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史上2度目の「内弁慶シリーズ」はあるのか!? 13年前の史闘「鷹虎決戦」を振り返る

田尻耕太郎スポーツライター
第6戦からは広島カープが本拠地で戦う。流れは変わるのか(写真:長田洋平/アフロ)

「内弁慶」を生んだ地元熱

「SMBC日本シリーズ2016」は第5戦までを終えて、北海道日本ハムファイターズが3勝2敗として10年ぶりの日本一に王手をかけた。日本ハムは敵地で連敗も、本拠地札幌ドームに戻り見事3連勝を飾った。

逆に広島東洋カープは地元マツダスタジアムで絶好のスタートを切ったが、まさかの3連敗で窮地に追い込まれた。

しかし、広島はまだ諦めるのは早い。

さて、ここまでは全試合ホームチームが勝利をしている。第6戦からの舞台は再びマツダスタジアム。真っ赤に染まった熱狂的ファンの後押しは、間違いなく強力な後押しとなるはずだ。

「内弁慶シリーズ」は過去1度

今年で67回目を数える日本シリーズだが、全試合ホームチームが勝って4勝3敗で決着した、いわゆる「内弁慶シリーズ」がかつて1度だけあった。それが2003年、福岡ダイエーホークスと阪神タイガースが戦った日本シリーズ。それは、まさしく「史闘」と呼ぶにふさわしい、最高に熱いシリーズだった。

【第1戦 10月18日 福岡ドーム 観衆36,105人】

阪神   000201100  4

ダイエー 010201001× 5

(勝)篠原 (敗)安藤 (本)城島1号=ダ

【第2戦 10月19日 福岡ドーム 観衆36,246人】

阪神   000000000 0

ダイエー 04100053× 13

(勝)杉内 (敗)伊良部 (本)城島2号、ズレータ1号、バルデス1号=以上ダ

【第3戦 10月22日 甲子園 観衆47,159人】

ダイエー 1000000000  1

阪神   0001000001× 2

(勝)吉野 (敗)篠原 (本)金本1号=阪

【第4戦 10月23日 甲子園 観衆47,200人】

ダイエー 0100003100  4

阪神   3000010101× 5

(勝)ウィリアムス (敗)新垣 (本)松中1号=ダ 金本2号、3号=阪

【第5戦 10月24日 甲子園 観衆47,336人】

ダイエー 020000000 2

阪神   10000200× 3

(勝)下柳 (S)ウィリアムス (敗)斉藤 (本)バルデス2号=ダ 金本4号=阪

【第6戦 10月26日 福岡ドーム 観衆36,188人】

阪神   000100000 1

ダイエー 20100101× 5

(勝)杉内 (S)岡本 (敗)伊良部 (本)桧山1号=阪 井口1号、バルデス3号=ダ

【第7戦 10月27日 福岡ドーム 観衆35,963人】

阪神   000010001 2

ダイエー 20300100× 6

(勝)和田 (敗)ムーア (本)関本1号、広澤1号=阪 井口2号、城島3号、4号=ダ

世論は18年ぶりにリーグ優勝を果たした阪神を支持する声が強かったが、2003年のダイエーはチーム打率史上最高(現在も)の.297をマーク。かつ100打点以上が4人(井口、松中、城島、バルデス)並ぶ強力打線で圧倒的な強さを見せていた。

しかし、ダイエーは連勝で甲子園に乗り込むも、敵地の超熱狂的応援に圧倒された。ある外野手が「ここはパチンコ屋より音がデカい」という迷言(?)を残したことを今でもよく覚えている。球場から宿舎への帰りのバスは、負けたにもかかわらず灯りを消して窓を閉め切ってという、物々しい移動だった。

2003年、博多駅で流れが変わった

甲子園3連敗ですっかり意気消沈したダイエーだったが、地元福岡で息を吹き返した。もちろん福岡ドームの大声援も大きな力となったが、第5戦翌日の移動日がひとつのターニングポイントだったかもしれない。

ダイエーナインが新幹線で博多駅に到着すると、そこら中に人、人、人。ダイエーファンの出迎えだった。その数は3000人とも5000人とも言われている。その光景を見た、当時のエース斉藤和巳は「涙が出そうになった」とのちに振り返っている。

明日28日、おそらく広島でも鯉党が広島ナインを熱く出迎えるだろう。はたして、広島の大逆襲があるのか、それとも日本ハムが勢いを手放さずに頂点に輝くのか。第6戦は、特に序盤に注目したい。どちらのチームが先に主導権を握るかがカギとなるだろう。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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