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イチローに憧れるホークスの有望株、上林誠知がファーム首位打者に立つ!

田尻耕太郎スポーツライター
ホークス上林誠知が憧れる背中――「背番号51」(写真:田村翔/アフロスポーツ)

リーグ唯一の3割バッター

【7月9日 ウエスタン・リーグ ホークス8-2バファローズ 雁の巣球場】

遂に、ランキングの一番上に、名前が載った。

ホークスの上林誠知外野手がウエスタン・リーグの首位打者に躍り出た。7月9日のウエスタン・リーグ、バファローズ戦(雁の巣)に「3番レフト」にスタメン出場し4打数2安打の活躍。今季打席数が「173」となり、ようやく規定打席(リーグ規定で試合数掛ける2.7)に到達した。【ランキングはこちら

打率.339は、断トツの1位だ。2位はタイガースの中谷将大で.292しかない。上林はウエスタン唯一の3割バッターである。

5月には1軍デビューも果たした

仙台育英高で3度甲子園に出場し昨年プロ入りした19歳(8月1日に20歳になる)。選手層の分厚いホークスにあって、5月には1軍デビューを果たしている。ホークスの10代野手で1軍出場したのは2011年の今宮健太以来である。5月21日のバファローズ戦(ヤフオクドーム)で、代打で初出場を飾った。打席機会を与えたあたりも工藤公康監督のバッティングへの期待度の高さを表している。対戦相手は左腕の中山慎也。しかし、低めの変化球を空振りするなど簡単に追い込まれると、3球目のスライダーに泳がされて力のない一塁フライに終わった。その後ファイターズ戦でも代打出場するもあえなく凡退し、ファームに降格した。

ワンバン安打も「1軍では…」

たった5日間ではあったが、その1軍経験は上林の貴重な財産となっている。

「以前とは打席での考え方、意識の持ち方が変わりました」。もともと高い打撃センスをもっており、高校時代には甲子園でワンバウンド投球とヒットにしてしまうほどの卓越したバットコントロールが持ち味でもある。「でも、低めの見極め。それが出来ないと1軍では厳しいことが、体験することではっきりしました」。

ところで、ワンバウンドをヒットといえば、連想するのがイチローである。上林の背番号も51だ。

「僕はずっとイチローさんに憧れて、野球をやってきました。だからホークスで背番号51を貰えたのが本当に嬉しかったし、イチローさんも今年から51に戻ったのでそれも嬉しいです」

イチローもまた、オリックス時代にはウエスタン・リーグで首位打者を獲得し、その後1軍へと羽ばたいていった。

「今年の目標は、まず2軍でタイトルを獲ること」と意気込む。ただ、首位打者に立つも「野球選手だから数字は気になります。でも、気にしないようにやっていきたい」とマイペースを宣言。職人気質な一面もうかがわせる若き才能。本当に楽しみな選手だ。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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