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「魔球」で松坂大輔に投げ勝った! 中日岩田慎司の変幻フォーク

田尻耕太郎スポーツライター

中日5連勝。平田がフル出場

4月19日、タマスタ筑後でのウエスタン公式戦は、中日がソフトバンクに2対0で勝利。首位中日は5連勝と好調だ。

【4月20日 ウエスタン・リーグ タマスタ筑後 1699人】

中日     020000000 2

ソフトバンク 000000000 0

<バッテリー>

【D】○岩田(2勝2敗)、小川、阿知羅、S金子(2勝2セーブ)――加藤

【H】●松坂(0勝1敗)、加治屋、寺原、バリオス、伊藤祐――拓也

<本塁打>

なし

<戦評>

ソフトバンクは松坂大輔が日本復帰後初の公式戦先発。タマスタ筑後での登板も初めてだった。2回2失点で敗戦投手となったが、最速144キロをマークした。打線は中日先発岩田の変幻自在の投球に沈黙。3回は古澤、4回はカニザレスがそれぞれ先頭でヒットを放つも後が続かなかった。

中日は2回に1番・渡辺、2番・亀澤の連続タイムリーで得点。前日の試合で実戦復帰したばかりの平田は「3番右翼」でフル出場。ノーヒットだったが、元気なところを見せた。また、「4番DH」の多村も4打席(3打数無安打1四球)に立ちフル出場した。 (了)

中日岩田しか操れない、1回転の魔球

好投した中日の岩田
好投した中日の岩田

揺れて、落ちる。

揺れて、さらに曲がる。

中日先発の岩田慎司が変幻自在にボールを操り、ソフトバンク打線を翻ろうした。7回途中まで無失点に抑える好投。今季2勝目を挙げた。

89球のうち「純粋なストレートは10球くらいだった」。軸球はスライダーというが、浮き上がるカーブ、そして“無回転”フォークがびしばし決まった。バッテリーを組んだ加藤が逸らす場面も。また、ミットを上から被せて、無理やりボール抑え込むように補球したシーンもあった。

名捕手も捕れなかった

実際にはホームベースに届くまでに1回転ほどしているという。だが、「回転しない」と言われるフォークボールでも通常5~10回転ほど。そのため、岩田のフォークは不規則な軌道を描く。

4年前に一度話題となり、テレビでも「マジカルフォーク」の名で特集された。名捕手の谷繁(現監督)すら捕れない「魔球」として注目された。

しかし、2012年の5勝が自己最多。昨季は未勝利に終わり、崖っぷちに立たされていた。

ストレート禁止

この1月、チームの先輩の吉見一起が師事する鴻江寿治トレーナーのもとで吉見らと自主トレを行い、ヒントを得た。

「ストレートは投げるな」

ある意味衝撃的な一言だったが、必死な岩田はそれを素直に受け入れた。不安を抱えていた右肩に負担のないフォームも身につけた。持ち味の変化球も甦った。

「今日は言われたとおりの投球でしたね。カーブとフォークが特に良かったです」

1軍ローテ昇格も現実味が帯びてきた。今年も混戦模様のセ・リーグに旋風を起こす隠し玉的な存在として、今後脚光を浴びる可能性は十分にある。 (了)

松坂、144キロに光明

先発した松坂
先発した松坂

ソフトバンク松坂大輔投手は2回2失点。初回3四球の乱調も無失点で切り抜けたが、2回は1アウトから4連打を浴びて失点した。この日は40球~50球がメドとされており、2回52球を費やしたところで交代した。

課題を残したマウンドだったが、直球が最速144キロをマークするなど、ボールの力強さに大きな変化が見られた。昨年8月に右肩を手術した経緯を踏まえれば、ようやく第一歩を踏み出した地点と言っていい。

早期の復活劇を期待したいし、松坂本人もそれを望んでいるだろうが、まずはこの第一段階を大切にしてほしい。 (了)

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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