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ソフトバンク千賀「去年より何倍もいい」 満足の173球ブルペン

田尻耕太郎スポーツライター
ブルペン投球も後半に差し掛かった頃。疲れを感じさせない表情だ(筆者撮影)

ストレートに自信

「ウッ」という声とともに右腕を綺麗に振り抜く。

ミットが響く音は、千賀滉大の投球ただ一つ。気づけば、最後までブルペンに居残り投げ続けていた。

捕手から「170!」と声が飛ぶと「投げ過ぎやね」と苦笑い。しかし、表情には余裕が見られた。

 ラスト3つと宣言し、173球でこの日のピッチングを終えた。

「(右手指の)マメの不安はあったけど、どうにかなったしいい感じで投げられました。だんだん力が入って、最後の方はマックスでした」

 後半になるにつれて直球は威力を増した。「170球を超えてもいい真っ直ぐを投げることが出来ました」と表情は明るかった。

「もともと球数は投げるつもりでした。150球を超えたらランニングメニューを考慮してもらえると聞いていたので(笑)。残り20球は変化球を試したので。フォークも投げましたが、(本格的には)まだこれから。全部の球が良かったけど、ストレートは去年より何倍もいいです」

腕を振る× 振れる○

 オフの練習の段階から「プロに入って一番の調整が出来ている」と自信をのぞかせる。特にフォームのバランスがいい。1月中旬には毎年恒例の「鴻江スポーツアカデミー」の自主トレ合宿に参加。同アカデミー代表の鴻江寿治氏の提唱する理論に基づきながら投球フォームを決めていくのだが、今年は例年以上にスムーズに自分の投げ方を固めていく作業を行うことが出来ていた。

「僕の場合、腕は振るのではなく振れるもの。きちんと体を回したら自然と良い位置に腕が来る。力を入れずにピュッと振る」

 上半身に無駄な力は入れない。だから肩肘への負担は軽減され、170球を超えてもなお十分に力強いボールを投げることが出来るのだ。

「ここからは飛ばし過ぎないように。もう飛ばしているから。あとは徐行運転で」

 真の大黒柱へと期待のかかる25歳右腕。このキャンプでは風格さえ感じさせる仕上がりの良さを見せている。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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