取り戻した、本来の姿

ソフトバンクの飯田優也は、元々ポテンシャルが高い左腕だ。

かつて一時は先発を任されたこともありパワー系ピッチングが持ち味である。

ただ、今季は苦しんだ。フォームを崩し、自慢の速球に威力を失っていた。

そのサウスポーが今、本来の姿を取り戻している。

「150キロ出たんですよ」

筆者が宮崎入りしたその日、飯田の方から声をかけてきた。自身最速にあと1キロに迫るストレートを投げたという。彼はニコニコと愛嬌をふりまくタイプではないが、自分の現状や思いなどを上手に言葉で伝えてくれる。

そして言葉を継いだ。

キャッチボールで気づいた真逆の発想

「力はほとんど入れていないんですよね。だけど、球に力があるし、スピードが出るようになりました」

おや?と思った。少し前まで飯田はいつも逆のことを言っていた。「力みまくっていきますよ」と、特にファームの試合で新しいことを試すときには大体そのように口にしていた。

どうして新境地にたどり着いたのか。

「宮崎に来る少し前、ふとした1球で気づいたんです。キャッチボールの時、それほど力まずに投げた球がものすごく感じが良かったんです。それがキッカケ。あれ?と思ってその後も試して、マウンドでもいい感じのまま投げられているんです」

12日のヤクルト戦(西都)では2番手で登板。5回2死一、二塁の場面からマウンドに上がり、148キロの直球で簡単に追い込んでからのスライダーを決め球にして、あっさりと3球三振を奪った。この日は2回3分の1を投げて無安打無失点。「暑さにバテテしまい、最後の1つ四球を与えたのが反省点」としながらも十分な結果と内容。フェニックスリーグを視察した高村祐一軍投手コーチも「今の状態はいいね。これを続けてくれれば」と期待を寄せた。

斉藤和巳式フォームで悪癖も修正

また、投球フォームにも変化が見られた。セットポジションで右足を上げた際に、目線をキャッチャーミットから一度切って一塁ベース方向を向く。斉藤和巳や千賀滉大の左投手バージョンといえば分かりやすいかもしれない。

「僕の場合、右足を踏み出した際に膝が流れてしまう悪い部分があった。一度目を切るのは和巳さんとかやっていたし、今けっこう多いでしょう。なので、宮崎に来てから取り入れています。違和感なく投げられています」

他にも五十嵐亮太のように、走者がいない場面でクイックモーションを入れるなどの工夫もするようになった。相手打者のタイミングを外すほかに、自分のフォームのバランスを確認する意図があるのだという。

「今年の成績(※)ではCSや日本シリーズに呼ばれるのは厳しい。諦めるわけじゃないけど、高望みはせずに謙虚な気持ちで、次のシーズンにいい形で入れるようにしたい」

というものの、工藤公康監督は「今調子がいい選手を見極めて起用したい」とも話しており、大逆転でこの秋にチャンスが訪れる可能性はゼロでないのではなかろうか。

※飯田優也の今季:

1軍19試合0勝0敗2ホールド、防御率2.42

2軍21試合2勝4敗4セーブ、防御率2.21