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高卒新人1番乗りだ! ソフトバンク尾形、度胸満点の公式戦デビュー

田尻耕太郎スポーツライター
どっしりとした下半身。投げっぷりの良さは魅力十分(筆者撮影)

グラシアルが1号含む3安打

4月8日、ソフトバンクはウエスタン・リーグで広島と対戦した。

【4月8日 ウエスタン・リーグ タマスタ筑後 2,726人】

広島     000101101 4

ソフトバンク 011000000 2

<バッテリー>

【C】福井、○長井(1勝0敗)、佐藤、カンポス、S藤井皓(2セーブ)――船越

【H】飯田、●高橋純(0勝1敗)、尾形、野澤、大竹――谷川原、張本

<本塁打>

【H】グラシアル1号 【C】小窪2号

<戦評>

 ソフトバンクは2試合連続で逆転負け。2回に8番・西田の内野ゴロの間に先制すると、3回には3番・グラシアルが1号ソロをレフトへ運び追加点を挙げた。先発の飯田は3回まで無安打投球。4回に失点したが、5回1失点と復調の気配をうかがわせた。

 しかし、2番手高橋純が2回2失点。良い球と悪い球の差がはっきりとしており課題を残した。9回は4番手野澤が小窪に一発を浴びた。(了)

尾形崇斗「今年中に1軍で3勝。その目標はブレない」

 投げっぷり満点の楽しみなルーキーが公式戦デビューを快投で飾った。

 育成ドラフト1位の尾形崇斗が8回から3番手で登板した。広島の2番からの上位打線に対して真っ向勝負。木村を右フライ、バティスタを三ゴロ、高橋大を中フライに打ち取り、三者凡退で1回を抑えた。投球数は7球。すべてをストライクゾーンに投げ込んでみせた。この日最速の145キロを3球マーク。安定した球速はフォームのばらつきがない証拠だ。変化球でもしっかりストライクが取れていた。

 しかし、試合後は意外にも反省を口にした。

「緊張は無くて楽しめました。だけど、バティスタ選手へ投げたチェンジアップをしっかりと決めきれなかった。そこは課題です」

育成高卒ルーキーの初登板である。素直に喜びの声が出るかと思ったが、尾形はあくまで高い目標を描いている。

「高卒1年目ですが、僕は今年のうちに支配下登録されて、1軍で3勝することを目標にしています。それはブレることなくやっていきたい」

地道なトレーニングを継続した成果

 自主トレ、キャンプを経てたしかな成長も感じている。4月4日、3軍で徳島との試合にリリーフ登板して、3回1安打6奪三振無失点と好投したのを評価されて、この日の2軍公式戦登板のチャンスを勝ちとった。

学法石川高校時代は最速151キロをマークするも、制球力に難点があった。また、プロに入ってから自身で課題を見つけ出した。

「肩に棘下(きょくか)筋というインナーマッスルがあるんですが、シーズンを通して投げ続けるとそれが2~3ミリすり減ってしまうんです。1軍投手は皆17ミリくらいはあると言われましたが、僕は1月の計測で14.5ミリしかなかった。なので毎日1時間、肩周りのインナーマッスルを鍛える地道なトレーニングをやって来ました。その結果、昨日計測したら17ミリになっていました」

 深層筋を強化したことでバランスが良さを生み、短所だった制球難克服にも繋がった。

「圧倒」という言葉しか考えていない

 入団時に語っていた未来図は「分かっていても打たれないストレートを投げ込む」こと。とにかく強気なピッチングスタイルが持ち味だ。

「僕は『圧倒』という言葉しか考えていない。かわすとか打たせるという考え方を持ったら終わりだと思っています。常に向かっていく気持ちを持ち続けます」

 週明けの関西遠征にも帯同する予定。ドラフト1位の吉住晴斗や甲子園でも活躍した田浦文丸よりも先に公式戦デビューを飾った右腕は、鼻息荒く言った。

「下の立場ですが、1日でも、1秒でも早く上に上がりたい。その気持ちだけは絶対に負けません」

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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