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14年ドラフト1位、松本裕樹の現在地――大エースの背番号を継承した右腕

田尻耕太郎スポーツライター

2年目捕手の堀内がVツーベース

4月26日、ホークス3軍が四国アイランドリーグplusとの定期交流戦で愛媛マンダリンパイレーツと対戦した。「タマホームスタジアム筑後」での3軍定期戦は初めて。

【4月26日 ホークス3軍定期交流戦 タマスタ筑後 633人】

愛媛MP   021000000  3

ソフトバンク 00020300×  5

<バッテリー>

【MP】伴、古村、高原――鶴田

【H】石川、山下、松本、吉本、伊藤大――谷川原

<本塁打>

なし

二塁打を放った堀内
二塁打を放った堀内

【戦評】

ホークスが逆転勝ち。3点を追いかける4回裏に5番・樋越、6番・黒瀬の連続タイムリーで2点を返す。6回裏は黒瀬、茶谷の連打からチャンスを拡げ、相手守備のミスで同点とし、なおも1アウト一、二塁で9番・堀内が走者一掃の左越え2点二塁打を放ち勝ち越した。

先発の石川は6回途中3失点。2番手の山下が勝ち投手。

愛媛は先発の伴が踏ん張れず。序盤は鶴田、吉田の連続タイムリーなどで得点したが、中盤以降は決定打を欠いた。また、今季から愛媛でプレーし注目されているお笑いコンビ「360°モンキーズ」のサブロク双亮(本名・杉浦双亮)はベンチ入りしたが登板しなかった。

松本裕樹「もう不安はない」

1回を3者凡退に抑えた松本
1回を3者凡退に抑えた松本

7回表、その名前がコールされ背番号66がマウンドに上がると、スタンドからはひときわ大きな拍手が送られた。

2年目の松本裕樹が、この日は中継ぎで登板した。

ドラフト1位。あの斉藤和巳がつけた「66」を継承したことで、期待の大きい若鷹だ。しかし、ルーキーの昨年は高校時代から抱えていた右肘の不安もあり、登板は10月のフェニックスリーグでの1イニングのみだった。

今年は「もう不安はありません」。この日がホークスファームの非公式戦(3軍戦や春季教育リーグなど)で5試合目の登板だった。

抜群のコントロールを見せた。先頭から2者連続で見逃し三振。3人目にはピッチャー強襲の打球を打たれたが、マウンド後方の打球に素早く反応してジャンピングスロー。高い野球センスで打ちとり、1回3者凡退でこの日の役目を終えた。

中継ぎ登板の意図

前回登板だった4月9日の香川戦(丸亀)では先発するも4回7失点(自責5)と打ち込まれた。過去4試合の防御率は6.91。松本自身も周囲も、納得できるはずもなかった。

佐久本昌広3軍投手コーチは「去年登板がなかったことを踏まえて考えれば、先発での結果は気にしていません。ただ、腕の振り方が合わせているように感じたので、短いイニングを投げることで腕を強く振ることを思い出してほしかった。今日はしっかり出来ていたと思います」と話した。

「納得できる」

松本も「今日は納得できる投球。よかったと思います」といつもどおりクールに振り返った。「今日はストレートをしっかり狙ったところに投げきることがテーマでした。変化球はその後でも投げることができるので」。

将来のエース候補。あわてず焦らず、しかし着実に一歩ずつ、成長の歩を進めている。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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