差がそのまま出た。ソフトバンクは1、2回の満塁機を逃すも、3回にまたも満塁とすると9番・日暮が押し出し四球を選んで先制。さらに1番・田城の2点タイムリーなども飛び出して一挙5点を先行した。

4回は代打で出場した幸山が左中間へソロ。幸山は6回もタイムリー。そして7回は代打・森山と5番・茶谷に、8回は9番・日暮にもチャンスでタイムリーが飛び出した。

先発した中村晨はしっかり粘って6回無失点。リリーフ陣も好投して完封リレーを決めた。(了)

将来の160キロ右腕へ、吉住晴斗が感じた手応えとは

本格的なオーバースロー
本格的なオーバースロー

 ソフトバンクのドラフト1位新人の吉住晴斗投手が2番手で登板。先頭打者にヒットを許したが、落ち着いた投球でその後打者3人をきっちり抑えた。

 ここまで登板は全て3軍戦。6試合目のマウンドだった。すべて中継ぎで、防御率7.27と数字を見れば振るわない。自身4試合目までは毎試合失点を重ねた。しかし、前回登板だった5月14日の徳島戦(タマスタ筑後)を初めて無失点で乗り切ると、この日もまた零封する好投を見せた。

「慣れてきたというか試合勘を取り戻すことが出来てきました。オフから春先にかけてずっと打者相手に投げることがなかったので」

 雪国の山形県出身で地元の鶴岡東高校でプレーしていたが、それでもこれほどの長期間で打者を相手にしなかったのは初体験だったという。

誰もが認める身体能力の高さ

 入団会見では「将来は160キロを投げたい」と直球派を宣言。この日の最速は144キロだったが、吉住本人は確かな手応えを感じていた。

「今日はスピードを気にせずに投げました。140キロくらいかなと思っていましたが、想像よりも球速が出ていた。変に力まなくてもいいのかも。それに平均でも高校時代よりも2、3キロは伸びています」

 奪三振率は11.51を記録しており、独立リーグ相手とはいえ将来を期待させる数字を残している。

 入来祐作3軍投手コーチも「身体能力はとにかく高い。これからですよ」と笑顔を浮かべた。ドラフト会議では「びっくりした」と本人が驚いた1位指名だが、球団は“超素材型”の有望投手として熱く期待を寄せている。“外れ外れ外れ”という枕詞は、プロのユニフォームを着てしまえば関係ない。ソフトバンクの優れた育成環境の中で、2000年生まれの18歳右腕はじっくりと育て上げられていく。

【吉住晴斗 ここまでの投球成績】

4月4日  徳島(アグリあなん) 1回 1安打2三振2四球3失点

4月15日 高知(タマスタ筑後) 2回 1安打2三振4四球1失点

4月21日 香川(レグザムBP丸亀) 1回 2安打1三振0四球2失点

5月5日  愛媛(今治) 1回2/3 3安打3三振3四球3失点(自責1)

5月14日 徳島(タマスタ筑後) 2回 0安打2三振3四球0失点

5月20日 愛媛(タマスタ筑後) 1回 1安打1三振0四球0失点

計  6試合 8回2/3 7安打 11三振 12四球 9失点(自責7) 防御率7.27

<写真は筆者撮影>

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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