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首位までゲーム差0! 若鷹に活気与える19歳茶谷健太、伸び盛りの夏

田尻耕太郎スポーツライター
飛躍が楽しみな2年目の茶谷健太内野手

首位広島にゲーム差なし!

8月11日、ソフトバンクはウエスタン・リーグで広島と対戦した。

【8月11日 ウエスタン・リーグ タマスタ筑後 3,113人】

広島     000006000 6

ソフトバンク 01450010× 11

<バッテリー>

【C】●ジョンソン(1勝1敗)、アドゥワ、戸田、今井、オスカル――船越、中村亘

【H】○大隣(5勝2敗)、野澤、加治屋――栗原

<本塁打>

【H】吉村4号

<戦評>

ソフトバンクが先発全員安打で15安打11得点。中盤に広島の猛追にあったが、逃げ切った。相手先発は昨季沢村賞のジョンソンだったが、若手が攻略した。2回に茶谷が右翼線にタイムリー二塁打を放って先制。3回は江川のタイムリー三塁打のあとに栗原、釜元にも適時打が出て追加点を奪った。投手がアドゥワに代わった4回には吉村が特大の4号3ランを左翼へ運んだ。

先発の大隣は6回に味方失策がらみで大量失点したが、5回までは1安打無失点ピッチング。5勝目を挙げた。

勝ったソフトバンクは首位広島に0ゲーム差まで迫った。勝率1厘差で2位のままだが、リーグ6連覇へ前進。首位攻防戦は12日、13日もタマスタ筑後で行われる。(了)

茶谷健太、プロ1号満塁弾から好調持続

期待の大型内野手の茶谷健太が8月打撃好調だ。

1日の中日戦(ナゴヤ)で公式戦初アーチを満塁本塁打で飾ると、翌日以降もコツコツ安打を積み重ねている。

この12日は第1打席で、昨季沢村賞左腕のジョンソンから先制タイムリー二塁打を右翼線に放つと続く打席はきっちりボール球を見極めて四球を選んだ。投手が代わった以降もレフト前ヒット、ショート内野安打を放ち3安打猛打賞の活躍だ。

8月は9試合に出場して38打数13安打で打率.342の高打率。また、満塁弾以降も勝負強さを発揮し月間8打点をマークしている。

沢村賞ジョンソンから先制二塁打

「ジョンソン投手は追い込まれると打つのが難しいので、積極的に勝負に行きました。内角へのカットボールは打ってもファウルになると思ったので、外角に目つけをしていました。センターへ打ち返す意識でしたが、うまくライト線へ運べました」

山梨・帝京三高校時代は投手。「ほぼ投手専任であまり打撃練習はしてこなかった」というが、ドラフトではまさかの内野手指名だった。1年目は苦しんだ。三軍でも結果が出ない。それどころか、フリー打撃ですらまともに打球が飛ばない。外野に打つのがやっとだった。打撃フォームは素人目から見ても不恰好でバラバラ。強い打球が飛ぶはずはなかった。

「自分でも、なぜあんな打ち方になったのか分からないままやっていました。ショックでしたよ。野手じゃなかったといっても、高校野球だから打席に立つわけだし。もっとやれるという自負もどこかにありましたから」

コーチの助言で悪癖を改善

今季もスタートは苦しんだが、チームに怪我人が多かったこともあってシーズン序盤から二軍で出場する機会を得た。二軍打撃コーチの藤井康雄コーチと飯田哲也コーチから徹底指導を受けた。

「僕は打ちに行く時にトップが作れずに、上半身と下半身が一緒に前に出てしまう癖があった。そうなるとバットの軌道が悪く、ボールを切るように打ってしまい、ゴロかポップフライにしかならなかったんです。今はトップを作り、出来るだけ『前を大きく』という意識でやっています」

身長185cm、体重81kgの立派な体格でパンチ力がある。大柄ながらショートを守ることが出来るのも魅力だ。ソフトバンクのスカウトはその高い身体能力に惚れ込んで、野手でも大成功すると見込んで指名したのだ。

入団時にはホームラン打者になりたいと語っていた。大器の片りんを感じさせるプロ2年目の夏。これからの成長が楽しみな若鷹だ。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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